SENTIVAL! 2012 報告 1

◎5年目のミニフェスティバル始まる
梅田 径

はじめに
 板橋駅から徒歩七分、東武東上線の線路脇の小さな路地に「atelier SENTIO」がある。壁面が白い漆喰の壁という劇場で、座席数は三十席ほど。暖色のライトに照らされたときの、壁面の白く淡い暖かさが聖域のように神々しくて、白くて優しい空間と畳敷きの観客席の穏やかな雰囲気。なぜか懐かしいような、頼もしいような、どこかに帰ってきたような錯覚を覚えてしまう。
 atelier SENTIOはそんな優しい魅力のある、僕にとってはほんの少しだけ特別な劇場だ。だからここで行われるフェスティバルには毎年少しだけ不思議な魔力が宿るのかもしれない。
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北九州演劇フェスティバル2012「ちょっと舞台《まち》まで」

◎舞台は京町銀天街
 福岡佐知子

 小倉京町銀天街はJR小倉駅から横に広がるアーケード商店街であり、江戸時代、九州の各街道の基点となった常盤橋のたもとへと延びる。古くは小倉城下や交通の要所として、小倉駅の移転前(現在の西小倉駅の場所に小倉駅はあった)は町の中心部として、栄えた歴史を持つ。近年は小倉駅から離れるにつれ空き店舗のシャッターやビジネスホテルの印象が目立つ地域だが、点々と懐かしい雰囲気の店構えが昔そのままに残っている。北九州芸術劇場もテナントとして入る大型商業施設「リバーウォーク北九州」へと向かう格好の通り道であり、休日には若者がまた雨の日には自然と往来が増す。
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「クロストーク150分 最前線の演劇知」(前・後期)

◎熱く語った150分!×8
 伊藤昌男

「クロストーク150分 最前線の演劇知」(後期)チラシ 昨年の4月、東日本大震災の1か月後に始まった徳永京子プロデュース『クロストーク150分 最前線の演劇知』。前期と後期を合わせ、最前線で活躍する8人の劇作家・演出家の話を聞いた。
 それぞれが、確固とした信念と実績に裏打ちされた貴重な話をされ、演劇界に対する思い入れも当然ながら真剣なものであつた。トークは毎回一人のゲストに対し、演劇ジャーナリストの徳永京子さんがインタビユーするという形式で行われた。
徳永京子プロデュース『クロストーク150分 最前線の演劇知』
・前期(2011年4月~2011年7月)岩松 了、長塚圭史、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹
・後期(2011年12月~2012年2月)宮沢章夫、松尾スズキ、鵜山 仁、いのうえひでのり
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クロスレビュー挑戦編の4月公演団体決まる

クロスレビュー挑戦編の4月公演が次の2団体に決まりました。みなさんのレビュー投稿をお待ちしています。
コント劇団 もより駅は轟です(2012年4月20日-22日(日) 、劇場バイタス新宿)
・京都・劇団しようよ「ガールズ、遠く -バージンセンチネル-」(2012年4月26日-30日、東山青少年活動センター)
 5月公演団体の応募受付中です。締め切りは4月15日(日)。 旗揚げ間もない劇団、これまでの活動が評価されていないと感じているグループ、短期間の公演で周知/宣伝が広がりにくいカンパニーなどの積極的な応募を歓迎します。詳細は次のページをご覧ください。
>> クロスレビュー挑戦編応募要項

震災特別報告

震災が起きたのは2011年3月11日。ワンダーランドは直後から「東日本大震災 (小劇場中心)演劇関連情報」という緊急コーナーを立ち上げ、情報交流の場を設けました。そして1年。なにが起きたのか、いま起きているのか-。震災の前も後も、高校生とともに表現活動・演劇活動に変わらず取り組んできた福島県立いわき総合高校のいしいみちこさんに、この1年を振り返りつつ、現状を報告してもらいました。(編集部)

◎一年目
 いしい みちこ

 今日は3月9日、福島県立高等学校II期選抜試験の2日目だ。
 昨年の今日も入試の2日目だった。昨年とピッタリ同じ日程。だからあの日の丸1年後の明後日も、同じように合否判定会議をして同じように入試業務をするだろう。
 昨年と同じように見えながら確実に違ってしまっている今日。
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岸田賞はノゾエ征爾、藤田貴大、矢内原美邦の3氏

 第56回岸田國士戯曲賞(白水社主催)選考会が3月5日、東京・學士會館で開かれ、ノゾエ征爾「○○トアル風景」、藤田貴大「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」、矢内原美邦「前向き!タイモン」の3作が受賞と決まった。3作同時受賞は第27回(1983年)以来。このときは野田秀樹「野獣降臨」、山元清多「比置野ジャンバラヤ」、渡辺えり子「ゲゲゲのげ」が受賞した。
 正賞は時計、副賞は二十万円。授賞式は4月26日午後6時から東京神楽坂・日本出版クラブ会館で開かれる。
 選考委員の野田秀樹さんは主催の白水社を通じてコメントを発表し、「選考委員が一新されたこともあり、作風の異なる3作品を、めいめい推す声が強く、この結果です。ただ、この3作品に共通なのは、脱ドラマ性が強いことで、今後、ドラマ性の強い作品で良いものが出ることも期待します」と述べている。
>> 岸田國士戯曲賞のページ(白水社Webサイト)
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クロスレビュー挑戦編3月公演

◎京都ロマンポップなど3公演

 クロスレビュー挑戦編3月公演は大小6団体から応募があり、公演資料、日程や再応募などの条件を考慮して次の3公演に決まりました。レビューは★印による5段階評価と400字コメントです。公演最終日の翌日が締め切り。みなさんの応募を歓迎します。
京都ロマンポップ「ミミズ50匹」(3月1日-3日 ART COMPLEX 1928)
サイバー∴サイコロジック「掏摸 -スリ-」(3月14-18日 下北沢OFF・OFFシアター)
パセリス第九回公演「あたりまえのできごと」(3月15日-20日 王子小劇場)
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劇作家協会新人戯曲賞は柳井祥緒「花と魚」

劇作家協会新人戯曲賞公開審査会チラシ 第17回 劇作家協会新人戯曲賞の公開審査会が12月11日、東京・杉並の座・高円寺で開かれ、受賞作に柳井祥緒 (やないさちお)さん の「花と魚」が選ばれた。正賞は時計、副賞賞金50万円。
 柳井さんは1979年東京生まれ。演劇企画ミルク寺を経て2010年「十七戦地」結成に参加、作・演出を担当。今回受賞した「花と魚」は今年(2011年)7月の同劇団旗揚げ公演で上演された。
 今年の応募総数は220本。一次審査通過作22本が二次審査に進み、最終候補作6本がこの日の審査で取り上げられた。「質の高い作品がそろった」「例年ならどの作品が受賞してもおかしくない」など審査員が口をそろえる中で、「花と魚」は第1回投票(1人2票)でトップ(5票)、2回目の投票(1人1票)でも7人中5人の票を集めた。
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OMS戯曲賞、F/T劇評コンペ 、小田島雄志・翻訳戯曲賞の受賞者決まる

 年末は1年の総決算、一区切りの時期。演劇関係でさまざまな賞の発表が相次いでいる。
 まず、フェスティバル/トーキョー11の劇評コンペ 優秀賞が12月1日に発表された。
 優秀賞には、『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』を対象にした夏目深雪さんの「反スペクタクルに踊ろう/踊らなかったりしよう」と、岡崎藝術座『レッドと黒の膨張する半球体』を取り上げた百田知弘さんの「叙情性と論理性の狭間で」が選ばれた。受賞者は、来年のF/T主催・公募全演目に招待される。
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クロスレビュー挑戦編の12月公演決まる

クロスレビュー挑戦編の12月公演が決まりました。
リクウズルーム「ノマ」(12月2日-6日、アトリエ春風舎)と、劇団ヘルベチカスタンダード「夢幻地獄」(12月23日-25日、京都大学内 西部講堂)の2本。東西に別れてのクロスレビューとなります。公演をご覧になった方の投稿を歓迎します。5段階評価と400字コメント。締め切りはいずれも千秋楽の翌日です。
新年1月のクロスレビュー挑戦編の応募公演を受け付けています。実験的な試みや先進的な活動を展開している劇団、カンパニー、ユニットなどの応募を歓迎します。締め切りは12月15日(木)。詳細は、次のページをご覧ください。(編集部)
>> クロスレビュー応募要項