Pカンパニー「どこまでも続く空のむこうに」

◎開かれなかったテクスト
 間瀬幸江

Pカンパニー公演チラシ
Pカンパニー公演チラシ

 静かな破壊力で阿藤智恵が新境地を開いた前作『曼珠沙華』から5カ月、待望の新作上演であった。『どこまでも続く空のむこうに』(小笠原響演出、Pカンパニー)の主人公は、『曼珠沙華』の登場人物と同じ「J」(ジェイ)。それを同じ役者(長谷川敦央)が演じる。二つの作品が響きあい、ポスト震災の阿藤ワールドの全貌が見えるであろうとの期待を抱かせるに十分なお膳立てである。しかしながら、前作にはあった破壊力はなかった。ところどころで違和感を覚え、テクストと上演作品との相関関係を考えさせられた。
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Pカンパニー「曼珠沙華」

◎チェダーチーズと涅槃像-阿藤智恵の新作『曼珠沙華』を観る-
 間瀬幸江

Pカンパニー公演チラシ
Pカンパニー番外公演チラシ

 劇作家の阿藤智恵が、会心の作を世に送り出した。Pカンパニー番外公演その弍「岸田國士的なるものをめぐって~三人の作家による新作短篇集」(2011年9月30日~10月5日)の三番目の演目となった『曼珠沙華』である。二人の男の対話で構成されるシンプルな30分の小品であるが、心地よい驚きに、観劇後はしばし席を立てなかった。
 この9月は、ポツドールが『おしまいのとき』で、チェルフィッチュが『家電のように解り合えない』で、人と人とが「分かり合う」可能性をめぐる希望と絶望のテーマが扱われて話題になった。しかし、『曼珠沙華』は、この二本の話題作では解決されていなかったかあるいは解決できないことじたいがメッセージとして提示された問題を、あっさりと飛び越えてしまった。阿藤は、人と人との「分かり合い」に期待しないどころか、その可能性を想定さえしない。けして諦観でもニヒリズムでもペシミズムでもない、何かもっと別の思想体系に根ざしたそのことが、ひとつの「救い」として差し出されている。
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「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)
「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)

◎劇評を書くセミナー2011 F/T編 第2回 課題劇評

F/T2011 ワンダーランドが毎年開いてきた「劇評を書くセミナー」は今年、フェスティバル/トーキョーと提携して始まりました。
 第1回のトークセッション(9月25日)は入門編でしたが、第2回以降は劇評を書く実践編。公演をみて劇評を書き、受講者と公演や劇評の中身を話し合う機会になります。
 第2回(10月1日)で取り上げたのは、F/Tの委嘱作「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)と「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)でした。
 字数は2000字から4000字前後。いずれの公演も野外で開かれ、既成の枠組みから逸脱するような手法と展開だったせいか、セミナー受講者は原稿執筆に苦しんだようです。
 講師は新野守広さん(立教大教授、シアターアーツ編集委員)でした 。新野さんが執筆した2本を含めて提出された計8本の劇評が取り上げられ、ゼミ形式で2時間半余りしっかり討論されました。セミナー終了後の喫茶店で、講師の新野さんを交えてさらに話が尽きませんでした。
 以下、受講者執筆の6本を提出順に掲載します。原稿はセミナーでの議論を踏まえて再提出されました。すでに掲載されている新野さんの劇評と併せてご覧ください。
“「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)
「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)” の
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