toi 「四色の色鉛筆があれば」(「ネクスト・ジェネレーションvol.1」)

◎先鋭なセンスと計算された構成力 練度の高い舞台作品を生む
香取英敏

「四色の色鉛筆があれば」公演チラシ。デザイン/セキコウ 今回の「四色の色鉛筆があれば」は四つの短編集である。上演順に「あゆみ」「ハイパーリンくん」「反復かつ連続」「純粋記憶再生装置」の4作であった。
20分程度の短編オムニバスである。それぞれのエピソードは物語の上での関連はない。テーマも設定も人物もそれぞれ独立したものである。

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中野成樹+フランケンズ「44マクベス」(クロスレビュー)

「44マクベス」公演チラシ中野成樹+フランケンズは海外作品の「誤意訳」版を舞台に載せることで知られる劇団です。意表を突く着想が周到な演出によって具体化されると、海外の古典も「いま」の芝居に見えてくるから不思議です。今回取り上げる「「44マクベス」公演(日暮里d-倉庫、2009年2月18日-23日)で、その中野マジックはどう展開されたか、評価(五段階)とコメント(400字)をゆっくりご覧ください。掲載は到着順です。(編集部)

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Co.うつくしい雪「My space, のようなので。」(インタビュー・ショウ)

◎ことばとからだが生成する「幸福な空間」
木俣冬(フリーライター)

「My space, のようなので。」公演チラシ新しそうな白く清潔なホールの中に入ると、アクトスペース上の中心にはマトリョーシカが2体飾ってある。その後ろには、上下に2体のマシーンが向き合って置かれている。ピッチングマシーンのようなもので、それぞれが投げたボールは、見事に相手のマシーンの受け口に入り、受けたボールが循環してまた投げられるという仕掛けになっている。もらったリーフレットによると「きまぐれキャッチボール」という名前の装置らしい。ジーッジーッとゆっくり定期的にボールが投げられるが、時々、軌道が外れてしまうこともある。すると、袖に待機している出演者らしき人物が、ボールを拾って、マシーンの中に戻す。ボールを投げるタイミングも時々ずれる。その、ズレが、見ていて飽きさせない。

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タテヨコ企画「アメフラシザンザカ~宇宙ノ正体シリーズその5」

◎清濁の境目に身を置いた定点観測 「宇宙ノ正体」の地図を描く
長谷基弘(劇作家、演出家、劇団桃唄309代表)

「アメフラシザンザカ~宇宙ノ正体シリーズその5」公演チラシタテヨコ企画の第17回公演『アメフラシザンザカ』(2009.1.14-1.20)を観劇しました。
禅宗をモデルにした架空の宗派。その修行僧たちが、俗世の出来事に居合わせ、事件解決の役に立ったり立たなかったり。煩悩多き修行僧たち自身も揺らいだり。そんな、「坊主もの」と作・演出の横田修さんが呼んでらっしゃるシリーズの第5作目です。シリーズ第3作『ムラムラギッチョンチョン』(2007.6)も観劇しています。

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桃唄309「おやすみ、おじさん3 – 草の子、見えずの雪ふる」

◎「メタ関係性の演劇」の開拓 カット割り構造の舞台化も
中西理(演劇・舞踊批評)

「おやすみ、おじさん3 - 草の子、見えずの雪ふる」公演チラシ群像会話劇の形でその背後に隠れた人間関係や構造を提示する「関係性の演劇」は1990年代以降の日本現代演劇で大きな流れを形成してきた。桃唄309の長谷基弘もその一翼を担う重要な劇作家だが、長谷には平田オリザや岩松了、松田正隆、長谷川孝治らと比較したときにスタイルに大きな違いがある。

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ダンスボックス「≒2」(エイブルアート・オンステージ)

◎豊かな混沌にいざなう表現へ エイブル・アートの出会い、共鳴、可能性
鈴木励滋(舞台表現批評)

「≒2」公演チラシ入り口反対側の奥まったところにあるトイレの方から強い照明が差し込み、ロビーに集い談笑していた人々は静まりかえり視線を送る。そこから大音量で音楽が流れてきて、光の中から現れた車椅子に腰掛けた女(山村景子)の手に抱えられたラジカセが音の源のようである。

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2月のクロスレビューは中野成樹+フランケンズ「44マクベス」

「44マクベス」公演チラシ次回のクロスレビューは、中野成樹+フランケンズ「44マクベス」公演を取り上げます(日暮里d-倉庫、2009年2月18日-23日)。
海外作品の「誤意訳」版を舞台に載せることで知られる劇団ですが、意表を突く着想が周到な演出によって具体化されると、海外の古典も「いま」の芝居に見えてくるから不思議です。その中野マジックを楽しんでいただきたいと思います。

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ワンダーランド支援会員を募集します!

昨秋から予告していたワンダーランド支援会員(2009年度)の募集を開始します。
これまでの個人運営型から、公演を見る読む書く活動を、ワンダーランドの書き手や読み手と一緒に支えたいと考えはじめました。支援会員とともに徐々に協働スタイルを模索します。一挙にNPOにする道もありますが、まだ地道な作業の積み重ねが必要だと考えました。まず会員制によって財政基盤を整備し、現行のマガジン発行体制を維持し、セミナー活動の充実をめざします。
詳細は次の「支援会員募集」ページをご覧ください。もう少し小劇場演劇に深入りしたい、公演を手掛かりに「いま」をつかみたいとお考えの方々の参加を期待しています。
(ワンダーランド代表 北嶋孝)