「化粧 二幕」

◎「劇」を動かしているものは何か 「母性」が観客と出会うとき
坂本俊輔

「化粧 二幕」公演チラシ『化粧 二幕』の公演を見終えた後、ワンダーランドのセミナーの一環として、主演の渡辺美佐子さんと舞台監督の田中伸幸さんから直接話を伺う機会が得られた。海外公演での観客の反応、「ゴキブリ」のくだりが生まれるきっかけとなった地方公演のエピソード、渡辺さんの演技に対する姿勢など様々な話を聞くことができ、舞台とは異なる面から劇を理解する上でも大変参考になった。気がついたのは、お二人の話には観客との距離に関係したものが多く、すし詰めの観客を間近にして行われた下北沢のザ・スズナリ劇場での初演を、渡辺さんはとても感激した、と感慨深く語っていたことや、逆に1000人を超えるような地方の大ホールで公演を行った際は、舞台を客席に近づけるよう田中さんが苦心された話など、観客との「近さ」にこだわりをもっていることが感じられた。

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