五反田団といわきからきた女子高生「あらわれる、飛んでみる、いなくなる。」

◎間抜けでぬるい感覚が嬉しい復活 08年の最後にノイズ系最大の成功作
山内哲夫(編集者)

「あらわれる、飛んでみる、いなくなる。」公演チラシ昨年12月に五反田のアトリエで上演された五反田団の新作「あらわれる、飛んでみる、いなくなる。」は、本来の五反田団の持ち味である、よく考えずに勘違いしたままダラダラと無駄な会話を繰り返す、若者たちの一夏をとらえた会心の一作となった。五反田団とはいえ、演じるのはいわき市の女子高校生。それでも、この作品は、五反田団の原点回帰ともいえるものだった。

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上杉満代「Metal Red Woman」

◎舞踏の様式性と即興性の融合へ、そしてエロティシズム
竹重伸一(舞踊批評)

「大野一雄フェスティバル2008」チラシ舞台は横浜BankART Studio NYKの眼前を流れる運河に泊められた艀の上である。開始時間は夜の九時半を過ぎていて、みなとみらいや赤レンガ倉庫が望める180度大パノラマの美しい夜景が広がる中、最初大野一雄の出演した映画『O氏の肖像』の映像が10分程写される。上映が終わると下手側の運河から上杉満代を乗せた水上ボートが音もなく近付いて来て、彼女が舞台に崩れ落ちるように登場した。

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tpt「ウルリーケ メアリー スチュアート」

◎理想を追い求めたが故の破綻 英王権争闘に日独赤軍派を重ねて描く
水牛健太郎(評論家)

「ウルリーケ メアリー スチュアート」公演チラシ間もなく取り壊されるベニサンピット。ここを主な活動の場にしてきたTPTにとっては、ベニサンでの最後の公演である。空間の高さと奥行きを活かした印象的な舞台となった。

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岡崎藝術座「リズム三兄妹」

「身体が作る存在の演劇」への挑戦 音楽による圧倒的な身体のリアリティ
小林重幸(放送エンジニア)

「リズム三兄妹」公演チラシ三場構成であるこの芝居の様相が大きく変容してくるのは二場の後半。およそテキストで物語を紡ぐ演劇とは言い難く、さりとてダンスと言い切るにも無理のある特異な状況が舞台上に溢れてくる。三場に入るとそれはさらに先鋭性を帯び、感覚だけで舞台上の世界が支えられているかのようであった。それは何であったのか、順を追って考えてみたい。

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東京デスロック「その人を知らず」(クロスレビュー)

「その人を知らず」公演チラシ新春最初のクロスレビューは、東京デスロック「その人を知らず」を取り上げます。東京・こまばアゴラ劇場で12月26日(金)から始まり、年明け1月5日(月)まで開かれていた越年公演でした。この舞台を最後に東京公演をしばらく休止するという劇団の舞台をどのようにみたか、次の評価(五段階)とコメント(400字)をご覧ください。掲載は、最新到着順(到着逆順)。編集の不手際で初出のマガジン・ワンダーランド特集号(2009年1月7日発行)に掲載できなかった水牛健太郎さんの回答を冒頭に掲載しました。あらためてお詫びします。(編集部)

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三条会「近代能楽集」(全作品連続上演シリーズ)

◎変化する字体やレイアウト 三島戯曲と新潮文庫と三条会
杵渕里果(生保業務)

新潮文庫「近代能楽集」(新版)三島由紀夫の『近代能楽集』をみに、二〇〇八年は千葉に四度通った。全八作品を二ヶ月おきに二本づつの上演で、演目の順序は執筆年順。新潮文庫『近代能楽集』の順番と同じ、といえばわかりよいだろう。
千葉駅からパルコへ、さらに左へ曲がってしばらく歩くと、教会の二階に三条会のアトリエがある。駅から一七分ばかりかかる。

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新国立劇場「舞台は夢 イリュージョン・コミック」

◎大輪の花のような「夢」空間 秀逸な美術と演出の効果
門田美和(会社員)

「舞台は夢」公演チラシ大輪の花のようだった。
緋色の蕾が空中に見えた次の瞬間、ふゎら~りと広がり開花した。布地の花びらは、頭上約20メートルの高さから舞い降りてステージを役者ごと包み込み、観客は予想外の高揚と想像外の驚愕に飲み込まれた。このシーンを見るためにチケット代を払ってもよいと思った。沢山の偶然を必要としてできあがったであろうその景色が、私の中でいつまでも消えない。それが私の『舞台は夢 イリュージョン・コミック』だった。

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青年団「冒険王」

「怠惰、退廃」から「真摯」へ 「世界旅行」の変容と批評性の喪失
西川泰功(学生)

「冒険王」公演チラシ2008年12月7日18時開演の青年団『冒険王』を観劇した。劇場で配布されたパンフレットに作、演出の平田オリザ氏はこう書いている。

「96年の時点で描いた70年代末の若者像は、たしかに怠惰、退廃を描写したのだ。それが12年後のいま、真摯な若者たちに見えるということはどういうことだろう。」

私は『冒険王』初見である。が、観劇するうち私のなかに湧いた思いは、この作家の問いはアクチュアルな力をもったものだ、ということだった。そのことについて書きたい。

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あけましておめでとうございます。

 ワンダーランドが5回目のお正月を迎えました。
 2004年夏、小劇場演劇やダンスのレビューを通じて公演を記録にとどめ、「いま」を考える手掛かりを共有したいと始めました。しかしこれほど長く続くとは思っていませんでしたし、こんなに多くの人たちの協力を得られるとも思っていませんでした。

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