BATIK「another BATIK~バビロンの丘にいく~」(構成・演出・振付:笠井叡)

◎神話的ヴィジョンの魅惑と個としての肉体の不在  竹重伸一(舞踊批評)  今迄のBATIKの作品を観てきて踊りのディテールが欠如しているという印象を受けてきた。唯一ディテールを感じたのは「SHOKU」のラスト、数人で横並 … “BATIK「another BATIK~バビロンの丘にいく~」(構成・演出・振付:笠井叡)” の続きを読む

◎神話的ヴィジョンの魅惑と個としての肉体の不在
 竹重伸一(舞踊批評)

 今迄のBATIKの作品を観てきて踊りのディテールが欠如しているという印象を受けてきた。唯一ディテールを感じたのは「SHOKU」のラスト、数人で横並びになって白い下着姿のお互いの肉体をまさぐりながらゆっくりと前に歩んでくるシーンだけである。ディテールがないということは、つまりダンサーの個としての肉体が感じられないということであり、個としての生(記憶)が感じられないということでもある。代わりに思春期から大人の女性になる微妙な移り目にしか発しないような独特な熱っぽい生理的エネルギーが集合的になって渦を巻くように奔出してくるのである。そして速度。黒田育代の振付の目的はダンサーから余計な自意識を奪い、速度と生理的なエネルギーの美にひたすら奉仕させる抽象的な存在にすることである。

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演劇博覧会「カラフル3」観戦記(上)

◎「これからの演劇界」を考える機会に 全国から25カンパニーが結集  カトリヒデトシ  名古屋で開催された、国内最大規模の小劇場の博覧会に行ってきた。「演劇8耐」と銘打つだけに、1時間の舞台を1日で8ステージ見るという、 … “演劇博覧会「カラフル3」観戦記(上)” の続きを読む

◎「これからの演劇界」を考える機会に 全国から25カンパニーが結集
 カトリヒデトシ

 名古屋で開催された、国内最大規模の小劇場の博覧会に行ってきた。「演劇8耐」と銘打つだけに、1時間の舞台を1日で8ステージ見るという、修行のような企画である。
 またそれを全部見る酔狂を敢行。のべ4日間、30本を鑑賞した。なるべくいろんな劇団を見たいと思っている人間には格好のイベントであった。
 しかし、今回の名古屋行きは、「演劇のショーケースとはなにか」、「東京外、地域での演劇の活動」、「地域小劇場の今後」など、きわめて「これからの演劇界」での課題を実感させ、考えさせてくれる機会となった。

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d’UOMO ex machina 「William ShakespeareのAntonius & Cleopatra、あのひあなたはあのかわは」

◎未完成でもよい、血の出るような鮮烈さを観よ  田口アヤコ(演劇ユニットCOLLOL主宰、演出家/劇作家/女優)  GWの終わりに、面白い舞台作品を観た。  団体名「d’UOMO ex machina」は「ど … “d’UOMO ex machina 「William ShakespeareのAntonius & Cleopatra、あのひあなたはあのかわは」” の続きを読む

◎未完成でもよい、血の出るような鮮烈さを観よ
 田口アヤコ(演劇ユニットCOLLOL主宰、演出家/劇作家/女優)

 GWの終わりに、面白い舞台作品を観た。
 団体名「d’UOMO ex machina」は「どぅおも・えくす・まぁきなぁ」と読む。
 「デウス・エクス・マキナ 機械仕掛けの神」という言葉があるが、もともとは古代ギリシアの演劇において使われた、
「劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、
 いきなり絶対的な力を持つ神が現れ、
 混乱した状況に解決を下して物語を収束させるという手法(Wikipediaより)」
だが、「デウス・神の力ではなく、人間&空間の力によりその収束をもたらしましょう」という意味からつけられたイタリア語とのこと。東京での公演は4度目である。

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