八木柊一郎作「コンベヤーは止まらない」

 今年亡くなった劇作家八木柊一郎の岸田戯曲賞受賞作「コンベヤーは止まらない」(1962年)の舞台をみてきました。桐朋学園芸術短大芸術科演劇専攻(2年)による試演会です。高度成長のとば口で、世の中の対立構図がくっきり見えた時代。生産効率一辺倒の工場相手に、下請けのさらに末端に位置づけられる内職家庭がストライキを仕掛けるというお話です。簡素なステージを縦横に生かした演出力もさることながら、労働組合とかストライキとかが死語になりかけているいま、学生にあえて古典的な骨格を持った物語をぶつける演出家の剛毅と侠気を感じる芝居でした。

“八木柊一郎作「コンベヤーは止まらない」” の続きを読む


HEP HALL プロデュース「ハムレット」

 「現代口語訳でよみがえる悲劇の名作。ゴシック・ボンテージなコスチューム。インダストリアルなノイズサウンド。21世紀を生きるあなたにこそ贈る、まったく新しい『ハムレット』。あなたはまだ本当の『ハムレット』を知らない」-こんなうたい文句でシェークスピアの「ハムレット」が大阪・梅田のHEP(Hankyu Entertainment Park)で上演されました(12月5-19日)。
 演出にランニングシアターダッシュの大塚雅史、舞台美術などをデザイナーの黒田武志、音楽はBABY-Qの豊田奈千甫、翻訳がTAKE IT EASY!の中井由梨子など。「中西理の大阪日記」がこの公演を取り上げています。

“HEP HALL プロデュース「ハムレット」” の続きを読む


大人計画「イケニエの人」

 「01年の『エロスの果て』以来ひさびさとなる、主宰・松尾スズキの書き下ろし。巨大レストランチェーンの店長候補となった男をめぐる人間模様を通して、「食べること」や「生きること」の意地汚さをシニカルな笑いの中に浮きぼりにします」-「n.p.d. blog」がこう書いている大人計画「イケニエの人」について、CLPサイトで長谷部浩さんが「むきだしの野心」とのタイトルで、「成熟してきた劇団組織が例外なく突きあたる普遍的な問題」を次のように書いています。

“大人計画「イケニエの人」” の続きを読む


金森穣Noism04 「black ice」

 金森穣のNoism04 「black ice」公演はさまざまな波紋を生じているようです。追記として 「中西理の大阪日記」と、舞踊批評家の志賀信夫さんが書いた「動くからだと見るからだ」の紹介を付け加えました。ここでは多数の貴重な写真が記載されています。(12/17)

 ダンサーとして振付家としてめざましい活躍を見せる金森穣が今年4月、りゅーとぴあ新潟市民芸術会館舞踊部門の芸術監督に就任。新潟レジデンスのプロフェッショナル・ダンス・カンパニーNoism04を率いて10月から全国公演を始めました。新潟、大津、山口、宮崎、高知、岐阜を経て12月10日から3日間、新国立劇場中劇場で東京公演を開きました。このステージについて「What Dance Says to Me (稲倉 達の書庫)」サイトが「芸術監督に拍手、振付家には小言」というタイトルの文章を掲載しています。

“金森穣Noism04 「black ice」” の続きを読む


第10回劇作家協会新人戯曲賞公開審査会

 「日本劇作家協会が主催する新人戯曲賞、本年は第10回目。公開審査会の進行は例年どおりであったが、オフィシャルな発表がまだのようなので、取り急ぎ、結果など」-「X-ray」サイトが、12月12日(日)に東京・新宿の紀伊國屋ホールで開かれた公開審査会の模様を詳細に伝えています。候補作を挙げ、審査の進行、審査員の発言などを紹介。審査会の特徴というか、特質と課題までがリアルに感じられます。


『シルヴィ・ギエム、コンテンポラリーを踊る』

 東京・五反田のゆうぽうと簡易保険ホールで『シルヴィ・ギエム、コンテンポラリーを踊る』公演が開かれました(11月30日、12月1-2日)。今回は欧米で注目されているラッセル・マリファントが振り付けた3作品「ブロークン・フォール」「トーション」(ねじれの意)「Two」が上演されました。ダンスレビューなどを掲載している「ine’s daypack」サイトはマリファントの振り付けに関して「ゆうぽうとのような大きなホールで、ファン目当ての上気した観客たちを前にやるのとは方向性が違うのではないか。スターを使わずに、シアタートラムくらいの小屋で、落ち着いた雰囲気でやるのがいい」と「上演のあり方にミスマッチ」があるとまず指摘。その理由について次のように述べています。

“『シルヴィ・ギエム、コンテンポラリーを踊る』” の続きを読む


燐光群「フィリピン ベッドタイム ストーリーズ」

 相変わらず精力的に活動を続ける燐光群が、フィリピンの劇作家育成プログラム「P.D.P (Playwright Developmant Program)」から生まれた作品を取り上げました(東京、森下スタジオ、11月24-29日)。このプログラムは劇作家、俳優、演出家らが96年から定期的にリーディング・作品分析を繰り返し、その中で選ばれた優秀作を上演する仕組みだそうです。文化庁在外研修でフィリピンに留学した演出家・吉田智久の本格デビュー作。2003年夏・マニラでの試演会を経て日本公演にこぎ着けました。公演は「ドゥルセの胸に1000の詩を」「代理母ビジネス」「離れられない」の3部(3作品)構成で、いずれも人間が産まれ、死んでいく場所「ベッド」を舞台にした作品です。

“燐光群「フィリピン ベッドタイム ストーリーズ」” の続きを読む