忘れられない一冊、伝えたい一冊 第27回

◎「ローザ・ルクセンブルク」(J.P.ネットル 河出書房新社)
 黒澤世莉

「ローザ・ルクセンブルク」表紙
「ローザ・ルクセンブルク」表紙

 人間にしか興味がないので、人間くさいものが好きだ。私にとって人間くさいものとは、完全無欠の英雄ではなく、魅力的だが時としてそれ以上に欠点が目につくような人物だ。さっそく話は逸れるが、だから夢を題材にした作品はどんなに名作と言われているものも楽しめないし、夢オチに出くわすと落胆する。日常的にも他人の夢の話を聞くことに何の興味も持てず聞き流してしまう。たとえ虚構であっても、虚構の人物たちにとっての現実がはっきりしているものが好きだ。
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