劇団森キリン「ホッパー」(クロスレビュー挑戦編第7回)

 劇団森キリンは森山貴邦(演出)と森下なる美(作)の2人が2008年に結成した演劇ユニット。「人そのものを描くのではなく、人と人との間に流れるもの、時間・空間・イメージの豊かな共有を目指す」という。今回の公演は「気付かれずに消えていく感情に焦点を当て、現在から過去や未来に、巻き戻したり早送りしたり、そうすることで消えていった、また、いま消えていく感情に立ち会う」(いずれも公演情報)そうです。実際の舞台はどうだったか、それぞれ5段階評価と400字でレビューします。掲載は到着順です。(編集部)

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ままごと「わが星」

◎観られなかった舞台を懐かしむ
 堀切和雅

「いま/ここに/在る」ことの演劇

 小劇場の歴史のカンブリア紀あたりに、「月夜果実店」が棲息していたことを知る人ももう少ないだろうが、それは全くのところ、「問い」を舞台にするためにつくった集団だった。「時間のはじまりの、前はナニ!?」とか、「宇宙の外側の外側の外側は……」という、誰でも一度や二度は問う問いを、成人しても僕はずっと持ち越していたのだが、日常にそれらギモンを匿している大人は存外多いらしく、劇団は継続的な観客を得た。
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勅使川原三郎公演 「サブロ・フラグメンツ」

◎光のストライプに未来を託す
 田中伸子

勅使川原三郎ダンス公演「サブロ・フラグメンツ」チラシ ゴールデンウィーク中に川崎市アートセンター、アルテリオ小劇場で開催された勅使川原三郎ダンス公演「サブロ・フラグメンツ」は何とも贅沢、豊かで濃密な時間を提供してくれるアート体験であった。

 過去、四半世紀に渡り日本、さらには世界のコンテンポラリーダンス界を牽引し続けてきた勅使川原三郎による最新作「サブロ・フラグメンツ」。1988年に横浜、旧三菱倉庫で同名作品を発表しているので、再演ということにはなるのであろうが、その点に関して、本人は当日配布のパンフレットの冒頭でこのように語っている。
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趣向「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」(クロスレビュー挑戦編第6回)

 趣向は2010年、オノマリコの一人ユニットとして活動開始。「物語を通じて、人間の内部の小さな震えと人間の外部の大きなうねりを同時に見せる」(企画書)のが特色のようです。今回は、出身の東京女子大で実際に起きた体育館保存運動を取り上げつつ「場所をテーマにした演劇」を企んだそうですが、その舞台はどうだったのでしょう。レビューは、★印による5段階評価と400字コメントです。掲載は到着順。(編集部)

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クロスレビュー挑戦編6月公演決まる

 クロスレビュー挑戦編6月公演は選考の結果、ガレキの太鼓第5回公演「いないいない」(6月3日-12日、アトリエ春風舎)と、ミミトメ第2回公演「マゴビキあるいは他人の靴の履き方」(6月24日-25日、新宿・SPACE雑遊)となりました。今回の応募は7団体でした。公演情報はそれぞれの劇団Webサイトをご覧ください。

 また7月公演団体の応募受付中です。締め切りは6月15日(水)。旗揚げ間もない劇団、これまでの活動が評価されていないと感じているグループ、短期間の公演で周知/宣伝が広がりにくいカンパニーなどの積極的な応募を歓迎します。詳細は次のページをご覧ください。>> クロスレビュー挑戦編応募要項


劇団ナカゴー「パイナップルの食べすぎ」

◎ナカゴーに荒事の髄を見る
 カトリヒデトシ

 ナカゴー「パイナップルの食べすぎ」を見て、「助六」だなぁ。という感想をもった。たまたま他の劇場で一緒になった事務局の大泉、都留両氏にその話をもらしたところ、それでレビューを書いてくれと依頼を受けた。このところの「クロスレビュー挑戦編」などで、これは演劇だとは思わない、というようなことを放言している。それは3月に大病をし、以前とやや演劇観が変わってきた個人的事情もあるのだが、自分がなにを演劇だと感じているか、何に演劇性を強く感じるかがよりはっきりしてきたからなのである。そのことについて書いておくのはいい機会だと思い、書かせてもらうことにした。
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快快「SHIBAHAMA」in OSAKA

◎震災と「SHIBAHAMA」
 中西 理

 2010年初めの柴幸男「わが星」の岸田國士戯曲賞受賞以来、「ポストゼロ年代劇団」の台頭が目覚ましい。なかでも国内外での活発な活動ぶりで柴のままごと、中屋敷法仁率いる柿喰う客などと並んで、主導的な役割を果たしているのが「快快(faifai)」である。「演劇における遊び・ケレン的な要素の重視」などポストゼロ年代演劇に共通する特徴を持ちながらも快快のあり方はきわめてユニークだ。ひとつの特徴は活動内容が演劇のみならず、ダンス、映像、パーティ、イベント等の企画・制作などと多岐に渡っていることだ。つまり、単に演劇を上演する集団、すなわち劇団ではなく、雑多と思われるそのほかの活動も彼らにとっては単なる余技ではなくて演劇制作と同等の価値を持っているのだ。
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ガラス玉遊戯「わたしのゆめ」(クロスレビュー挑戦編第5回)

 演劇ユニット「ガラス玉遊戯」の特色は「日常の何気ない会話の裏に潜む心のすれ違い、ふとした仕草から伝わってくる優しさや悲しみを丁寧に描くことで、まばたきや呼吸すら忘れてしまうほどドラマチックで緊張感あふれる空間を作りだす」(劇団Webサイト)ことにあるそうです。芝居好きが昂じて劇作・演出の道に踏み込んだという作・演出の大橋秀和さん。旗揚げ公演から3年の第4回公演が創る世界はどう展開するのか。10人10色の描線で記録します。レビューは★印による5段階評価と400字コメント。掲載は到着順です。(編集部)

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ままごと「わが星」

◎『わが星』、ことばと音によるノスタルジア
 片山幹生

 「わが星」公演チラシ作品の概要
 柴幸男作・演出の『わが星』は作者が主宰するままごとによる第一回上演作品として2009年10月に今回の東京公演と同じ三鷹市芸術文化センター星のホールで上演され、好評を博した。作品はこの初演のあと、2010年2月に第54回岸田戯曲賞を受賞している。
 『わが星』というタイトルから明らかであるように、この作品はソーントン・ワイルダーの『わが町』に触発されて生まれた作品であり、平凡な日常のかけがえのなさを「死」を対比させることで浮かび上がらせるという点に両作品の共通点がある。作品の世界観には『わが町』の影響は明瞭ではあるが、ラップ・ミュージックとダンスとことばを融合させた複合的な表現を用いて宇宙の100億年の歩みを団地に住むある女の子の生涯に重ねて描き出すという構図によって『わが星』はきわめて独創的で斬新な劇世界を作り出している。
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ままごと「わが星」

◎「現在にふれるために未来へ疾走せよ」に乗れないのはなぜか?
  ~ままごと『わが星』を批判する~
 西川泰功

「わが星」公演チラシ 第54回岸田國士戯曲賞を受賞した柴幸男作『わが星』が、三鷹市芸術文化センター星のホールで再演されました。特にツイッター上では、この作品の「褒め言葉」が溢れており、ほとんど「奇妙な」と言っていいほどのその盛況に違和感を抱かずにはいられません。ぼくは、この作品が「新しい」とも「今だからこそ」とも「気持ちいい」とも思わなかったのですが、ただ何かしら感動的なものを含んでいることは確かで、そのことについて書いておきたいと思います。そのために、感動的だと思わない要素を、ひとつひとつ捨てていきたい。ここでぼくが捨ててゆく要素に、多くの人が感動しているのだとしたら、そのことを批判したいからです。そして最後に、この作品の真に感動的だと思われることにだけ、ぼくなりの光を当て、しかしその美点をも作品自体が裏切っていることを付け加えたいと思います。
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