地点『光のない。』

◎直示の倫理について
 よこたたかお

 本論考では、三浦基演出のイェリネク『光のない。』を扱う。本作品で用いられた演技術に焦点を当て、劇場倫理・表現の倫理について考察していく。分析の細かいところは、上演の回ごと・観客の視点ごとに違っていても不思議ではない。ご理解いただければ幸いである。

 2014年10月10日から13日、KAAT神奈川芸術劇場にて地点によるエルフリーデ・イェリネク『光のない。』が上演された。同作品は2012年の再演で、京都でも10月18日から19日に上演された(フェスティバル「KYOTO EXPERIMENT 2014」、京都芸術劇場 春秋座にて)。演出は三浦基。
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ジェローム・ベルとテアター・ホラ「不自由な劇場」

◎拍手は誰に贈るのか
 よこたたかお

はじめに

 去年の11月にフェスティバル・トーキョーと彩の国さいたま芸術劇場の共催により、『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』を上演してから、日本のダンス愛好家だけではなく、演劇愛好家や現代美術愛好家にも名前を知られ、既に一定数のファンを獲得しているジェローム・ベルの新作『不自由な劇場Disabled Theater』が今年の5月、チューリッヒのクンステン演劇祭で上演された。この作品はドイツ、スイス、フランスを巡回し、筆者が見たのはアヴィニョン演劇祭(フランス)での7月14日15時の回だ。この作品は既に11月まで上演が決まっている。
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維新派「風景画-東京・池袋」

◎劇評を書くセミナーF/T編 第3回 課題劇評

「風景画-東京・池袋」公演チラシ
「風景画-東京・池袋」公演チラシ

 ワンダーランドの「劇評を書くセミナーF/T編」第3回は10月22日(土)、にしすがも創造舎で開かれました。取り上げた公演は、維新派「風景画-東京・池袋」(2011年10月7日-16日)です。9月末の瀬戸内・犬島公演をへて、東京のデパート屋上(西武百貨店池袋本店4階まつりの広場)に登場したパフォーマンスはどのように変貌し、都会のど真ん中にどのように出現したのか-。提出された課題作を基に、講師の岡野宏文さん(元「新劇」編集長)のコメントを挟みながら、駅に隣接したデパート屋上という立地の特質、維新派の活動形態や俳優の特徴など活発な話し合いが続きました。
 以下の8本の劇評は、セミナーでの話し合いを基に加筆、修正されました。掲載は到着順です。
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台湾国立中正文化中心、SCOT「椿姫-何日君再来」(流行音楽悲恋花劇)

◎見えないものを見えるようにする
 よこたたかお

ふじのくに⇔せかい演劇祭(1) 論点
 2011年6月11-12日にかけて、静岡舞台芸術劇場で鈴木忠志演出の『椿姫―何日君再来』が上演された。
 この作品は『椿姫』(デュマ・フィス)から原作を取っている。とはいえ、小説版・戯曲版の『椿姫』の上演ではない。むしろ『椿姫』と言えばヴェルディ作曲のオペラ版が人口に膾炙しており、演劇よりもオペラ愛好家の中によく知られている作品だろう。鈴木忠志は既に2009年に『オペラ 椿姫』を上演している。従って、今回の『椿姫―何日君再来』は『オペラ 椿姫』(2009)への応答であったといえよう。
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