日本劇作家協会東海支部「劇王VII 決勝巴戦」

◎劇王から“劇王”誕生
 鳩羽風子

 売り出し中の劇作家が実力を競い合うバトルイベントの「劇王」。日本劇作家協会東海支部が送る恒例イベントは今年7回目を迎えた。結論からいうと、第5代、第6代劇王の鹿目由紀が大会初の3連覇を達成した。しかし、今回は劇王から“劇王”が誕生した年として記憶されるだろう。というのも、第4代劇王(2007年)の柴幸男が「わが星」という作品で、演劇界の芥川賞と目される岸田國士戯曲賞を受賞したからである。柴は連覇を狙った「劇王V」で鹿目に僅差で敗れて王座を奪われた。前年大会で敗れた劇王が、小牧・長久手の戦いが行われた開催地の由来にちなみ、甲冑をまとった落ち武者姿をした「合戦くん」として司会進行を務めるという掟があるため、柴は2009年と今回の2年連続で「合戦くん」となった。今年の開催日は2月7日で、岸田賞の発表は2月8日。結果としては、岸田賞受賞者が司会だけを務める贅沢なイベントとなった。ちなみに鹿目の3連覇によって、柴は来年も「合戦くん」になることが決定した。

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テレビで見る演劇(~3月末)

 今月の注目番組は、3月12日(金)NHK教育テレビの芸術劇場。イタリアのロメオ・カステルッチの「神曲-地獄篇・煉獄篇・天国篇」を紹介します。カステルッチは、美術・音楽・身体表現を駆使した斬新な表現で、ヨーロッパのみならず世界から注目を集める舞台演出家です。この作品は、ダンテの長編叙事詩「神曲」を、現代的な視点と鮮烈なイメージで描き出した彼の代表作であり、フェススティバル/トーキョー09秋でも上演されました。今回放映されるのは、2008年のアヴィニョン演劇祭で収録されたものです。昨年末に来日した際のインタビューでは、自作を巡るさまざまなテーマなどについて語ります。(場合により、番組内容、放送日時などが変更になることがあります。また、地上デジタル放送の番組表は関東地区のもので、地域により一部番組が異なります)。

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二騎の会「F」

◎閉ざされた世界の底にわずかに残る演劇の希望
柳沢望

二騎の会「F」公演チラシ宮森さつきの脚本による『F』は未来社会を舞台にしたSF仕立ての二人芝居で、設定上、ある少女とその世話をするアンドロイドがホテルの一室のような場所にほとんど閉じこもって過ごす一年に満たない日々を、四季をたどる四つのシーンで描いていく。設定の突飛さを除くと、アンドロイドと少女二人の会話によって描かれていくシーンは、ごく日常的な情景と言っていい。今回の初演では、端田新菜が少女を演じ、多田淳之介がアンドロイドを演じた。演出は木崎友紀子。

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ピチェ・クランチェン「I am a Demon」

◎「古き良きもの」の脱構築
 武藤大祐

 おそらく「古典」などという概念は、日本で現代的なダンスを見ている/作っている限り、縁遠いものといっていいように思える。クラシック・バレエであれ、能や歌舞伎であれ、知識としてはそこそこに、しかし実質的には何か「古き良きもの」として敬しつつ遠ざけておく、というのがごく一般的ではないだろうか。他方、古典の側でもかたくなに高尚な古典であり続けようとするから、溝は広がるばかりではあるが、そもそもこれが何か重要な問題なのかどうか、と考えてみることにすら大多数の日本人は興味をもてないのではないか。しかし、「問題」であるかどうかはさておき、少なくともこれがどういう事態なのかを客観的に認識しておくことは、どうでも良いことではない。過去を参照するという身振りをわれわれはなぜ軽視するのか、を知ることは、われわれの「現在」の定義に直接関わってくるからだ。われわれの「現在」は何を否定することによって成り立っているのか。大阪から神戸・新長田に移転したばかりの Dance Box で上演されたピチェ・クランチェンのソロ作品 『 I am a Demon 』(2005年初演)は、日本の観客の前に例えばこういう大きな問いを差し出したように思える。

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快快「インコは黒猫を探す」

◎「微分化」された日常を映す
今井克佳

「インコは黒猫を探す」公演チラシ1月下旬、三軒茶屋のシアタートラムにて、「シアタートラム ネクストジェネレーションvol.2」として、三つのカンパニーによる公演が行われた。幸いにも、三作をすべて見ることができた。それぞれに興味深かったのだが、今回は最初に見た、快快の「インコは黒猫を探す」について語りたいと思う。他の二作については機会があれば補遺として書き継ぎたい。

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【レクチャー三昧】ウェブ版、再発進(2月後半編)

◎大学・大学院で学ぶ
 高橋楓

 2009年12月まで1年4ヵ月にわたり「マガジン・ワンダーランド」に連載しておりました【レクチャー三昧】は、カレンダー版 で情報掲載を行っております。また、今後はこちらのページでも、毎月1回から2回のペースで情報をまとめてお知らせする予定です。従来の【レクチャー三昧】とはすこし方針を変えまして、舞台芸術関連にターゲットを当てて、またお値段が少々張るもの(従来は上限1,500円まで)も、東京近郊以外の催しも、柔軟に掲載して行く方針でございます。掲載方針は今後変更する可能性もございます。何卒ご寛恕のほどお願い申し上げます。

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三条会「S高原から」

◎恋愛、「いざ、生きめやも。」
杵渕里果

三条会「S高原から」公演チラシ高校の、教室にあるような生徒用の机が、十卓ほど、スズナリの狭い舞台に並んでいた。
学生服の男優四人と、セーラー服ではないが黒ワンピース、喪服の女優が入場し、着席する。
と、この教室の先生なのか、カジュアルな服装の、ひときわ背の高い男優が来て、平田オリザ『S高原』、冒頭のト書きを読み始める。
彼は、「上手」「下手」を、舞台の前と奥、つまり教室の前後の出入り口にふりわけた。先生が合図を送ると、学生服の男優たちはノートを開き、滑らかなセリフを朗読の身振りで、演じ始めた。

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第2回ダンス・コミュニティ・フォーラム「We dance」

「We dance」公演チラシコンテンポラリーダンスの活性化を目指し、アーティストが中心になって企画・制作・運営する第2回ダンス・コミュニティ・フォーラム「We dance」が2月13日と14日の2日間、横浜市開港記念会館で開かれる。
「ダンスの個別性」「身体を通した交流と対話」「歴史的空間とダンス」をキーワードに、パフォーマンスはもちろん、展示、トークセッションなど2日間で20企画49プログラムが上演される。当日の1日券は3000円、2日通し券は5000円。問い合わせはNPO法人Offsite Dance Project(info@offsite-dance.jp)まで。
We dance特設サイト:http://wedance.jp/2010/index.html


チェルフィッチュ新作公演のクロスレビューを募集します!

「わたしたちは無傷な別人であるのか?」
チェルフィッチュ公演チラシ

しばらくお休みいただいておりましたクロスレビューを久しぶりに再開いたします。取り上げる公演はチェルフィッチュの新作公演「わたしたちは無傷な別人であるのか?」です。日本の小劇場演劇界の旗手の新作公演であり、既にプレビューや公開リハーサルを通じて高い前評判が流布。名実ともに、現在最も注目される公演と言えます。

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岸田戯曲賞に柴幸男さんの「わが星」

柴幸男さん
撮影=高橋エイジ©

新人劇作家の登竜門といわれる岸田國士戯曲賞(白水社主催)の第54回受賞作に、柴幸男さん(27)の「わが星」が選ばれた。正賞は時計、副賞は二十万円。授賞式は4月12日(月)午後6時から東京神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれる。
「わが星」は最終選考に残った7作品から、8日に開かれた選考会で選出された。

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