タカハ劇団「モロトフカクテル」

◎時代を超える翼をください
大泉尚子

「モロトフカクテル」公演チラシ客入れの音楽はフォークソング。「あれっ、これってPPMの『花はどこへ行った』かな?」なんて思いながら、60-70 年代の回顧ものかと想像を巡らす。
舞台は、広めでやや雑然とした部屋。中央にストーブ、上手に長めのテーブルとイス、下手の赤いソファには、熊のぬいぐるみがポツンと置かれ、その前にあるのはキーボードだろうか。後ろの壁には棚があり、ゴチャゴチャといろんなものが詰め込まれている。家具は、そこそこ簡素というか間に合わせ的な感じがあり、ここが住まいやお固い業種のオフィスなどではないことをうかがわせる。壁沿いにつけられた数段の階段の上にはドアがあるから、もしかしたら半地下なのかもしれない。と、ここまではとても具象的な装置なのだが、背面の大きな壁は全く趣が違う。幾何学的な模様が描かれた、かなりの面積の壁面が、そそり立つようにある。白っぽいグレーを基調とした色合いの、小洒落てアート風な雰囲気。
両者の対照に、幕開け前から、この芝居のリアリズム加減がいかほどのものなのかと、興味をそそられる道具立てである。

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劇団印象「父産(とうさん)」

◎消費社会揶揄する自己物語
風間信孝

「父産」公演チラシこの劇の作・演出をしている鈴木アツトは、奇天烈な発想をするやつだ、と評者はつくづく思った。評者は、劇団印象の舞台を観るのは、これで3度目である。初めて観たのは、夢の中に本を食べる虫が登場する『枕闇』。次は、言葉を話し、二足歩行をするイルカが出てくる『青鬼』(再演)。そして、今回は、父親が子供を産む『父産』(再演)。劇団印象の特色は、現実のルールを無視してもかまわない小劇場演劇においては、ありふれたものである。しかし、鈴木アツトは、それだけでは終わらない。「演劇は世界を映す鏡である」とは、シェークスピアの言葉だと評者は記憶しているが、この劇は、現代日本社会のリアリティを見事に映し出していると感じ取った。そして、「父親とは何か」という父親自身にとっての永遠のテーマを、現代日本社会に生きる観客に問いかける作品だった。

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年末回顧アンケート「振り返る 私の2009」を募集中!

 貧乏暇なしを実感する毎日を過ごすうち、あっという間に師走となりました。ワンダーランド恒例の年末回顧アンケート企画「振り返る 2009」を実施する時期となりました。ご協力いただけたら幸いです。詳細は以下の通りです。

 貧乏暇なしを実感する毎日を過ごすうち、あっという間に師走となりました。ワンダーランド恒例の年末回顧アンケート企画「振り返る 2009」を実施する時期となりました。ご協力いただけたら幸いです。詳細は以下の通りです。

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小田島雄志・翻訳戯曲賞は新野守広氏と広田敦郎氏

 優れた翻訳戯曲を提供した人に与えられる第2回小田島雄志・翻訳戯曲賞は2日、立教大教授の新野守広さんと翻訳家の広田敦郎さんに贈られることが明らかになった。賞金は各10万円。2010年1月18日に東京・池袋のあうるすぽっと … “小田島雄志・翻訳戯曲賞は新野守広氏と広田敦郎氏” の続きを読む

 優れた翻訳戯曲を提供した人に与えられる第2回小田島雄志・翻訳戯曲賞は2日、立教大教授の新野守広さんと翻訳家の広田敦郎さんに贈られることが明らかになった。賞金は各10万円。2010年1月18日に東京・池袋のあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)で贈呈式と祝賀会が開かれる。

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