青年団若手自主企画「不機嫌な子猫ちゃん」

◎見えるものは「男の性」 「母と娘」の世界の中に
 金塚さくら

「不機嫌な子猫ちゃん」公演チラシ 状況はひどくありふれているのだった。
 愛情という名の呪縛で娘を支配する母親と、それに反発しながらも結局のところ依存している娘。母と娘という、この永遠の確執。
 いい年をして働きにも出ず、実家で母・愛子と暮らしている市子。彼女と母親との関係は、いわゆる「友達母娘」だ。名前で呼び合い、一緒に買い物に行き、同じ服を共有する。過剰なくらいべたべたと仲良く遊ぶその一方で、しかし彼女たちは互いに互いを恨みあってもいる。娘は母親の誤った「愛情」が自分を束縛し、人生における選択の自由を奪ってきたのだと責める。母は娘が自分の愛情を理解してくれないと嘆き、同等の思いやりを返してくれないことをなじる。
“青年団若手自主企画「不機嫌な子猫ちゃん」” の続きを読む


カンパニーデラシネラ「あらかじめ」(TOKYO DANCE TODAY #6)

◎イメージの連鎖で紡ぐ、俯瞰と詳細で描いた夢のおはなし
 田中伸子

「あらかじめ」公演チラシ 週の終わりに東京を襲った突然の大震災から数日を経て、東京でも少しずつ平常を取り戻しつつあったとは言え、電力供給不足による節電奨励でおしゃれな都会スポットとして見慣れたはずの青山界隈からは軒並み明かりが消え、いつもは華やかな青山通りも静寂と宵の闇に包まれていた。
“カンパニーデラシネラ「あらかじめ」(TOKYO DANCE TODAY #6)” の続きを読む


KUNIO08「椅子」

◎舞台の中心で「婦人」は怒る
 鴨下易子

「椅子」公演チラシ ある20代の演出家が韓国の劇団を紹介して「僕を含めて、日本で芝居にかかわっている人は楽しいからやっているけれど、韓国では伝えたいことがあって芝居をしている。」と書いていた。(それは書き手の周囲の人たちだけだと思いたいけれど)もしそうなら小劇場の担い手の多くは仲間内で楽しく芝居をしているだけで、大学のサークルと変わらない。そんな彼らと、今も社会との関係で芝居をつくり続けている上の世代の演劇人とは、芝居に対する意識が本当に離れてしまっているのだろう。実際、若い芝居関係の知人からは「おもしろいから見に来てください」というのは少なくて、「頑張っているから来て」と誘われることの方が多い。頑張っているのを喜ぶのは身内だけでしょう。私は身内ではなく観客、客のことを考えない公演には行く気にならない。
“KUNIO08「椅子」” の続きを読む


相馬千秋F/Tプログラムディレクター インタビュー

 フェスティバル/トーキョー(F/T)プログラムディレクター相馬千秋さんのロングインタビューを掲載しました。30歳代半ばでディレクターになった彼女がそれまでどんな経験を積んできたか、F/Tの予算規模、スタッフ、公的援助の仕組み、国際的なフェスティバルのなかで存在感を示しながら、舞台芸術の社会的役割やアジアからどう発信するなど、さまざまな論点を明快に整理し、今後の戦略的方向を提示しています。じっくり読み進めてください。(編集部)
>> 「演劇史的な位置づけこそ見てほしい」(相馬千秋インタビュー)


「クロスレビュー・挑戦編」次回はジエン社公演(3月31日-4月3日)

 「クロスレビュー・挑戦編」の次回はジエン社「スーサイドエルフ/インフレ世界」公演です(3月31日-4月3日、日暮里・d-倉庫)。当公演のレビューを募集いたします。締めきりは4月4日。公演を見た方はどなたでも応募できます。
 5月公演の応募を受け付けています。締めきりは4月15日(金)です。レビューの書き方・送り方、公演応募の詳細は応募要項をご覧ください。
“「クロスレビュー・挑戦編」次回はジエン社公演(3月31日-4月3日)” の続きを読む


「喜劇一幕 虹艶聖夜」(作・演出 藤田俊太郎)

◎蜷川をどう「継承」するか
 木俣冬

「喜劇一幕 虹艶聖夜」公演チラシ 劇場の中へ入り席につく。そこは新宿ゴールデン街劇場。小さな舞台には天井から床、壁面までモノクロ写真が整然と貼られていた。ところ狭しと本棚やテーブル、椅子、ランプなどが置いてある。どうやら誰かの部屋のようだ。
 開演までまだ10分くらい時間がある。ふと隣席を見ると、女性客がビデオを取り出し舞台に向けた。
「撮影はご遠慮ください」とやんわりとスタッフが声をかける。
 そのうち、劇場入り口から俳優たちが行列を作り始めた。ライブを見に来た客という設定らしい。
 ライブがはじまった。
“「喜劇一幕 虹艶聖夜」(作・演出 藤田俊太郎)” の続きを読む


演劇セミナー追加募集について

 4月半ばから始まるワンダーランド主催の演劇セミナー「クロストーク150分 最前線の演劇知」(全5回)の申し込みは一括申し込み枠、各回枠ともに定員(計50人)に達し、23日に応募を締め切りました。今後予約のキャンセル状況などをみて、4月初めに各回枠のみ、若干名の追加募集を実施します。応募期間は4月1日-4日。抽選結果は6日までにお知らせします。詳細は3月末にこのサイトに掲載します。ご注意ください。
ワンダーランドセミナー係 info@wonderlands.jp


震災で考えることできること

 北嶋孝(ワンダーランド代表)

 東日本大震災が3月11日に起きてから1週間あまりが経ちました。死者行方不明が2万人に近づいています。それでもまだ被災、被害の全貌が見えていません。東京電力の福島第一原発も依然として危機レベルにあります。
 小劇場関係者にももちろん影響が出ています。その一端でも伝えたいと願ってワンダーランドは3月13日から小劇場を中心とした「演劇震災関連情報」ページを立ち上げ、安否情報を含む関係者の状況を刻々掲載してきました。
“震災で考えることできること” の続きを読む


「初日レビュー」を中止しました

 3月の初日レビューは3月16日に青山円形劇場で開演したカンパニーデラシネラ「あらかじめ」を取り上げる予定でしたが、計画停電に伴う交通の途絶などを考慮して中止しました。この公演については劇評として取り上げる予定です。ご期待ください。
 初日レビューは言うまでもありませんが、必ず初日公演を見ることで成立します。つまり特定の日時、会場に、限られた評者が集まることを前提にした企画です。それだけに、鉄道の運休など不確定要素の多い状況では、あらかじめお願いした評者の出席が難しくなります。それに加えて帰途の安全も確保されなければなりません。残念ながら今回は見送らざるを得ないと判断しました。4月以降も今後の状況をみて続行できるかどうか検討します。(ワンダーランド代表・北嶋孝)