鳥公園「緑子の部屋」

◎鳥公園「緑子の部屋」から考える
(鼎談)落雅季子+鈴木励滋+野村政之

『緑子の部屋』をどう見たか

—11月にはフェスティバル/トーキョー14でも、鳥公園主宰の西尾佳織さんの作品の上演が予定されています。『緑子の部屋』は3月に大阪と東京で上演されました。今回は東京公演についてお話をうかがいます。とてもざっくりした言い方になりますが、緑子という女性がもう死んで居なくなっている状況で、緑子の兄と、一緒に住んでいた大熊という男性と、友だちだった井尾という女性が三人で集まって緑子のことをいろいろ思い出したり、昔のシーンが挿入されたりするという物語でしたね。それから、最初と最後で、とある「絵」について語る場面がキーポイントになっていました。ではまず、お一人ずつ、今日の話の糸口となるようなところから伺いたいと思います。
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パルコ・プロデュース「ヒッキー・ソトニデテミターノ」

◎このどうしようもない世界にあなたといるということ
  鈴木励滋

 他者と関わるということは、ほんとうは恐ろしいことである。

 自分の人間関係の質やら規模やらが変わる際、たとえば学校に上がる時とか誰かと付き合うことになった場合とか会社に入る折なんかに、人はうっすら恐ろしさを感じているはずなのだが、大抵はそんな考えに固執などせず、新たな「世界」でいかに支障なく人間関係をこなせるのかという方へと意識を向ける。
 そんな恐ろしさにいちいち囚われてしまうのは、どこかで躓いてしまったことのある者だけなのかもしれない。
 そうなのかもしれないが、誰だって他者との関わりの中で、この自分のことがほんとうは恐ろしくて堪らないのに、それを回避するために、自らの感覚を鈍磨させ思考停止して誤魔化しているだけなのではないかと、わたしはけっこう本気で思っている。
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子供鉅人「バーニングスキン」

◎道化の魔法がひらく 祈りのような情景
 鈴木励滋

「バーニングスキン」公演チラシ
「バーニングスキン」公演チラシ

 行進を促すようなリズムをドラムが刻む冒頭、タンスの上によじ登り仁王立ちする女。セピア色に見える景色の中で、女は「ふざけんじゃねぇ、くだらねぇ」と呪詛のような言葉を怒鳴りちらしているのだが、はたして彼女の怒りはどこへ向かっているのだろうか。

 この印象的な場面は、589nmの波長以外の色を見えなくしてしまうナトリウムランプの効果だ。東野祥子を始めとして多くのダンサーとも組んできた照明の筆谷亮也の鮮やかな仕事で、次のシーンで明かされる女の肌の秘密を際立たせることに成功した。意表をつきつつも単に奇抜さにとどまらない誠に巧みなオープニングだった。
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Produce lab 89 presents 「官能教育 藤田貴大×中勘助」

◎受苦と繋がれるわたしたちの回路
 鈴木励滋

 藤田貴大は間違いなくこの国において現在最も演劇に愛されている青年のひとりであろう。彼が主宰する「マームとジプシー」は昨年、ほぼふた月に1本という何かに憑かれたかのようなペースで作品を世に送り出した。どれもが多くの人たちから高く評価をされ、演劇評論家の扇田昭彦は『塩ふる世界。』を朝日新聞の年末恒例「私の3点」に選出したほどであった。(註1)

 今年もますます演劇界においてもて囃され、彼もまた期待に十二分に応えていくのであろう。この点において疑義を呈する気は毛頭ないのであるけれども、だがしかし、どうもその辺りにわたしはあまり興味がない。それは、わたしが彼の行為を演劇という枠に納まらないものなのではないかと考えていることとも関係している。とはいえ、ここではダンスや映像という別ジャンルの表現への越境という話ではなくて、思想とか生きざまといった方への広がりのことを思い浮かべている。そして、そういう物言いをする際に、わたしの中で劇評家というよりも日々地域作業所で障害がある人たちとの活動という“実践”をする者としての自分を意識せざるをえない。
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3人で語る「来月はコレがお薦め!」を振り返って(最終回)

 カトリヒデトシ+鈴木励滋+徳永京子

―このコーナーでは、みなさんに、三人三様の見方で、翌月の舞台を各3本ずつ薦めていただきました。残念ではありますが、これをもって最終回とさせていただきたいと思います。1年間、どうも有難うございました。今回は、この1年を振り返り、お薦め作品が実際に上演されてどんな感想をもたれたかなどを中心にお聞かせください。

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3人で語る「2010年12月はコレがお薦め!」

「イメチェン」公演チラシカトリヒデトシさんのお薦め
国道五十八号戦線「国道五十八号戦線異常ナシ」「国道五十八号戦線異常アリ」(サンモールスタジオ12月8日~13日)
北京蝶々×黒澤世莉(時間堂)「あなたの部品リライト」(ギャラリー・ルデコ12月14日~19日)
はえぎわ「ガラパコス」(こまばアゴラ劇場12月17日~29日)
鈴木励滋さんのお薦め
・「忠臣蔵フェア」(川崎市アートセンター12月9日~12日)
・「横浜ダンス界隈」(横浜 日本大通り周辺12月5日)
・「阿部一徳のちょっといい話してあげる『異形の愛 GEEK LOVE』」(MAREBITO12月17日~19日)
徳永京子さんのお薦め
劇26.25団「可愛い怪物」(下北沢駅前劇場12月24日~29日)
・ネクストシアター「美しきものの伝説」(彩の国さいたま芸術劇場12月16日~26日)
・猫のホテル「イメチェン」(ザ・スズナリ12月16日~29日)

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FUKAIPRODUCE羽衣「愛死に」

◎衝撃の「真面目キス」 愛と死のはざまに
 鈴木励滋

「愛死に」公演チラシ 昨年の野田秀樹の芸術監督就任で、東京芸術劇場が発信型へと大きく転換したことを強く印象付けた “芸劇eyes”。「芸劇が注目する才能たちを紹介する」企画として、ハイバイ・五反田団・グリング・冨士山アネット・モダンスイマーズという、「若手」でも「小劇場を中心に」でもなくなりつつある、いわば必勝体制での第一弾を手堅く成功させた。そして、今年は快快や劇団、江本純子に混じってFUKAIPRODUCE羽衣が参戦という攻めの姿勢である。

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3人で語る「2010年11月はコレがお薦め!」

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「月と牛の耳」公演チラシ
「月と牛の耳」公演チラシ

カトリヒデトシさんのお薦め
劇団競泳水着「りんごりらっぱんつ」(サンモールスタジオ11月12日‐23日)
イキウメ「図書館的人生Vol.3」(シアタートラム10月29日‐11月7日、HEP HALL11月16日~20日、アステールプラザ11月12日、西鉄ホール11月23日)
渡辺源四郎商店×東京デスロックカンパニー「月と牛の耳」(11月19日‐23日アトリエ・グリーンパーク、12月3日‐5日富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ

鈴木励滋さんのお薦め
dracom「事件母」(シアターグリーンBOX in BOX THEATER11月18日‐21日)F/T10
岡崎藝術座「古いクーラー」(シアターグリーンBIG TREE THEATER11月19日‐28日)F/T10
FUKAI PURODUCE羽衣「も字たち」(新宿ゴールデン街劇場11月9日‐25日)

徳永京子さんのお薦め
・生活舞踏工作室「メモリー」(にしすがも創造舎11月26日‐28日)F/T10
・「DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー」(東京芸術劇場11月26日-28日)F/T10
マームとジプシー「ハロースクール、バイバイ」(シアターグリーンBASE THEATER 11月24日-28日)F/T10

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3人で語る「2010年10月はコレがお薦め!」

「長短調(または眺(なが)め身近(みぢか)め)」公演チラシ
「長短調(または眺(なが)め身近(みぢか)め)」公演チラシ

★カトリヒデトシさんのお薦め
・Kermit Office Presents「て、に、を、は、がおかしい。」(Artist Space
千石空房
10月8日‐10日)
遊園地再生事業団「ジャパニーズ・スリーピング 世界でいちばん眠い場所」(座・高円寺10月15日‐24日)
★鈴木励滋さんのお薦め
まことクラヴ「事情地域ヨコハマ」(象の鼻テラス10月13日‐16日)
KENTARO!!「僕はまた今日も未完成の音楽で唄う」(こまばアゴラ劇場10月14日‐24日)
・身体地図/岩渕貞太「UNTITLED」(STスポット10月14日‐16日)
★徳永京子さんのお薦め
・あうるすぽっとプロデュース「長短調(または眺(なが)め身近(みぢか)め)」(あうるすぽっと9月30日‐10月3日)
カンパニーデラシネラ「異邦人」(シアタートラム10月7日-13日)
城山羊の会プロデュース「微笑の壁」(ザ・スズナリ10月22日-31日)

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3人で語る「2010年9月はコレがお薦め!」

鳥公園「乳水」公演チラシ

★カトリヒデトシさんのお薦め・KUNIO 07「文化祭」(こまばアゴラ劇場9月3日‐6日)
・ゲキバカ「ワイルドターキー」(東京芸術劇場9月23日‐26日)
トリプル3演劇ワリカンネットワーク 南河内万歳一座「あらし」(すばるホール9月25日・26日)
★鈴木励滋さんのお薦め
劇団山の手事情社「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」(アサヒ・アートスクエア9月2日‐12日)
・「ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010」(王子小劇場・裏9月10日‐20日)
鳥公園「乳水」(日暮里d‐倉庫9月23日‐26日)
★徳永京子さんのお薦め
・さいたまゴールドシアター「聖地」(彩の国さいたま芸術劇場9月14日‐26日)
ナイロン100℃ Side Session「亀の気配」(サンモールスタジオ9月15日-20日)
・M&Oplays+PPPPプロデュース「」(本多劇場9月16日-26日、シアター・ドラマシティ9月29日)

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