維新派「ろじ式」(フェスティバル/トーキョー09秋)

◎小劇場演劇としての可能性垣間見せる
中西理

「ろじ式」公演チラシ維新派の新作「ろじ式」(松本雄吉作・演出)を大阪・難波の精華小劇場で見た。維新派はこのところ野外ないし大劇場の空間で「<彼>と旅をする20世紀3部作」と題して、「nostalgia #1」(2007、大阪・ウルトラマーケット、さいたま芸術劇場)、「呼吸機械 #2」(2008、長浜市さいかち浜野外特設舞台)を連続上演してきた。それは南米や東欧の動乱の歴史を取り上げ、20世紀という壮大な時間の流れをモチーフに物語性を強く打ち出したものであった。今回の「ろじ式」は本公演とは位置づけられてはいるものの、その続きというわけではない。

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岡安伸二ユニット「2008年版『BANRYU』蟠龍-いまだ天に昇らざる龍」

◎黙して花
金塚さくら

「BANRYU 蟠龍」公演チラシ目に美しい舞台であった。
開演を待つステージ上はまるで神社の内陣のようだ。暗がりの深い空間に小さな賽銭箱が置かれ、その奥にはつつましく祭壇が設えてある。とぐろを巻いて口をカッと開いた、それでいて格別の迫力があるというわけでもない小さな金色の龍の像が、祭壇の中央にちょんと鎮座していた。

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岡安伸二ユニット「2008年版『BANRYU』蟠龍-いまだ天に昇らざる龍」

◎見事な技を見た、しかし。
宮武葉子

「BANRYU 蟠龍」公演チラシ日本劇作家協会プログラム岡安伸治ユニット公演 2008年版「BANRYU 蟠龍―いまだ天に昇らざる龍―」を観た。93年に劇団世仁下乃一座で初演され、以降、形を変えながら数多く上演されてきた作品ということだが、評者はこれが初見である。

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F/T09秋「劇評コンペ」の優秀賞決まる

 「フェスティバル/トーキョー09秋」の関連企画「劇評コンペ」の優秀賞が12月20日、発表された。受賞したのは、イタリアのロメオ・カステルッチ演出『神曲―地獄篇』を取り上げた柴田隆子さんの「美しい静寂の地獄絵図」、ドキュメンタリー演劇の新風リミニ・プロトコルの『Cargo Tokyo-Yokohama』を批判的に考察した堀切克洋さんの「『本物』はどこにあるのか」、サンプル(松井周作・演出)公演を取り上げた百田知弘さんの『あの人の世界』評の3作品。受賞者は、来年のF/T10の全演目に招待される。

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ハイリンド「華々しき一族」/「お婿さんの学校」

◎古典喜劇の時代錯誤と普遍性の両方を味わう
片山幹生

「華々しき一族」/「お婿さんの学校」公演チラシポップで洒落た感覚で作品を照らし出すことによって、日仏の古典喜劇の普遍的な魅力を浮かび上がらせた優れた舞台だった。
ハイリンドは加藤健一事務所の俳優教室出身の男女4人の若い俳優による演劇ユニットである。毎回、公演のたびに異なる演出家を呼び、既存の戯曲を上演する。今回は中野成樹を演出家として招き、森本薫の「華々しき一族」とモリエールの「お婿さんの学校」の二本立て公演を行った。上演時間は前者が1時間20分程度、後者が30分程度の短い作品だった。

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大型影絵芝居「スバエク・トム」(カンボジア)

◎驚き、不思議、カンボジア 影絵芝居で神に逢う
岡野宏文

「スバエク・トム」公演チラシまだかなりわたしがコマかったころ、全校生徒を講堂に呼び集めて人形劇を見せたりする恐ろしいたくらみがたびたびあった。ものは糸あやつりである。演目はたいてい「アラジンと魔法のランプ」とか「イワンのバカ」とか、「肉体の門」なんかはなかなか来ないのであるが、まあまあ見てやってもいいかなというレベルのお題ではあるので、おとなしく腰を下ろすのであった。腰を下ろさないあまたのご学友たちは、上履きをぶつけ合っちゃ奇声を上げるという華やかないとなみにすっかりご執心であられ、実に幸せそうに見えた。人の幸せをむげにひねりつぶすこともあるまいにと思うものの、無慈悲な教師たちに頭などはたかれて彼らの幸福は泡とはじけていくのだった。

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日本劇作家協会新人戯曲賞は横山拓也「エダニク」

日本劇作家協会新人戯曲賞公開審査会チラシ日本劇作家協会の第15回新人戯曲賞の公開審査会が12月13日(日)東京杉並区の座・高円寺で開かれ、大阪府の横山拓也さん(32)の「エダニク」が受賞作品に選ばれた。
「エダニク」は東京近県の屠場を舞台に、2人の労働者と農場の御曹司のやりとりを通じ、動物の命を奪い食料とすることの意味を問うた作品。

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ポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル2010

内外の先端的な舞台芸術を紹介する「ポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル(PPAF)2010」の概要が12月9日、東京・原宿で開かれた記者会見で明らかになった。
今回参加するのは英国、オランダ、ベルギーの3団体4作品と、尾崎放哉の句を舞台作品にした山下残「せきをしてもひとり」、中央アジアの独特の唱法ホーメイで知られる山川冬樹の「黒髪譚歌」。いずれも2010年1月から3月にかけて東京・原宿を中心に上演される。

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劇団東京ミルクホール「水晶の夜『グーテンターク! 私たち、日本のとある  元祖有名少女歌劇団です。』」

◎宝塚でも上演ありそうな歴史喜劇へ
杵渕里果

「水晶の夜 グーテンターク! 私たち、日本のとある 元祖有名少女歌劇団です。」公演チラシグーテンターク!
普段ゼンゼン演劇をみないそこのあなた。それは正しい。
(1)当たり外れが多い。(2)時間帯が映画のようには選べない。(3)公演日数が短く他人と話題するころには千秋楽過ぎている。(4)金かかる。
話題やつきあいの加減で一、二本もみれば、多くの人は小劇場から遠ざかる。当然のことだ。
にもかかわらず、オモシロイ劇団や上演を知っていると、何かのおり他人にエバれるのもまた事実。
そこで、劇団東京ミルクホール。
ひごろ演劇をまったく観ない彼・彼女に、かる~い気持ちで勧めてみても、涙ながらに感謝してもらえそうな、そんな劇団ナノである。

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タカハ劇団「モロトフカクテル」

◎現代っ子と「あの時代」
金塚さくら

「モロトフカクテル」公演チラシ高校時代、母校の生徒手帳には「生徒会規約」ではなく「生徒会自治要綱」と書かれていた。自治、なのだ。
制服着用の義務づけはすでに撤廃が勝ち取られ、生徒は思い思いの私服で登校していた。卒業式と入学式では日の丸掲揚および君が代斉唱の強要に抵抗するのが毎年の恒例行事で、「卒業式・入学式対策委員会(卒入対)」という他校には見られない珍しい委員会が中心となり、全校生徒を巻き込んだ大討論会が開催されたものだ。中学時代はPPMやサイモン&ガーファンクルなどを好んで聴いていた私は、高校生になると日本のフォークソングも聴くようになり、物理教師の弾くギターに合わせてピアノを弾いたりして放課後を過ごした。モロトフ火炎瓶の作り方については、入学した年の新入生歓迎会で部活紹介の時間に、何部かの先輩がホワイトボードに図を描いて説明してくれた。作り方そのものは忘れてしまったものの、実話だ。

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