France_pan「貝を棒で」

◎男と女の距離と作品と作品の距離、そして観察者
高木龍尋(大阪芸術大学大学院助手)

「貝を棒で」公演チラシFrance_panの公演は観ようと思っていた。というのも、前回公演「前向きな死に方」(2007年3月、精華小劇場)が私にとって衝撃的な作品だったからである。関西、というよりも大阪の小劇場には珍しく、何もしない、作品だった。何もしない、というのは勿論、芝居をしない、ということではない。舞台の上から観客の反応、つまりはウケを無闇に狙わないということだ。ひとりのダメ男が自殺するまでを淡々と舞台の上に載せてゆき、後方に張られた男の生命線となっている赤い糸を自ら切る瞬間へと集中してゆく作品には、観客に媚びたような箇所は全くなかった。ただ、作品の中の時間を進めてゆく…… それがダメ男の感覚の虚無と異常を客席にまでしのばせてきていた。

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京都芸術センター舞台芸術賞に筒井潤さん(dracom)

 次代の舞台表現を切り開く上演の担い手を発掘、サポートする京都芸術センター舞台芸術賞の審査会が9月23日に開かれ、舞台芸術集団dracomの代表の筒井潤さん(作・演出)が選ばれました。賞金50万円のほか、2008年度に首都圏での上演会場が提供されます。
http://www.tp-kac.com/KAC_TP_j_award.html

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劇団文化座「二人の老女の伝説」

◎命を使い切る老女の姿が感動的 二人のベテラン女優が描き出す
芦沢みどり(戯曲翻訳家)

「二人の老女の伝説」公演チラシ讃岐うどんと団扇で知られる香川県の丸亀で芝居を観た。盛夏の数日を旅に出たいと思っていた矢先、四国で再演される舞台があるという話を耳にした。2005年2月に紀伊国屋サザンシアターで初演された劇団文化座の「二人の老女の伝説」で、私は観そびれていた。タイトルロールの二人の老女を佐々木愛と新井純が演じると聞き、ぜひ観てみたいと思った。そこで旅は四国と定め、この芝居の観劇を旅程に加えた。さいわい出発までに間があったので、つてを頼って上演台本を送ってもらった。台本の表紙には<コーラスと音楽を伴うドラマ:二人の老女の伝説:ヴェルマ・ウォーリス『ふたりの老女』、星野道夫『森と氷河と鯨』他による。脚本・詞・演出=福田善之>とたくさん文字が並んでいる。これは大変。そこで今度は図書館へ走り、ウォーリスと星野道夫の本を借りてきて読んだ。両方ともこの夏の猛暑を忘れるほどの面白さだったが、芝居に対する興味と同時にまた疑問も膨らんで来た。

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空間ゼリー「穢れ知らず」

◎純愛の果ての崩壊と救い 背後にあるいくつもの真実
葛西李奈(フリーライター)

「穢れ知らず」公演チラシひたすらに隠し続けていた秘密が明かされた瞬間。劇場中に響きわたったのは、真っ白な肌を持つ、女の慟哭だった。やり直しがきかない現実は存在する。泣きわめきながら、周囲の人々の足元にすがりつく女の姿は、その事実を嫌というほど観客に知らしめていた。許しはどこにもない。味方は誰もいない。果てしなく広がる絶望。そんな孤独の中で生きる地獄よりも死を選んだ女は、むしろしあわせだったのではないかと思えた。光なき世界をまえに、愛する男の手によって息絶えることが、女にとっては最大の救いだったのかもしれない。脳裏に焼きついた作品の内容を思い浮かべながら、ぼんやりとそんなことを考えた。

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神村恵「間隙」-POTALIVE 駒場編Vol.2『LOBBY』

◎定規となった身体、測ることで生まれる時空
 木村覚(ダンス批評)

 この夏は、「生粋の」とでも形容するべきダンサーたちの公演をたて続けに見たという印象がある。黒沢美香と木佐貫邦子とが競演した『約束の船』。昨日(9/16)見た『ミミ』でも、室伏鴻と黒田育世のコラボレーションがあった。どちらも技量ある2人の意外な組み合わせ。とはいえ、意外性や話題性に寄りかかることなく、組み合う2人のベストなクロッシング・ポイントを求めて、『約束の船』も『ミミ』もある程度しっかりした構成を拵え上げていた。

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さいたま芸術劇場「エレンディラ」

◎真夏の演劇異種格闘技戦から生まれた「異空間」物語
今井克佳(東洋学園大准教授)

「エレンディラ」公演チラシ広々と何もない舞台奥の暗闇から現れる行列。まるで地平線のかなたから歩み出たかのようだ。照明で作られた大きな円に沿って、輿に乗った怪物のような巨体の祖母(瑳川哲朗)に、極端に長い柄のこうもり傘をさしかけた貧弱な徒歩のエレンディラ(美波)、そして使用人たちが家財道具を運んでいく。作品の舞台となる南米コロンビアの広大な砂漠のイメージだろう。登場人物たちが現れ、消える地平線の遠さが実感できるスケールの大きさだ。舞台の両サイドには物語の語り手たちを配置させる。縦横に広がる舞台空間を堪能するには舞台正面、そしてむしろ後方の座席のほうがよい。

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10月から「THE GAZIRA 20年の軌跡展」

 現代演劇で活躍する劇団を写真や資料で浮き彫りにする早稲田大学演劇博物館の企画展示・現代演劇シリーズは10月1日から来年2月4日まで「演劇企画集団THE GAZIRA 20年の軌跡-疾走するガジラ展」を開きます。入場無料。
 関連の演劇講座で「THE ガジラ」を主宰する鐘下辰男さんと宮沢章夫さん(遊園地再生事業団主宰)の対談が2007年10月5日午後4時20分から西早稲田キャンパス6号館318教室(レクチャールーム)で開かれます。タイトルは「演劇的日常」。入場無料・事前予約不要。


ウジェーヌ・イヨネスコ劇場「授業」

◎迫力に満ちた暴力と狂気の表現 作品の潜在的可能性と現代性を開拓する
片山幹生(早稲田大学非常勤講師)

「授業」公演のチラシ今回四度目の来日となるイヨネスコ劇場は、ルーマニアの東側に位置する旧ソ連邦の国、モルドヴァの劇団である。モルドヴァ語での上演だったが、この言語は隣国の公用語であるルーマニア語と実質的にほぼ同一の言語だということだ。

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悪い芝居「ベビーブームベイビー」

◎社会=他者関係を結ぶ鍵を模索 演劇と自分を思想する志の高さ
 藤原央登(「現在形の批評 」主宰)

 山崎彬が率いる悪い芝居の紡ぎ出す劇世界は極めてリアリスティックであるという一点においてこの集団は重要である。

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