劇団八時半「完璧な冬の日」

 Wonderland はいまのところ東京中心になっていますが、各地の演劇活動も紹介したいと思っています。今回は大阪・京都・兵庫をフィールドにしているブログ「現在形の批評」主宰の藤原央登さんから、劇団八時半「完璧な冬の日」の大阪・精華小劇場公演の劇評をいただきました。「家族」と「運動」を取り上げつつ、「劇団」や「演劇」のありように迫ります。藤原さんは「振り返る私の2005」にも参加して、関西演劇の1年をまとめています。ご一読ください。
 「完璧な冬の日」は東京公演(3月16日-19日、こまばアゴラ劇場)が予定されています。言うまでもありませんが、読んでからみるか、みてから読むか、これから観劇予定の方はご留意ください。以下、全文です。

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人形劇団プーク「現代版・イソップ『約束…』」

 あーあ、おもしろかった。おもしろすぎて、涙が出てくるほど笑い転げてしまいました。風刺の効いたストーリー、卓抜な人形造形、熟達の演技と演出-。こまばアゴラ劇場が主催する「冬のサミット2005」に、昨年に続いて登場した人形劇団プークは、内外の公演で鍛えた技法をさりげなく駆使して、楽しくも切ないお話を届けてくれました。この人形劇団を選んだプログラムもすばらしいのですが、その機縁を倍にしておつりが出るほどの舞台をみせたプークにはおそれいりました。恐るべし、人形劇団プーク。

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地点「Jericho」

ご無沙汰してしまいました。ようやく復活の兆しが見えてきました。たいへん遅くなりましたが今年もよろしくお願いいたします。

さて、やや旧聞になりましたが、先月、シアタートラムで「地点」第10回公演 松田正隆戯曲2本立て「Jericho/沈黙と光」が上演されました。「地点」は、青年団リンクとして昨年まで活動した後、独立して京都へ拠点を移し活動している劇団です。噂を耳にし、気になりながらも観る機会がなく、今回の東京公演が初見となりました。日本語のセリフやストーリーを破壊的に再構成する、という方法論を聞き及んでいたのですが、少なくとも今回の公演は、そのような特徴もありますが、むしろそれらは特徴(魅力?)の半分に過ぎず、戯曲の内容を抽象的、美的な空間に再構成する創造力に惹かれました。まずは最初に観た「Jericho」について書いてみました。

地点『Jericho』


燐光群「スタッフ・ハプンズ」

 燐光群「スタッフ・ハプンズ」公演は、イラク戦争を主導した米国を始め、英仏などの首脳らがどのような遣り取りを交わして開戦に至ったか、それぞれの演説テキストなどによりながら展開したポリティカル・フィクションだそうです。飛行機事故のボイスレコーダーから、クルーの息詰まる遣り取りを描いた「CRV」公演に続くドキュメンタリー演劇でしょうか。
 ネット上の書き込みを見る限り、評価がかなり分かれています。ぼくは未見ですが、いくつかのサイトをたどりながら問題の所在を考えてみたいと思います。

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三条会「アトリエ杮落とし公演 2005年日本近代らりぱっぱ4部作」、そして『メディア』へ

◎月に跨り千葉通い

三条会が千葉市にアトリエを構えたらしい。そんな噂を耳にしたのは2005年の春である。1997年の旗揚げ以来、国内外さまざまの場所で演劇をつくってきた三条会が、ついに本拠地を手に入れたという報せは我が家を乱れ飛び、心はその話題で持切りだった。4月の落成に至るまでの事情は、Wonderlandに掲載された関美能留のインタビューに詳しい。戯れに、昨年梨園を賑せた中村屋の「ボス」襲名の言祝ぎに倣うなら、「新しい三条会」の活動はここから発信されるわけで、すでに、『メディア』(静岡野外劇場「有度」、5月)、『ニセS高原から』(こまばアゴラ劇場、9月)が生れている。そのアトリエの杮落とし公演が、市民参加の狂言『新・千葉笑い』(千葉文化センターアートホール、12月8日)を間に挟みながら、霜月から師走に跨る毎週末に、週変りで上演された。

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こまつ座『兄おとうと』

◎「唄芝居」の愉しさ

 『兄おとうと』は、今やこまつ座のお家芸となった「唄芝居」の真骨頂である。「吉野作造の評伝劇」というと何だか堅苦しそうだし、「憲法をわかりやすく考える」などと云われたらヤッパリイイデスと腰が引けてしまいそうだが、そうした主題を愉しく伝えるのが、一つ「唄」の効用である。そして、いかな偉人も「人びと」の一人であるというユーモア感覚が、学者と役人の、国家や憲法をめぐる議論を、「人びと」の暮しにまで降ろしてくれる。初演と変らぬ、辻萬長・剣幸・大鷹明良・神野三鈴・小嶋尚樹・宮地雅子という練達の俳優六人を擁し、戯曲の持つ明るさや軽演劇調の笑いを、鵜山仁がたっぷり懐の深い演出で包みこむ。戯曲と俳優、演出家、そしてスタッフの幸福な出会いが結晶したアンサンブルは、作品ごとにプロデュース・システムをとるこまつ座でも出色の座組みである。

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庭劇団ペニノ「ダークマスター」

庭劇団ペニノ「ダークマスター」公演は不思議な芝居でした。物語に起承転結はあるのですが、それが大事かというと、どうもそうではなさそうです。オブジェというか、大がかりな舞台セットが圧倒的な存在感で迫る芝居。ほとんどそれに尽きるようなお話だったといえばいいのではないでしょうか。ただ、その先が問題ではありますが。

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中野成樹インタビュー

インタビューランド第4回 「根っこはないけど大切にしたいものはある-『誤意訳版』翻訳劇の源」を掲載しました。
「中野成樹(POOL-5)+フランケンズ」の中野さんは、昨年岸田國士戯曲賞を受賞したチェルフィッチュの岡田利規さんらと共に、横浜STスポットの契約アーティストとして知られ、「誤意訳」と銘打って翻訳劇に取り組む異色の演出家です。東京国際芸術祭「アメリカ現代戯曲&劇作家シリーズ・ドラマリーディング」で『セックスハビッツ・オブ・アメリカンウィメン』」(2月11日-12日)の演出を担当。今年の活躍が期待される1人です。いまなぜ翻訳劇か、誤意訳とは何か、演劇のおもしろさに迫るインタビューをご一読ください。聞き手はwonderland執筆者でもある柳沢望さんです。