シス・カンパニー「エドモンド」

 シス・カンパニー公演「エドモンド」公演が東京・青山円形劇場で開かれました(8月19日-9月13日)。取り上げたのは、米国の劇作家デヴィット・マメットの原作。演出は、いま脂の乗っている長塚圭史。小泉今日子やテレビ番組「ト … “シス・カンパニー「エドモンド」” の続きを読む

 シス・カンパニー公演「エドモンド」公演が東京・青山円形劇場で開かれました(8月19日-9月13日)。取り上げたのは、米国の劇作家デヴィット・マメットの原作。演出は、いま脂の乗っている長塚圭史。小泉今日子やテレビ番組「トリビアの泉」で人気の八嶋智人らも出演するので話題になりました。


 「stage note archives」サイトによると、この物語は「ひとりの男が、占い師の元を訪ねる。『あなたは、居るべき場所にいませんね。もっとも居るべきところに居る人間なんて殆ど居ませんが、あなたの場合はそれが顕著です』。その言葉に動かされた男は街へ飛び出していく。『こんなはずじゃなかった』人生を取り戻すために。だが、どうやって? 平凡だったはずの男の人生が、ひょんなきっかけで転落していってしまうという物語」だそうです。

 続いて「占い師を訪ねてから、グレナの家までの前半がすっごく良かった。ある種ロードムービーみたいで、入れ替わり立ち替わり芸達者な役者さんがそれぞれ違う姿で現れるのを次から次へと眺めて飽きない。悪意のささやき、暴力、裏切り、自分へ向けられた嫌悪感、そういうものがエドモンドの中にどんどん蓄積していくのが手に取るようにわかって目が離せない」と述べていますが、その後は「前半に較べるとテンションが急に落ちる」と指摘しています。

 公演評を書き留めたサイトは少なくありません。そのうちのいくつかからピックアップします。

「白人の彼の中にある黒人差別や、宗教への逃避を通しながら追い詰められた人間が選ぶ行動を描き出し、その向こうにある、「他者の受容」へと向かって彼は動き出していく」(観もしないのに文句を言うな。

「デヴィット・マメットの作品だと私はtpt『シカゴの性倒錯/カモの変奏曲』を拝見しています。卑猥でどぎつい言葉が行き交い、目に嬉しくない厳しい現実が描かれますが、真正直に、てらいなく意見をぶつけてくる感覚が面白いと感じていました。今作『エドモンド』は非常に重たくシリアスな空気が満ちた1時間35分でしたが、『シカゴ・・・』同様にマメットの気概を受け取った気がします」(しのぶの演劇レビュー

「マクドナー作品の強烈なアクや長塚作品の重厚さを体感した後でこの作品に触れると物足りないというのが第一印象。脚本が二十数年前に書かれた作品ということも多少は影響しているのかもしれませんが」(踊る芝居好きのダメ人間日記

「妻に『家を飛び出す』と宣言するエドモンドの主張がかなり身勝手すぎるものだったからか、『普通の人生を送っている男が』堕ちてゆく物語には見えなかった。どちらかというと『堕ちる素質を元々持っていた男が』堕ちてゆく物語に見えてしまった。多分、エドモンドが切れたときの台詞回しがまるっきり翻訳調で、外国映画みたいだったのもその理由のひとつだと思う」(芝居遊歴控

「役者も演出も美術もどれも悪くはないのにこの盛り上がりのなさはなんだろう.戯曲そのものが全然おもしろくない.主人公が袋小路に入っていく様子もなんだか1人から回りしているようにしか思えなくて、どうにも古臭く感じてしまった.自分を省みず全て他人に原因を押し付けておきながら言うことだけはご立派という主人公に、最初から嫌悪感を持ってしまったので、彼がどんなにひどい目にあっていこうが自業自得としか思えず、そんな彼が最後に救いを感じてるのかやけにさっぱりすっきり健やかなのが気持ち悪かった.そんあのありか?っていう.そんなわけでもっとも理解できないのが肝心の主人公だった」(mamiの観劇覚書

[上演記録]
シス・カンパニー『エドモンド
青山円形劇場(8月19日-9月13日)

作: デヴィット・マメット
演出: 長塚圭史
出演: 八嶋智人
大森博史
酒井敏也
小松和重
中村まこと
明星真由美
平岩紙
小泉今日子

スタッフ
美術 : 堀尾幸男
照明 : 小川幾雄
衣装 : 前田文子
音響 : 加藤温
ヘアメイク : 大和田一美
演出助手 : 坂本聖子
舞台監督 : 瀧原寿子
プロデューサー : 北村明子
企画・製作 : シス・カンパニー

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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