震災と演劇

水牛健太郎

 その時、私は京都にいました。全く気づきませんでした。後で考えてみると、わたしはその時、駅前にある専門学校の面接が終わり、京都駅で「どこに行こうかな」と大きな観光マップを眺めていたころだと思います。そして仁和寺に行くことにし、路線バスに乗り込み、京都に住んだことのある友達に「どこに住んだらいいと思いますか?住みよくってそんなに高くないとこ」という呑気なメールを送りましたが、相手がその時、地震直後の大混乱のさなかだとは夢にも思わなかったのです。
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東日本大震災 演劇関連情報ページ

 東日本大震災 演劇(小劇場中心)関連情報ページを作成しました。東北地方を中心にした演劇関係者の安否や関連リンク、それ以外の地区の演劇関係者の体験やメッセージ、劇場の動向を順次お伝えする予定です。
▽東日本大震災 演劇(小劇場中心)関連情報ページは次の通りです。トップページ左上の「ワンダーランド」欄にもリンクを張ります。ご注意ください。(編集部)
 http://www.wonderlands.jp/info/earthquake/

震災関連のお願いと特別ページ

 東北地方を中心とする東日本大震災の被害状況は日が経つにつれ拡大し、胸の痛む状況が明らかになっています。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、残された被災者、被災地のみなさんの今後に、私たちも微力ながらできるだけ協力したいと思います。
 ワンダーランドは小劇場レビューマガジンなので、東北を拠点に活動している演劇関係者の方々の消息、情報をまとめたいと考えました。
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範宙遊泳「労働です」(クロスレビュー挑戦編第2回)

 このところ大学の演劇学科出身の若手劇団の活躍がしばしば話題になっています。「ままごと」「東京デスロック」「ロロ」などは日大芸術学部出身の主宰ですが、今回クロスレビュー挑戦編第2回で取り上げる「範宙遊泳」は桜美林大学で演劇を学んだ人たちが中心になって2007年から活動しています。同じ桜美林大生が率いる「マームとジプシー」とともに注目されている劇団の一つです。今公演はどんなステージを見せたのか。★印による5段階評価と400字コメントをご覧ください。掲載は到着順です。
(編集部)

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国分寺大人倶楽部「ホテルロンドン」

◎退廃と欺瞞のむこうがわにある風景
 片山幹生(早稲田大学非常勤講師)

「ホテルロンドン」公演チラシ 劇場に入った瞬間から不穏な雰囲気に胸が騒いだ。ちらしの文字が読めないほど暗く照明が落とされた場内ではブランキー・ジェット・シティの音楽が大音量で流れている。舞台は対面式ではなく、三台のダブルベッドが劇場空間の三方の離れた場所に置かれていた。これが演技が行われる舞台となる。ベッドを中心にラブホテル内の三室が暗い会場内でぼんやりと照らし出されている。客席はこの三つの舞台の合間に設置されている。見上げるとミラーボールが光り、天井一面には女性の服や下着などが無秩序にぶら下がっている。BGMの音量がさらに上がり、ほとんど耳をつんざくような大音響になると暗転。芝居が始まる。
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演劇セミナー2011「最前線の演劇知」4月スタート

◎開催のお知らせ

 演劇セミナー2011「クロストーク150分 最前線の演劇知」(全5回)を4月から東京・水天宮ピット(東京舞台芸術活動支援センター)で開くことになりました。
 最前線で活躍する劇作家・演出家が登場し、演劇ジャーナリストの徳永京子さんが聞き手となって、これまで積み重ねてきた演劇の経験と知恵を存分に話してもらいます。
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日本の演劇人に扉を開く エレン・スチュワートさんをしのんで

 河原その子

 日本の現代演劇をいち早くアメリカ演劇界へ紹介し、世界の実験演劇の母と呼ばれた、ニューヨークのラ・ママ実験劇場の創立者であり、芸術監督であったエレン・スチュワートが、今年1月13日、91歳で亡くなった。その日、ニューヨークの演劇界は深い悲しみに包まれ、「母」エレンの死に深い哀悼の意を示した。
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若手演出家コンクール最優秀賞は金哲義さん(劇団MAY)

 日本演出者協会主催の若手演出家コンクール2010の最終公開審査会が3月6日、東京・下北沢の「劇」小劇場で開かれ、劇団MAY(奈良県)の金哲義さんが最優秀賞に選ばれた。賞金は50万円。来年の受賞記念公演も支援を受ける。金さんは、優秀賞4作品を見た人が選ぶ観客賞も同時受賞した。審査の詳細は後日、同協会webサイトに公表予定という。
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範宙遊泳公演始まる クロスレビュー募集中!

「労働です。」公演チラシ クロスレビュー挑戦編第2回で取り上げることになった範宙遊泳「労働です。」公演が3月2日(水)から横浜・STスポットで始まりました。9日(水)までの11公演。見た人は誰でも応募できます。締め切りは3月10日(木)。採用分に薄謝を進呈します。詳細は応募要項をご覧ください。
 以下、会場で配布しているビラを紹介します。
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【レクチャー三昧】3月10日

 スペイン・ゲルニカの爆撃による死者は300人であるとの説が有力と聞いています。いっぽう、1945年3月10日の東京大空襲の死者は10万人を数えるそうです。なのに前者のほうが有名なのは、ピカソの絵による、まさしく「芸術の力」なのでしょうか。
 東京都慰霊堂には、関東大震災被災者5万8千人ともに東京大空襲殉難者10万5千人の遺骨が納められています。建物自体の風格もあいまって、東京都内で「場所の記憶」をここほど感じるところは、他には靖国神社だけです。その中に立った時、再現表象の空しさを感ぜずにはおれませんでした。
 毎年3月10日・9月1日には後ろの扉が開き法要が営まれますが、ふだんも出入り自由です。両国駅からすぐです。(シアターΧの反対側です。)
(高橋楓)
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