写真を追加掲載 「TOKYOSCAPE」 と「会議」

「TOKYOSCAPE」(高野しのぶ、8月17日掲載) と「会議」(7月17日掲載)原稿に写真を追加掲載しました。TOKYOSCAPEの写真はいずれも筆者の高野さん撮影。雰囲気が出ています。「会議」の舞台は、石塚景子さんの撮影です。

ポかリン記憶舎「煙の行方」

◎「存在の演劇」というフィールド 新たな演劇の地平が立ち現れてきた  中西理(演劇コラムニスト)  1990年代半ば以降の日本現代演劇を振り返ると、群像会話劇の形式でその背後に隠れた人間関係や構造を提示する「関係性の演劇 … “ポかリン記憶舎「煙の行方」” の続きを読む

◎「存在の演劇」というフィールド 新たな演劇の地平が立ち現れてきた
 中西理(演劇コラムニスト)

 1990年代半ば以降の日本現代演劇を振り返ると、群像会話劇の形式でその背後に隠れた人間関係や構造を提示する「関係性の演劇」が大きな流れを作ってきた。平田オリザや岩松了、宮沢章夫らがその代表である。2000年以降それを凌ぐ大きな流れをつくっていくのが「存在の演劇」である。「舞台上の俳優ならびにその関係性が醸し出す空気をただ見せていく」というもので、明神慈もそのひとりである。

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reset-N『パンセ2006』

◎洗練されたスタイルの完成形 新しい展開の始まりを  小笠原幸介(Cut In 編集部)  reset-Nは、作・演出の夏井孝裕による重厚な脚本と、ステージデザイン、音響、照明等、スタイリッシュな舞台効果で注目を集める東 … “reset-N『パンセ2006』” の続きを読む

◎洗練されたスタイルの完成形 新しい展開の始まりを
 小笠原幸介(Cut In 編集部)

 reset-Nは、作・演出の夏井孝裕による重厚な脚本と、ステージデザイン、音響、照明等、スタイリッシュな舞台効果で注目を集める東京の劇団だ。今回上演の『パンセ』という作品は3年前に初演されたもので、今回はその改訂版の再演。そのプレビュー公演を見ることができた。

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TOKYOSCAPE

◎TOKYOSCAPEで、KYOTOトリップ!- 東京6劇団による同時多発公演 in 京都
高野しのぶ(「しのぶの演劇レビュー」主宰)

東京で個性的かつ精力的な活動を続けている6つの小劇場劇団が、京都の4つの会場で同時多発公演をおこないました。それがTOKYOSCAPE(トーキョー・スケープ)。小劇場観劇フリークの間ではこの夏、「京都、いつ行く?」「何と何を観る?」など、TOKYOSCAPEの話題で持ちきりでした。

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週刊「マガジン・ワンダーランド」第3号

 週刊「マガジン・ワンダーランド」(Weekly Magazine Wonderland) 第03号が発行されました。  中西理さん(演劇コラムニスト) がポかリン記憶舎「煙の行方」公演を取り上げ、「存在の演劇」というカ … “週刊「マガジン・ワンダーランド」第3号” の続きを読む

 週刊「マガジン・ワンダーランド」(Weekly Magazine Wonderland) 第03号が発行されました。
 中西理さん(演劇コラムニスト) がポかリン記憶舎「煙の行方」公演を取り上げ、「存在の演劇」というカテゴリーを提起しています。ほかにCut In 編集部の小笠原幸介さんがreset-N『パンセ2006』(東京公演)を、高野しのぶさん(「しのぶの演劇レビュー」主宰)が、京都へ出かけてTOKYOSCAPEフェスティバルの全体像を報告しています。いずれもTOKYOSCAPEフェスティバル絡みの内容です。
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10月に第7回フィジカルシアターフェスティバル

 第7回フィジカルシアターフェスティバルが10月3日-9日の日程で、東京・江古田のストアハウスを舞台に開かれます。同フェスティバルは「現代演劇の可能性を、その身体に関わる問題として模索するために開催され」「韓国・インドネ … “10月に第7回フィジカルシアターフェスティバル” の続きを読む

 第7回フィジカルシアターフェスティバルが10月3日-9日の日程で、東京・江古田のストアハウスを舞台に開かれます。同フェスティバルは「現代演劇の可能性を、その身体に関わる問題として模索するために開催され」「韓国・インドネシア・ロシア・日本の4カ国の演劇人が、それぞれの作品をたずさえて、舞台上でのバトルを繰り広げる」そうです。

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ピースリーディングと緊急声明

今年も終戦の夏を迎えます。間近に迫ってからの紹介ですが、14日(月)夕、「非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディングvol.9」が東京・新宿の全労済ホール(スペース・ゼロ)で開かれます。米国などのイラク戦争を契機に始まったこの企画も9回目。構成・演出は渡辺えり子さんです。第一部「動物たちが消えた日」リーディングは、戦時下の動物たちの姿を、人形とマイムと歌と音楽を交えて描く、渡辺えり子さんの新作。対談「井上ひさし×渡辺えり子」を挟んだ第二部は、昨年12月に上演した、1941年12月8日の真珠湾攻撃・開戦前から敗戦までの人々の姿を描いた「日本の戦争」再演です。

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青年団若手自主企画「会議」

◎滑らかな手法でツボを押さえる でも電信柱はどこへ…

 演出の狙いが明確で、焦点が絞られた芝居をみるのは快適な気分です。枝葉を切り払い、ドラマツルギーにしっかりした見通しを与えるならなおさらでしょう。しかし枝葉と思ったのが隠し味だったり極めつけの伏線だったりするかもしれません。別役実作「会議」に取り組んだ青年団若手自主企画公演は、翻案・演出にまつわる悩ましい問題を浮き彫りにする例だったような気がします。

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三条会の「レミング~世界の涯てへ連れてって~」

◎舞台に生きた「夢そのものの劇」
後藤隆基(立教大学大学院)

ここに一枚の地図がある。右上に大きく「道のり」と印刷された地図には「千葉公園内特設三条会劇場」までのモデルコースが三種ほど記されていて、たとえばJR千葉駅西口からの最短距離を急ぐのもよし、東口から緑の歩道をたどってみたり、あるいは快速の止らぬ西千葉駅で下りて一寸のんびり歩いたっていい。むろん以外のルートをさがしてみても一向かまわないのである。特設三条会劇場にいたる「観客の散歩道」はそのまま千葉という都市の描写であり、地図を手に歩くわたしたちは仕掛けられた前提をたどりながら劇場へと向かうだろう。それはもう、観客が「三条会の『レミング~世界の涯てへ連れてって~』」と出会うための〈第一場〉なのだった。

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劇団 山縣家「ホームビデオ」

◎創作と上演の関係について考えたくなってきた
中野成樹(中野成樹+フランケンズ主宰)

横浜は鶴見に暮らすある一家。父と母と息子が二人。父母は自営業をいとなんでいる。父は今年のはじめに体を壊し、入院し家族を心配させたが無事退院、日常に戻った。母は家事をこなし仕事をこなし、たまにバイトもしてるとか。息子二人は双子なのだが、二卵性なので顔はあまり似ていない。兄は最近家を出て実家の近所で暮らしている。弟はまだ実家にいる。二人ともいわゆる就職はしていない。まあ、ごく普通の家族である。劇団山縣家とは、つまりそんな人々で成り立っている。こんな言葉があるかないかは知らないが、家族劇団である。「家族のような」でもなく、「もはや家族だ」でもなく、正真正銘ただの家族である。そして劇団でもある。家族でわいわいとアイディアを出し合い、いちおう父が作・演出の総まとめ。90年代後半より一・二年に一本のペースで作品を発表している。

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