青年団「ソウル市民」三部作

◎成熟と喪失-舞台表現と「歴史」との困難な“出会い”  松本和也(近・現代演劇研究)  2006年、「歴史研究の中でも、帝国主義と植民地主義をめぐるテーマほど、人間の熱意と感情を刺激するものはない。」というマーク・ピーテ … “青年団「ソウル市民」三部作” の続きを読む

◎成熟と喪失-舞台表現と「歴史」との困難な“出会い”
 松本和也(近・現代演劇研究)

 2006年、「歴史研究の中でも、帝国主義と植民地主義をめぐるテーマほど、人間の熱意と感情を刺激するものはない。」というマーク・ピーティーの言葉を実証するかのように、平田オリザが『ソウル市民 昭和望郷編 Citizens of Seoul 1929:The Graffiti』を新作として書き下ろし、『ソウル市民 Citizens of Seoul』・『ソウル市民1919 Citizens of Seoul 1919』と併せて『ソウル市民』三部作の連続上演を行ったことは、演劇界で小さからぬ話題となったものでした。『その河をこえて、五月』のような、韓国との国際交流プロジェクトを2度も成功に導いた平田オリザですから、話題性ばかりでなく観客の期待も高く、青年団らしからぬ(といってよいのでしょう)「完売」公演が続出し、追加公演もうたれたようです。

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青年団「ソウル市民」三部作

◎重層的な時間と空間を埋め込む代表作
今井克佳(東洋学園大助教授)

公演プログラムの表紙2005年12月にシアタートラムで、フレデリック・フィスバック演出の「ソウル市民」を観た。そこではすでに今回の「青年団」による「ソウル市民」三部作予告の仮チラシが配布されていたが、そこに「本物は一年待ってください」というような意味のキャッチコピーが使われていて、「なんと傲慢なことよ」と記憶に残っていた。が、なるほど、今回の三部作を並べて観ることができたのは貴重な体験であり、あながちあのキャッチはおおげさというわけではなかった気がし始めた。

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青年団「ソウル市民 昭和望郷編」

◎「器用な指先」が生んだ演劇性 劇作の王道を踏み、意外なまでにクラシカル
谷賢一(演劇ユニットDULL-COLORED POP主宰)

青年団第52回公演チラシ 1990年代初頭、現代日本演劇の静かな破壊者として現れ、シーンを大きく揺さぶった平田オリザだが、1982年生まれの自分は深夜のNHK-BS2で初めて彼の芝居を観たとき、「何だか地味なことやってるなぁ」とひどく冷淡だったことを覚えている。これは演劇である必要があるんだろうか、とも。

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身体表現批評誌「コルプス(Corps)」25日創刊

 舞踊、ダンス、バレエ、舞踏、パフォーマンスなどの身体表現を論じる批評誌「コルプス」(Corps)が1月25日に創刊されます。A5判96ページで季刊。定価500円。誌名はラテン語で「身体」の意味だそうです。  創刊号特集 … “身体表現批評誌「コルプス(Corps)」25日創刊” の続きを読む

 舞踊、ダンス、バレエ、舞踏、パフォーマンスなどの身体表現を論じる批評誌「コルプス」(Corps)が1月25日に創刊されます。A5判96ページで季刊。定価500円。誌名はラテン語で「身体」の意味だそうです。
 創刊号特集は、生誕100年を迎えた舞踏家「大野一雄」です。バレエ中心の雑誌はいくつも発売されていますが、コンテンポラリー・ダンスや舞踏など身体表現全体を視野に入れ、批評に絞った雑誌として貴重なメディアになりそうです。

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東京国際芸術祭2007は2月1日から

 東京国際芸術祭2007が2月1日から3月30日までの2か月間、東京のにしすがも創造舎を中心に開かれます。国際的なつながりや社会性を強く意識して、今年もアメリカ現代戯曲のドラマリーディングを続け、中東シリーズではレバノン … “東京国際芸術祭2007は2月1日から” の続きを読む

 東京国際芸術祭2007が2月1日から3月30日までの2か月間、東京のにしすがも創造舎を中心に開かれます。国際的なつながりや社会性を強く意識して、今年もアメリカ現代戯曲のドラマリーディングを続け、中東シリーズではレバノンから世界のアート界に旋風を巻き起こすアーティスト、ラビア・ムルエによる世界初演の新作をプロデュースするほか、チュニジアのファミリア・プロダクション(「囚われの身体たち」)、ウズベキスタンのイルホム劇場(プーシキン原作「コーランに倣いて」)、アイルランドのドルイド・シアター・カンパニー(J・M・シング作「西の国のプレイボーイ」)を招聘。国内ではレジデントアーチストの倉迫康史、阿部初美、高山明(ともに演出家)の作品を提供します。
 またベケットの生誕100年を記念して、彼のラジオ台本2作品をチェルフィッチュの岡田利規と阿部初美の2人が公開収録し、ネットラジオで配信する試みも話題を呼びそうです。

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3度目の新年を迎えて

 あけましておめでとうございます。  東京は穏やかなお正月でした。みなさまはいかがお過ごしでしたか。  マガジン・ワンダーランドは3度目の新年を迎えることができました。ここまでこれたのは、みなさまのご協力の賜物です。心か … “3度目の新年を迎えて” の続きを読む

 あけましておめでとうございます。
 東京は穏やかなお正月でした。みなさまはいかがお過ごしでしたか。
 マガジン・ワンダーランドは3度目の新年を迎えることができました。ここまでこれたのは、みなさまのご協力の賜物です。心から感謝します。

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