◎二人の娼婦が示唆する女性の在り方
葛西李奈(フリーライター)
カーテンコールで頭を下げた黒服の二人を見て、永久に抜け出せない暗闇に迷い込んだような気持ちになった。物語の中盤で静かに提示された謎を追っているうちに、果てしない孤独に近づいている自分に気づいた。それは公演内の台詞を借りれば、湿り気を帯びた気配に追われるように、私の心身を侵食するものだった。終演後、すぐには舞台上で起きた事象に意味付けをすることができず、私は劇場を出てから、悶々としつつ思考をめぐらせた。
小劇場レビューマガジン
◎二人の娼婦が示唆する女性の在り方
葛西李奈(フリーライター)
カーテンコールで頭を下げた黒服の二人を見て、永久に抜け出せない暗闇に迷い込んだような気持ちになった。物語の中盤で静かに提示された謎を追っているうちに、果てしない孤独に近づいている自分に気づいた。それは公演内の台詞を借りれば、湿り気を帯びた気配に追われるように、私の心身を侵食するものだった。終演後、すぐには舞台上で起きた事象に意味付けをすることができず、私は劇場を出てから、悶々としつつ思考をめぐらせた。
◎イメージ重視で破壊衝動をオーバードライブ 「妄想劇」の先駆
中西理(演劇コラムニスト)
クロムモリブデン(以下クロムと省略)の新作「マトリョーシカ地獄」(作演出・青木秀樹)をin→dependent theatre 2ndで見た。「直接Kiss」(2003年)、「なかよしShow」(2004年)、「ボーグを脱げ」(2005年)、「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」(同)。ここ数年間、年間ベスト級の傑作を連発し「関西でもっとも注目すべき集団」といい続けてきたクロムだが、一昨年秋にその拠点を東京に移した。
京都舞台芸術協会からメールマガジン創刊5号が届きました。 天野天街(少年王者館)×ごまのはえ(ニットキャップシアター)の対談、ローザス『Desh』公演のレビュー(山口茜/トリコAプロデュース)などのほか、西田聖さんの … “京都舞台芸術協会メールマガジン第5号” の続きを読む
京都舞台芸術協会からメールマガジン創刊5号が届きました。
天野天街(少年王者館)×ごまのはえ(ニットキャップシアター)の対談、ローザス『Desh』公演のレビュー(山口茜/トリコAプロデュース)などのほか、西田聖さんの舞台用語解説第5回「暗転」などコンパクトで中身の濃いマガジンです。申し込みは京都舞台芸術協会のサイトから。
◎身体を持ちつつ身体を語る困難
武藤大祐(ダンス批評)
シンガポールのジョヴィアン・ンによる「私のダンス」セッションでは、ジョヴィアンと手塚夏子の間に、文化背景を超えた意外な接点が見つかった。ジョヴィアンは比較的遅くなってからダンスを始めた人だが、学校であらゆるダンス・テクニックを学んだ結果、どのテクニックも体を関節単位でしか使っていないということに気付き、最近は普段あまり意識しないような筋肉を動きの起点にする実験に取り組んでいるという。手塚の『私的解剖実験』シリーズも、まさに体を普通とは違った視点から観察し、分析し直すというところから出発している。もちろん細かく見ていけば方法論は異なるが、同じようなことを考えている人がいた、という純粋な驚きがあった。