◎見えるものは「男の性」 「母と娘」の世界の中に
金塚さくら
状況はひどくありふれているのだった。
愛情という名の呪縛で娘を支配する母親と、それに反発しながらも結局のところ依存している娘。母と娘という、この永遠の確執。
いい年をして働きにも出ず、実家で母・愛子と暮らしている市子。彼女と母親との関係は、いわゆる「友達母娘」だ。名前で呼び合い、一緒に買い物に行き、同じ服を共有する。過剰なくらいべたべたと仲良く遊ぶその一方で、しかし彼女たちは互いに互いを恨みあってもいる。娘は母親の誤った「愛情」が自分を束縛し、人生における選択の自由を奪ってきたのだと責める。母は娘が自分の愛情を理解してくれないと嘆き、同等の思いやりを返してくれないことをなじる。
“青年団若手自主企画「不機嫌な子猫ちゃん」” の続きを読む