演劇教育の先端で何が起きているのか-いわき総合高校の試み(後編)

 土佐有明

 前編では、今年で10年目を迎えるいわき総合高校の演劇教育の軌跡を辿り、濃密な演劇の授業を体験している生徒たちが、必ずしも役者や劇作家を志しているわけではない、という事実を最後に指摘した。卒業後に演劇を続ける生徒はおよそ2割から3割程度。<あくまでも、10代後半の多感な2年間に、学校の授業の一環として演劇に取り組むという特殊な状況が、彼ら/彼女らの演技の特殊な質感と深く相関しているのではないだろうか。>と、最後に締め括った。後編ではこの、演技の“特殊な質感”についてもう少し仔細に検証してみよう。
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演劇教育の先端で何が起きているのか-いわき総合高校の試み(前編)

 土佐有明

 福島県に、いわき総合高等学校という、演劇教育に力を注いでいる県立高校がある。02年に普通高校から総合学科へ鞍替えした同校は、特色ある学校づくりを目指し、選択科目に演劇の授業を導入。演劇を専門に指導する教諭(=ドラマティーチャー)ふたりを擁し、これまでに、前田司郎、柴幸男、多田淳之介、江本純子といった演出家を迎えてワークショップや公演を行っている。そして、そんな高校生たちのつくる演劇に、僕は去年から、周囲が呆れてしまうほど夢中になっている。公演や稽古を観る為に、現地に足を運ぶこと計4回。その度に、東北の片隅にまばゆい鉱脈のような“現場”を発見してしまった、という熱狂と興奮が湧き上がってくる。そこには、他の高校演劇や、東京の小劇場界では滅多に得られることのない“表現の原点”が、確かにあった。
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