精華小劇場「イキシマ breath island」

◎「どこでもないここ」のリアル
高橋宏幸

「イキシマ」公演チラシその舞台空間は、見ている観客にいびつな感覚を与える。ただでさえ低く作られている天井は、舞台の奥にいくほどさらに低くなり、柱や窓も斜めになるなど、遠近法の焦点は微妙にずらされている。客席に座り舞台を見ているものにとっては、閉塞感をともなう。だが、客席の天井まで低くしているわけではないので、見つめる視線のみがその空間には囲われる。 白い壁の両面にいくつも開けられた、小さな明り取りの窓から差し込む光も同じように、まるである狭い空間を外側から覗き込むような働きをしている。それは客席から見つめる視線と同じように、舞台空間を取り巻く視線となっている。見るもののまなざしは捕われたような圧迫感を受けるのに、見るものの身体だけは取り残される奇妙な感覚が残る。

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韓国・芸術経営支援センター設立の経緯と役割

張智盈(ジャン・ジヨン)

ソウル舞台芸術見本市の会場で"
【ソウル舞台芸術見本市で】

韓国と日本の関係を指してよく「近くて遠い国」と言う。地理的には一番近い両国だが、お互いの理解の幅があまり広くないからだ。もちろん日本の「韓流」と韓国の「日流」のおかげで最近、両国の壁はかなり低くなってきた。
しかし分野によっては相変らず両国の間の壁は高い。特に純粋芸術分野は他に比べて壁がやや高いようだ。例えば韓国でアメリカやヨーロッパの舞台芸術事情は倦まずたゆまず紹介されるが、日本の事情はあまり知られていない。日本でも同じように、韓国の舞台芸術事情はあまり知られていない。
しかし最近日本では、韓国に対する関心がかなり高くなってきたようだ(韓国も同じだ)。韓国の公演市場が最近飛躍的に大きくなっただけでなく、韓国政府が日本政府に比べて積極的に舞台芸術活動を支援しているからと思われる。

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チェルフィッチュ「わたしたちは無傷な別人であるのか?」(クロスレビュー)

「わたしたちは無傷な別人であるのか?」
チェルフィッチュ公演チラシ

話題を呼びに呼んだ公演でした。チェルフィッチュ久しぶりの新作公演であり、準備段階からプレビューや公開リハーサルが注目されました。公演はSTスポット(2月14日-26日)、横浜美術館(3月1日-10日)の二か所で行われましたが、その間にもかなりの変化があったようすです。ですから、今回のクロスレビューでは観劇日にもぜひご注目ください。以下、★は5つで満点です。(編集部)

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芸術選奨新人賞に前川知大さん(イキウメ)と中島諒人さん(鳥の劇場)

 その年に優れた業績を上げ、新生面を開いた人に贈られる第60回芸術選奨(平成21年度)の受賞者が12日、文化庁から発表されました。文部科学大臣賞に音楽家の坂本龍一さんや評論家の西部邁さんら19人、新人賞には作家の川上未映子さんら11人が選ばれたたことはすでに新聞やテレビで流れました。短い記事には名前が登場していませんでしたが、この中に小劇場関係者が含まれています。ここでピックアップしてみましょう。(編集部)

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突劇金魚「ビリビリ HAPPY」

◎サリngROCK の優美な凶暴さ
岡野宏文

「ビリビリ HAPPY」公演チラシ今年も、年間の最低映画に贈られるゴールデン・ラズベリー賞が決まった。めでたく受賞してくれたのは「トランスフォーマー/リベンジ」であるが、なにより油断できない気にさせるのは、この映画が「当たった」という畏るべき事態である。巨大なレゴ・ブロックのごときロボットたちが、せわしくパーツを組み替えながらめまぐるしく変身してみせる、というか変身してみせるだけのこの映画は、映画を観ているというよりグラフィック・アプリケーションのデモ画面を見せられているような、侘びしくも場違いな気分を我々に味あわせる。にもかかわらず、その退屈を求めて映画館に人は詰めかけたのだ。世の中はまだからくりの手の内がすっかり透けた玩具がお気に入りらしい。2012年など飛んでもない。まだまだ人類は滅べまい。
久しぶりに、素晴らしくヘンテコなオモチャと出くわした悦びも持った。しなやかな筐体からいくつもの手足や頭が生えているくせに、どれを触るとどれが動くか想像のそとなのである。これにふれると……エッこっちが動くの! だったらこれだと……エエッなんでそれよ!とすこぶる振りまわされる観劇体験。突劇金魚の「ビリビリ HAPPY」、サリngROCK 作・演出である。

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クロスレビューの締切り迫る 3月12日(金)

 クロスレビューの締切が迫ってきました。取り上げるのはチェルフィッチュ公演「わたしたちは無傷な別人であるのか?」です。日本の小劇場演劇界の旗手の新作公演であり、現在最も注目される公演と言えます。既に公演を見た人の間では賛否両論が飛び交っているようです。
 公演はSTスポット(2月14日-26日)公演が終わり、横浜美術館(3月1日-10日)は本日10日まで。締め切りは3月12日(金)です。送り先は info@wonderlands.jp。採用分には薄謝を進呈します。
 応募要領は、これまでと同じです。☆印による5段階評価。レビュー本文(コメント)400字。名前と肩書。それに郵便番号と住所を書き添えてください。もう一つ、観劇日を末尾に付けてください。
  3月17日発行予定の「マガジン・ワンダーランド」に掲載予定です。その後、webサイトに転載します。 マガジンの購読(無料)は登録ページから手続きしてください。


OM-2 「作品No.7」

◎身体に降り注ぐ言葉の雨
芦沢みどり

「作品No.7」公演チラシ日暮里シアターアーツ/フェスティバル(2.12-3.21)参加作品の『作品No.7』を観て、再び舞台表現における<言葉と身体>について考えさせられた。再び、というのは5年前にこの集団の作品として初めて観た『ハムレットマシーン』によって、舞台表現の根幹である(と思われる)<言葉と身体>の問題を考えるうえで大いに刺戟を受けたからだ。それはハイナー・ミュラーの「ハムレットマシーン」を上演することの意味と正面から向き合った作品だったが、その中で佐々木敦という若い肥満体の俳優が、金属バットを振り回してテレビやテープデッキ、机を次々に叩き壊すシーンがあった。そのナマの破壊力はすさまじく、客席にいて背筋が寒くなるような怖さを覚えたものだが、同時に、彼の身体から発する負のエネルギーが、経済弱者へと追いやられた現代日本の若者層の鬱屈や怒りとダブって見えた。そして破壊シーンは痛ましくも共感できるものに変わっていた。セリフがない分、それは直接的だった。

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女魂女力「しじみちゃん」

◎告発し続ける「想像力の欠落」
高木登

女魂女力「しじみちゃん」公演チラシAVにさしたる興味もなく、したがって持田茜の存在も知らず、作・演出のニシオカ・ト・ニールがどのような才能かもわからず、ただ自分のところの次回公演に出演してくれる女優が出ているからという理由だけで観に行った女魂女力 其の壱『しじみちゃん』は本年最初の佳作だった。これを拾い物という。

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3人が語る「2010年3月はコレがお薦め!」

「エーブルアート・オンステージ コラボ・シアター・フェスティバル2010」チラシ★カトリヒデトシさんのお薦め
ろりえ「恋2」(王子小劇場、3月3日-7日、一心寺シアター倶楽、3月13日-14日)
qui-co.キコ「はなよめのまち」(王子小劇場、3月25日-29日)
三匹の犬「現実はきびしく私たちは若いけれど要求は唐突で思い切るという手もあるかもしれない」(pit北/区域、3月25日-29日)
★鈴木励滋さんのお薦め
・「エーブルアート・オンステージ コラボ・シアター・フェスティバル2010」Bプロ「≒-にあいこーるのじじょう」(アサヒ・アートスクエア、3月18日・19日)
・「東野祥子solo dance VACUM ZONE」(シアタートラム、3月5日~7日)
時間堂「月並みなはなし」(座・高円寺、3月11日~14日)
★徳永京子さんのお薦め
・「老人ホームREMIX#1 野村誠のポストワークショップ」(BankArt Studio NYK、3月14日)
・「FABIEN PRIOVILLE」(彩の国さいたま芸術劇場3月18日)
726「太宰治 走れメロス」(下北沢OFF・OFFシアター、3月18日~23日)

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