庭劇団ペニノ『笑顔の砦』

◎マメ山田からの脱却
 吉田俊明(観劇の一涙・劇人)

2月24日、駅前劇場にて庭劇団ペニノの公演を見てまいりました。この劇団を鑑賞するのは今回で3回目でしたが、これまでと比べてマメ山田という看板役者が引いて物語の構成が前面に出た良作と言えるだろう。

http://www.gekinchu.com/critic/2007/02/post_59.html


東京芸術見本市(TPAM)が3月5日開幕

 演劇・ダンス・音楽などの舞台芸術を内外の劇場の制作者、フェスティバル・ディレクターらに紹介する東京芸術見本市(TPAM=ティーパム)が3月5日から8日まで東京国際フォーラムと東京・丸ビルホールで開かれます。この催しは今年で11回目。主目的は関係者向けの出会いと作品の売買の場ですが、「ヴィジュアル・プレゼンテーション」や併設事業の「インターナショナル・ショーケース」のプログラムは選ばれた舞台作品のハイライトが映像やライブで集中的にみられるため、一般の参加者(ビジター)の関心も高いようです。一般の入場は4日間通しパス(4,000円)と1日パス(2,000円)。TPAMフリンジやランチミーティングなどの有料プログラムは別料金。詳しい日程などはTPAMのwebサイトをご覧ください。

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神村恵カンパニー「山脈」

◎「動かされる」身体から生まれる不気味さ
 伊藤亜紗(ダンス批評)

 神村恵の作品で面白いのは空間性だと思って以前から注目していた。空間性といっても「体を大きく使いなさい」とかそういうことではない。ひとことで言うと、ダンサーがちゃんとリアルな空間のなかにいるという意味だ。ダンサーが、三次元的に広がっている空間の中に自分がいるということに対して自覚的なのである。

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大野一雄 百歳の年 ガラ公演「百花繚乱」

◎ありえないほどの密度 舞踏家、舞踊家が全力投球
志賀信夫(舞踊評論家)

大野一雄。舞台終了後のパーティで
【写真=大野一雄。舞台終了後のパーティで】

大野一雄は1906年(明治39年)生れの舞踏家。1960年代に土方巽とともに舞踏を創りあげ、1977年には『ラ・アルヘンチーナ頌』を契機に舞踏を世界に広めた。2000年に舞台で倒れてから次第に立てなくなったが、支えられ、床の上や車椅子で踊ってきた。昨年百歳を迎えて写真展や公演が行われ、本年1月末に国内外の著名な舞踏家、舞踊家が結集する公演が神奈川県立青少年センターで開かれた。こういう舞台は顔見世に終りがちだが、舞踏家、舞踊家の全力投球で密度の高い舞台となり、まさに「百花繚乱」だった。

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流山児★事務所「浮世混浴鼠小僧次郎吉」

「相対化された『子之刻』=日本の『ゼロ時間』(村井華代)の「後編」(週刊マガジン・ワンダーランド第30号掲載、2月21日発行)は、「前編」と一体化しました。次のページをご覧ください。
http://www.wonderlands.jp/archives/12215/


流山児★事務所「浮世混浴鼠小僧次郎吉」

◎相対化された「子之刻」=日本の「ゼロ時間」
村井華代(西洋演劇理論研究)

「浮世混浴鼠小僧白き地」公演チラシ今回の流山児★事務所公演は佐藤信の1970年の戯曲『浮世混浴鼠小僧次郎吉』である。演出は流山児★事務所五度目のゲスト演出となる天野天街。社団法人日本劇団協議会の「次世代を担う演劇人育成公演」枠の公演でもあり、事務所のアトリエSpace早稲田開場10周年記念公演第二弾にも当たる。流山児祥によれば、Space早稲田は、この戯曲が初演された「アングラ」発祥の地・六本木アンダーグラウンドシアター自由劇場の当時の空間に「そっくり」なのだそうだ。

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若手演出家コンクール2006最終審査は2月26日から

若手演出家コンクール2006チラシ若手演出家コンクール2006(日本演出者協会主催)の最終審査が2月27日から3月5日まで東京・下北沢の「劇」小劇場で開かれます。
第2次審査で優秀賞に選ばれた5人が上演時間約1時間のステージを公開。最終日の公開審査で最優秀賞(賞金50万円)が決まります。全5作品を2000円でみられるほか、全作品をみたら観客賞の投票ができるのもこのコンクールの特徴です。

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らくだ工務店「幸せのタネ」(下)

3.「ポスト静かな演劇」の表現的冒険
堤広志(演劇・舞踊ジャーナリスト)

「幸せのタネ」公演チラシ●「上演」への評価
公演に参加できなくなった劇団員たちに替えて、他劇団から多くの客演を頼んだ『幸せのタネ』。長年培ってきたアンサンブルの妙味が崩れるのではないかといった傍目の心配をよそに、舞台は成功裡に終わった。また、劇団としてのこの大きな転換点は、結果的に俳優の資質を活かす石曽根の演出家としてのセンスを証明するに充分な機会ともなった。

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三条会「ひかりごけ」

◎演劇的な読替えの愉しみ 濃厚で圧縮された舞台
片山幹生(早稲田大学非常勤講師)

「ひかりごけ」公演チラシ2001年に初演されて以来、再演を重ねてきた三条会の「ひかりごけ」の公演を下北沢、ザ・スズナリで見る(2007年1月19日)。三条会の独創的な舞台についての高い評価はこれまで何度も目にしていたが、私が三条会公演を観たのは今回がはじめてである。

三条会のウェブページ上には、自身の表現形態の特徴について以下のように記載されている。

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shelf「構成・イプセン-Composition / Ibsen」

◎<母>と<子>が戯れるほかないポスト・ヒストリカルなユートピア/ディストピア
大岡淳(演出家・演劇批評家)

「構成・イプセン-Composition/Ibsen」公演から
写真提供=shelf &copy

矢野靖人の演出作品をきちんと鑑賞するのは、これが初めてである。ただ以前、演劇千年計画のワークショップ成果発表会で彼の演出に触れ、その静謐な美学には並々ならぬものを感じ、注目していた。短時間の発表会から感じられたのは、どうやら彼の演出には、身体・空間・光・音といった諸要素をどう結合させ調和させるかという課題に関して、明確なビジョンが存在しているということであった。言ってみれば、演劇というよりもパフォーマンスとしての完成度の高さを感じ、ではここに物語という時間軸を導入したらどうなるのか、という点に興味を持った。その矢野が、名古屋の七ツ寺共同スタジオでイプセンを上演すると聞き、さっそく名古屋に赴いて鑑賞に及んだ。

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