五反田団「偉大なる生活の冒険」

◎「内部」に閉じる世界を躊躇なく肯定する 前田ワールドの特徴と凄さ
中西理(演劇・舞踊批評)

「偉大なる生活の冒険」公演チラシ岸田国士戯曲賞を受賞したばかりの前田司郎(五反田団)の新作である。受賞後第1作となるが、相変わらず「ダメ男」を描かせたら日本一という前田らしさを存分に発揮した舞台に仕上がっていて、思わずニヤリとさせられる。
芥川賞候補となった自作の小説「グレート生活アドベンチャー」の舞台版なのだが、小説と舞台を比較すると主人公の男(前田司郎)の「ダメ」ぶりは一層グレードアップした感がある。

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4月のクロスレビューはポツドール「顔よ」

 ポツドールの新作「顔よ」が4月4日から下北沢・本多劇場で開かれています(13日まで)。 最新作のテーマはずばり「顔の美醜」。「逃れられない人間の最大の業である顔の美醜は、(主宰の)三浦が5年間あたため続けたテーマであり … “4月のクロスレビューはポツドール「顔よ」” の続きを読む

 ポツドールの新作「顔よ」が4月4日から下北沢・本多劇場で開かれています(13日まで)。 最新作のテーマはずばり「顔の美醜」。「逃れられない人間の最大の業である顔の美醜は、(主宰の)三浦が5年間あたため続けたテーマであり、執拗なまでにリアルにこだわった演出はそのままに、人間関係においての究極のテーマを生々しく、ありのままに描出する」(劇団リリース)そうです。
 そこで4月のワンダーランド・クロスレビューはこの「顔よ」公演を取り上げます。ご覧になった方々のミニレビューを広く募集します。

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タレイアスカンパニー「レッドくんのもくようび」

◎何もないところから生まれるカラフルな世界
野宮安寿(劇作家)

「レッドくんのもくようび」公演から。提供=横浜こどものひろばジャンルとしては子ども向け芝居なんだろう。子ども券があるし。 でも小さな頃から「ポンキッキをつくる人になりたい」と思い続け、しかし「テレビ局は体力勝負」という現実の声に負けてフジテレビを受けず、そのくせ30を過ぎた今も子ども本を読みまくり、最近は翻訳が待ちきれず洋児童書までがつがつ読んでいる私にとって子ども向けだろうが老人向けだろうが関係ない。カナメは面白いか、どうかなのだ。

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劇団掘出者「チカクニイテトオク」

◎心の奥底から掘り出される言葉 劇作家の思いを越えて
因幡屋きよ子(因幡屋通信発行人)

「チカクニイテトオク」公演チラシ開幕前、舞台は白い布で覆われている。女性とスーツを着た男性がいて、どちらも客席案内のスタッフだと思っていたら、男性の様子が少し変である。不自然にからだを傾け、ゆらゆらと動く。これは登場人物の一人で、既にお芝居が始まっているらしい。

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