ピエール・リガル「プ・レ・ス」(第1回)

◎「寛容のオルギア」があぶり出したのは コンテンポラリー・ダンスは今
 堤広志

●まずはヤン・ファーブル『寛容のオルギア』評判記

 「今どきのコンテンポラリー・ダンスはどうなっているの?!」。最近こうした質問をよく受ける。実は本稿も同様の執筆依頼による。そのため、本題であるビエール・リガル振付・出演『プ・レ・ス』(※1)の舞台評に入る前に、その前提となっている「今どきのコンテンポラリー・ダンス」をわかりやすく把握できるような例示と概説に大半を割くことにした。また長話になるが、お付き合い願いたい。

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流山児★事務所「ユーリンタウン-URINETOWN The Musical」

◎もっと匂いを!
大泉尚子

「ユーリンタウン」公演チラシ座・高円寺の入口あたりから会場内にかけて、警官の扮装をした男女が10人以上。彼らは、客入れや会場案内をやっている。手には警棒、全身黒ずくめ。女は、ショートパンツ・網タイツにピンヒール、ジャケットの胸元のボタンを最大限にあけて、豊かな谷間を強調しつつ。これはきっと、異色のブロードウェイミュージカル「ユーリンタウン」の世界へのエロこわい誘導なのね、と思う。

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流山児★事務所「ユーリンタウン-URINETOWN The Musical」

◎鏡に映る苦い自画像 「水洗」の枠を超えて
都留由子

「ユーリンタウン」公演チラシオフ・ブロードウェイよりもっと小さな劇場(フリンジと言うらしい)で大好評を得て、ブロードウェイでの上演に至り、2002年のトニー賞まで取ってしまったというミュージカル「ユーリンタウン」を観た。流山児祥の演出である。

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流山児★事務所「ユーリンタウン-URINETOWN The Musical」

◎猥雑だけど洗練、「遊び心」も みる人を変える力持つ
小林由利子

「ユーリンタウン」公演チラシ6月13日(土)の夜の部に『ユーリンタウン』を見に行くと、劇場の前は何やら怪しい人たちでごったがえしていた。子どもの頃白黒テレビで見た石器時代の毛皮を着ている人がうろうろしたり、コスプレなのかダンサーなのか不明な女性が一心不乱に踊っていたり、仮面をつけた人が一人芝居をしていたり、何だろうと不思議に感じた。入口がわからず、うろうろしていると、「こっち!」と黒いホットパンツ、谷間胸あけへそ出し、黒い制帽、赤いシンボルの入った、昔にナチスの映画のキャバレー場面で出てきたような娼婦風警官と思しき人に声をかけられた。舞台では、大音響で狂ったように阿波踊りをしている人たちがいて、その間を縫って、もう一人女性警官が待ち受け、その先にもう一人いて、「ここよ!」と席を指し示され、やっと上部にある自分の席に辿りつくことができた。

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劇団、江本純子「セクシードライバー」

◎脱線しまくりの超リアル不条理会話劇 歌や踊り封印の新ユニットで
山内哲夫

「セクシードライバー」公演チラシ劇団、江本純子の第1回公演は、前田司郎と安藤玉恵という小劇場界の注目役者の顔合わせが実現した「セクシードライバー」。第0回公演「まじめな話」に続く、渋谷のギャラリールデコでの3日間の公演である。三島賞受賞直後で、しかも役者として珍しい外部出演となる前田司郎。一方の、ポツドールの中心役者だった安藤玉恵 は、2年3ヶ月ぶりの舞台復帰作となった。クレーマーにしてストーカーな女と、ダメっぷり満点の純愛タクシードライバーの脱線しまくりの会話に圧倒される、湾岸の工事現場を舞台にしたコミカルな不条理劇風会話劇である。

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SPAC「ふたりの女~唐版・葵上~」(宮城聡演出)

◎愛と憎、狂気と正気の <極> に、もの悲しい波長の空間が
阿部未知世

Shizuoka春の芸術祭2009プログラム表紙1. 口火
静岡舞台芸術センター(SPAC)の芸術監督、宮城聡が、SPACの役者を使って、唐十郎の作品を上演する!
唐十郎と言えば、アングラ演劇の最高峰。
1960年代末から70年代、「状況劇場」の紅テントで<腰巻お仙>などなどに、強烈な衝撃を受けた体験がある。
宮城聡はかつて、劇団「ク・ナウカ」を率いて斬新な演劇を創り、SPACにおいても、<夜叉が池>などのように、独特の様式美と色彩豊かな、力強い空間を展開している。
その唐十郎と宮城聡が、真正面から出会う。これを知った時、軽い戸惑いと未知なるものへの期待がうまれたことは事実だった。
キャッチコピーには、<能×アングラ×宮城聡>の掛け算。しかも会場は、夜の野外劇場。一体、どんな世界に連れ出されるのか…。胸は高鳴るのだった。

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ハイバイ「リサイクルショップ『KOBITO』」<クロスレビュー>

「リサイクルショップ『KOBITO』」公演チラシハイバイは、作・演出の岩井秀人が2003年、引き籠もりの過去を取り上げた「ヒッキー・カンクーントルネード」で旗揚げしました。「だれもが持ってるトラウマ体験を露悪的に提示して悲喜劇状況を作り出す」(ハイバイwebサイト)作風で知られています。最近は「おねがい放課後」「て」などの舞台が評判になりました。今回取り上げた「リサイクルショップ『KOBITO』」公演は、母が営むリサイクルショップをモデルに「圧倒的な幸福を願った女たちの、ある果ての姿」(同)を描いた作品だそうです。東京公演はこまばアゴラ劇場(6月5日-16日)、大阪公演は精華小劇場(6月25日-28日)でした。以下、評価(五段階)とコメント(400字)をゆっくりご覧ください。掲載は到着順です。(編集部)

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マガジン・ワンダーランド発行遅れのお知らせ

 マガジン・ワンダーランドは毎週水曜日に発行してきましたが、今週の第146号は7月4日(土)発行となります。メール発送先の「まぐまぐ!」が7月1日-3日の間、システムメンテナンスでサーバーを休止するためです。もう一つの発送先melma!は稼働していますが、まぐまぐに合わせてこちらも4日発行とします。ご了承ください。
 4日発行の第146号はクロスレビュー特集を掲載します。取り上げるのは、ハイバイ「リサイクルショップ『KOBITO』」公演です。ご期待ください。
・「まぐまぐ! ただいま、メンテナンス中です