仏団観音びらき「蓮池極楽ランド」

◎シリアスと愉快な笑いが快調に
西村博子(アリスフェスティバル・プロデューサー)

「蓮池極楽ランド」公演チラシ楽屋風景か、青年がひとり客入り前から黙々と化粧をし青い着ぐるみに着替え、被り物をし、どらえもんになっていった。と、チャーミングな赤鬼-女装なのだが、それがとってもよく似合う-が出てきて、あなたはどんな罪を犯してきた? どこから来たの? そう静岡、でも可哀想、あなたはもうこの地獄から帰れないわよと脅しをかけるなど、いかにも大阪らしい〝客いじり〟となり、そして見る間にキャラクターたちの総出演、極楽ランドのショー。客席から引きずり?出されたおじさんもいっしょになんまいだ、なんまいだのダンスとなり、蜘蛛の糸の這い上がり争いとなっていく……ラクに見た舞台は、シリアスと愉快な笑いが入り混じりながら快調に始まっていった。

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バットシェバ舞踊団「テロファーザ」

◎「ローカル」な文脈へ 日常的で親密な行為としてのダンス
武藤大祐(美学/ダンス批評)

「テロファーザ」公演チラシここのところ仕事で大量のダンスのヴィデオに目を通さなくてはならず、いくら好きとはいえ流石にもう沢山という気分で、意識も朦朧としたまま出かけてみると、実に三十数人ものダンサーが舞台上に分散して居並び、さあ踊るぞといわんばかりにこちらを向いている。まるで堂々と開き直ったような彼ら彼女らの佇まいが、穏やかだがどこか毅然とした意志のようなものも漂わせていた。

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小指値「霊感少女ヒドミ」

◎舞台が遊び場(play-ground)となる条件
木村覚(美学/ダンス批評)

▽リミックス、あるいはデスクトップ画面としての演劇

「霊感少女ヒドミ」公演チラシよりハイバイ(岩井秀人)が2005年に上演した同名作品のリミックスである本作は、単なる翻案とは言い難いし、ましてや岩井戯曲の単なる再演ではない。ハイバイ版の骨組み、どうしようもない男ヨシヒロとヨシヒロを愛するヒドミとヒドミを愛する幽霊(三郎)という3人の登場人物の力関係を、ほぼそれだけを活用して、それ以外のほとんどすべてを北川陽子が仕上げた、それ故に、限りなくオリジナルと言ってよい戯曲の舞台である。

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神村恵カンパニー「どん底」

◎足の裏とリアリティの複数性
伊藤亜紗(ダンス批評)

「どん底」公演チラシ神村恵カンパニーの作品について何度か書く機会をいただいているが、今回の『どん底』については、神村自身の体について書きたいと思う。というのも、5人の女性ダンサーによって踊られた今回の作品は、並んだ時にひとり神村だけ頭一つ分背が高いという見た目の際だち以上に、カンパニーで活動を始めて以降の神村が、抑制してきた、ないし挿入的な役割しか与えてこなかった、地面を蹴るような激しい動きに、積極的な役割が与えられていたからである。つまり、神村の体がどうしようもなく抱え込んでいたある種の動きが、素直かつ忠実な仕方で解放されており、5人のダンサーが、それぞれの体なりの仕方で、その動きの論理を遂行しているように見えたからである。

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キラリ☆ふじみが提携劇団募集 拠点活動に支援

 意欲的な活動で知られる埼玉県富士見市の公共ホール「キラリ☆ふじみ」が、同ホールを拠点として活動する劇団やダンスカンパニーを募集しています。
 募集要項によると、年1-3回キラリ☆ふじみと提携して公演する、市民との交流活動を進める-などが条件。公演会場、稽古場の提供のほか、制作支援金なども提供します。団体活動歴や主宰者の略歴、映像資料などを、2月29日(金)までキラリ☆ふじみに申し込む。書類選考(第1次審査)、面接(第2次審査)を経て3月下旬に3団体を選定。契約期間は原則として3年です。
 問い合わせは、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(049-268-7788)まで。詳細は次のページをご覧ください。
http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/bosyu/bosyu.html

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ジェットラグプロデュース「投げられやす~い石」

◎お前の頭の中にある俺は、俺ではない 才能をめぐる残酷な物語
文月菖蒲(古書・骨董研究家)

「投げられやす~い石」公演チラシこれは「才能を傍でみているもの」の物語だ。
かつて天才ともてはやされ、美大生「山田」の憧れだった級友「佐藤」は失踪から2年、変わり果てた姿を見せる。「佐藤」の元カノで今は「山田」と結婚している「美紀」をまじえ、才能を失ったもの、才能が元からなかったもの、才能を愛したものという三様の人間を描き、岩井秀人(作・演出・主演/ハイバイ)は残酷な物語を作り上げた。

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地点「話セバ解カル」

◎痛ましい精神風景としての身体 過剰さを自覚的に受け続ける
 藤原央登(『現在形の批評』主宰)

 「話セバ解カル」の惹句は、5.15事件で海軍将校に暗殺された宰相・犬養毅最後の言葉であったことは広く知られている。夢想するイデオロギーを胸に秘め盲目的に駆られた者にとっては、対話による第三の道を導き出そうとする知的営為など存在しない。我が命を救うことが大命題だったはずだが、犬養はこの一瞬間後に射殺さるやもしれぬ状況においても泰然たる構えで、言論による真正面からの説得を試みようと懐柔策に打って出たという。この時の逼迫した緊張状態とは、離反する互いの思惑が支えとなったまさに命を賭した対立のドラマである。だが結局、何を「話シテモ解カラナイ」結果を生み出した。とりわけ今の時代に演劇を志向しようとすれば、この困難な認識からしか何も生まれなく、また始められないのではないかと思わされる点でこの題目はとりわけ重要な意味を持っていると私は思う。

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ギンギラ太陽’s 「翼をくださいっ!さらばYS-11」

◎3つの仕掛けは東京地方公演を福岡にいる気分にさせてくれた
大和田龍夫(大学講師)

「翼をくださいっ!さらばYS-11」公演2005年の再演となったこの芝居には、普通の芝居に慣れた者には意表をつく3つの仕掛けが待ち受けていたのである。

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仏団観音びらき「蓮池極楽ランド」

◎テーマパークの実態を仏団色で描き出す
葛西李奈(フリーライター)

「蓮池極楽ランド」公演チラシなんまいだ~♪なんまいだ~♪両手を合わせ、天高く突き上げるキャスト総勢に胸打たれた。くり返し祈りをささげる彼らの表情に、希望の色は見えない。すべてを投げ捨て、懸命に許しを乞うている感じもしない。あきらめの極地にたどり着き、開き直ってしまった様子なのだ。夢を与えるテーマパークの裏側で、現実を受け止められず歪んでしまった彼ら。生きていることのどうしようもなさが伝わってきて、心身ともに力を吸い取られた。

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