北九州演劇フェスティバル2012「ちょっと舞台《まち》まで」

◎舞台は京町銀天街
 福岡佐知子

 小倉京町銀天街はJR小倉駅から横に広がるアーケード商店街であり、江戸時代、九州の各街道の基点となった常盤橋のたもとへと延びる。古くは小倉城下や交通の要所として、小倉駅の移転前(現在の西小倉駅の場所に小倉駅はあった)は町の中心部として、栄えた歴史を持つ。近年は小倉駅から離れるにつれ空き店舗のシャッターやビジネスホテルの印象が目立つ地域だが、点々と懐かしい雰囲気の店構えが昔そのままに残っている。北九州芸術劇場もテナントとして入る大型商業施設「リバーウォーク北九州」へと向かう格好の通り道であり、休日には若者がまた雨の日には自然と往来が増す。
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忘れられない一冊、伝えたい一冊 第1回

◎『誰か故郷を想はざる』(寺山修司著、角川文庫)
 水牛健太郎
「誰か故郷を想はざる」
 寺山修司のことは何も知らない。
 ワンダーランドに書評欄というか読書欄を作ることになり、編集長という名の切り込み隊長、一番槍を仰せつかった。はて何を取り上げようと愚考するに、戯曲でも演劇雑誌でもいいのだそうだ、しかし折角だから高名な、しかし読んだこともなければ芝居を見たこともない、かの「テラヤマ」にしようと思ったわけです。
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