4人目のレジデントアーチストを公募 横浜の「急な坂スタジオ」

 横浜市と舞台芸術NPOが昨年末に開設した「急な坂スタジオ」がレジデント・アーティスト(RA)を公募しています。募集人員は1人。稽古場を今年4月から2年間優先的に無償で使用できるほか、設立時からRA として活動している矢内原美邦(ニブロール)、岡田利規(チェルフィッチュ)、中野成樹(フランケンズ)らとの交流や、公開ワークショップなどを通じて幅広い活動に参加できるなど、可能性を試そうとする演劇・ダンスグループにとって、新たな展開を図る機会になりそうです。

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大橋可也&ダンサーズ「CLOSURES」

◎コントロールを遊ぶむき出しの時間
 木村覚(ダンス批評)

 大橋可也の作品が見る者を唖然とさせるとき、そこには独自の「時間」が出現している。だからぼくにとって、大橋は時間の作家である。観客をもてなす何らの物語も、舞台上の人物による自己告白もなく、経過する時間。受け身の観客に満足を与えるイリュージョンのヴェールはあっさりはぎ取られ、むき出しでからっぽな、裸の時間が、劇場の閉じた空間に放り出される。

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燐光群「チェックポイント黒点島」

◎この一言を言うために-「世界はこの場所で、お互いに繋がる」
高木龍尋(大阪芸術大大学院助手)

「チェックポイント黒点島」公演チラシかつて私は大学の文芸創作の授業で、今は退職されてお会いする機会もなくなってしまったけれども、今なお健筆を揮っておられる小説家の先生にこう伺ったことがある。
「この一言、この一行を書きたいがためにながなが書くことがあります。これも悪いことではありません」

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らくだ工務店「幸せのタネ」(上)

1.「静かな演劇」とらくだ工務店
堤広志(演劇・舞踊ジャーナリスト)

「幸せのタネ」公演チラシ●変節の年だった2006年
昨年(2006年)は、小劇場界にとって変節の年だったのではないかと私は考えている。それは奇しくも若手劇団の登竜門である二つのフェスティバル-パルテノン多摩小劇場フェスティバルとガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル(GGフェス)-が、ともに休止となったことに象徴されるだろう。一般的には無名に近い若手の小劇団が知名度や評価を獲得していく上で、こうしたフェスティバルはとても重要な機会である。しかし、そのステップアップのための檜舞台も、経済不況からくる劇場施設の移譲や方針転換から、近年は減少傾向にある。こどもの城「青山演劇フェスティバル」、グローブ座「春のフェスティバル」、新宿シアターサンモール「コマーシャル・サーカス」等が次々と開催を取り止め、最後まで残っていたこの二つのフェスティバルも、今また休止に至ってしまった。

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20世紀ダンス入門講座

20世紀ダンス入門講座チラシダンスはとらえがたいと折にふれ言われます。基本的にせりふがなく、身体を手がかりにするしかないけれど、確かにその動・静の文脈が分からないと戸惑ってしまいます。そこで20世紀初めのダンスムーブメントから現代日本のシーンまで、ダンスはもちろん演劇、音楽、美術などに詳しいゲストを迎えて送る中身ぎっしりの講座が始まります。「超詳解20世紀ダンス入門」。2月の週末5日間に集中して計8回。実演家のデモや映像資料も交えて構成・レクチャーするのは、ダンス批評を手掛ける木村覚さん。主催は横浜・STスポット。会場は、年末にオープンした「急な坂スタジオ」です。料金は1回1500円、8回通しで5000円。申し込みはSTスポット(電話045-325-0411)またはwebサイトから。

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岸田國士戯曲賞は該当作なし

 第51回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が1月22日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、今回は授賞作なしと決まりました。該当作がなかったのは2002年以来5年ぶり。  選考委員は井上ひさし・岩松了・鴻上尚史・坂手洋二・永井愛・野田秀樹・宮沢章夫の7人ですが、今回井上委員は欠席。
追記:「選評」が白水社のwebサイトに掲載されました。選考委員のことばをじっくり読むことができます。
http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/review51.php

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五反田団「さようなら僕の小さな名声」

◎布団の奥に広がる宇宙 普遍性への通路としての自己パロディ
柳澤望

「さよなら僕の小さな名声」公演のチラシ0.

五反田団の新作『さようなら僕の小さな名声』では、台本と演出を手がける前田司郎本人が自分役で舞台に登場する。岸田戯曲賞の候補になりながら受賞を逃した(二回も)という経験を踏まえた物語が始まる。

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新国立劇場「エンジョイ」(岡田利規作・演出)

◎ 「演劇をやってほしい」という熱い周囲の期待を、岡田利規はどのように裏切ることが可能か?
森山直人(京都造形芸術大助教授)

「エンジョイ」公演チラシ“verisimilar”という英単語がある。「迫真的」という訳語をあたえられたりもするが、もともとは“very similar”、つまり、「非常によく似ている」「本物そっくりである」という意味である。
いまや「リアル」という言葉が、あまりに手垢にまみれてしまったとすれば、「本物そっくりである」というこの単語の切り口は、岡田利規(チェルフィッチュ)が、近年高く評価されているその一端を確実に言い当てていると言える。

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青年団「ソウル市民」三部作

◎共時的構造を重ねて「歴史」を提示する 平田版「桜の園」の予感も
 中西理(演劇コラムニスト)

 平田オリザによる「ソウル市民」3部作は非常に興味深い舞台であった。この3部作はそれぞれが独立した作品でありながら、あきらかに同一の形式(最後に明らかに不条理なことが起こって終わることなど)が変奏を加えながら反復されるという特異な構造を持っている。そして、その形式性がちょうどクラシック音楽における交響楽がそうであるようにそれぞれ独立した音楽としてのまとまりをそれぞれの楽章が持っているのにその形式がひとつのかたまりとしての一体感を与えるというような構造を持つ、ここにこの3部作の大きな特徴があった。

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