忘れられない一冊、伝えたい一冊 第35回

◎「フルトヴェングラー 音楽ノート」 (白水社 芦津丈夫訳)
  山本卓卓

「フルトヴェングラー 音楽ノート」表紙
「音楽ノート」表紙

 正直、5年くらい前の僕にとってクラシック音楽は鬱陶しいだけでした。
 芝居の音選びのためにTSUTAYAで借りてきたりして「クラシック100選」的なものとかを…
 いざ聴いてみるとなんかどれも大仰な感じがしたし、交響曲とか協奏曲とか室内楽とかオペラ音楽とか種類がいっぱいあってややこしくて、それよりなによりファッションに成り得ないのです20歳そこそこの若者にとってクラシック音楽は。
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木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談−通し上演−」

◎南北原作の魅力引き出す
 中西理

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 フェスティバル/トーキョー2013(F/T13)で私が個人的にもっとも期待していた舞台が木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談−通し上演−」だった。今春東京に引っ越したが、それ以前に住んでいた関西でここ数年、もっとも注目している若手劇団が木ノ下歌舞伎だからだ。昨年は東京デスロックの多田淳之介を総合演出に迎え「義経千本桜」の通し上演を行った。私はそれをwonderlandの年末回顧でベスト1に選んだが、この「四谷怪談」もそれとは方向性の異なる公演ながらも、匹敵する水準の好舞台だった。ポストゼロ年代の若手劇団でトップランナーの一角を占めていることを改めて示したといえよう。
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◇墨田区在住アトレウス家 Part 1&2/豊島区在住アトレウス家/三宅島在住アトレウス家《山手篇》《三宅島篇》

◎アトレウス家の過ごし方 その3(座談会)
斉島明/中村みなみ/日夏ユタカ/廣澤梓

■わりと普通になってしまった

廣澤:10月にワンダーランドに掲載した「アトレウス家の過ごし方」その1、その2は、2010年より始まった「アトレウス家」シリーズについて、それらを体験した観客の側から、思い思いに過ごした時間を示し、また考えることはできないか、と企画したものです。

アトレウス家の過ごし方 その1
アトレウス家の過ごし方 その2

 今日はその執筆メンバーに集まっていただきました。この座談会について、まずは発案者の日夏さんよりお話いただけますか。
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ゴーヤル・スジャータ「ダンシング・ガール」
フォースド・エンタテインメント「The Coming Storm – 嵐が来た」
バック・トゥ・バック・シアター「ガネーシャ VS. 第三帝国」

◎F/T13の海外ものから
 水牛健太郎

 先日閉幕したフェスティバル/トーキョー。今年は海外演目も大変充実していたようだ。見られなかった作品も多いが、見た範囲で印象に残った3作品についてまとめてみた。

◆ダンシング・ガール
 最初舞台上は暗く、踊り手の姿はほとんど見えない。照明は踊り手の膝、伸ばした右手、頭などごく一部を照らしては、溶暗していく。その繰り返しが随分長く、5分ほども続いた。照明は徐々に明るくなっていくが、それでも踊り手がはっきりとは見えない状態だ。動きはゆっくりで、うごめくよう。
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フォースド・エンタテインメント「The Coming Storm – 嵐が来た」
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【レクチャー三昧】2014年1月

どうにも少なくて申し訳ございません。年明けの催しはまだ告知されていないのが沢山あると思われます。また面白そうなものが見つかりましたら、【レクチャー三昧】カレンダー版に入力致します。一年間のご愛顧どうもありがとうございました。皆さまどうぞよいお年をお迎え下さい。(高橋楓)
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◎年末回顧「振り返る 私の2013」

 年末回顧「振り返る 私の2013」は、年間の小劇場シーンから「記憶に残る3本」を選び、400字のコメントでこの1年を振り返る恒例の企画です。舞台芸術は時代の無意識を吸い取るメディアだといわれます。多様多彩な舞台に光を当ると、散乱するイメージから次第に、時代の流れと輪郭が浮かび上がって来るかもしれません。じっくりと、楽しみつつご覧いただきたいと思います。(編集部)
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マルセロ・エヴェリン/デモリッション Inc. 「突然どこもかしこも黒山の人だかりとなる」

◎「群衆」形成の力学の可視化から、「個」の承認へ
 高嶋慈

 ブラジル出身の振付家、マルセロ・エヴェリンの作品との衝撃的な出会いは、2011年にKYOTO EXPERIMENTで上演された『マタドウロ(屠場)』である。『マタドウロ(屠場)』は、仮面や被り物で素顔を隠したほぼ全裸の男女のパフォーマーが、約1時間にわたり輪になって走り続けた後、最後に仮面を取って観客を凝視する、という挑発的な幕切れの作品であった。そこでは、人間らしさを剥奪されて動物的な隷属状態に置かれること、そして肉体に過酷な負荷をかけ続ける行為を通して、政治的・文化的闘争の場としての身体が提示されていた。昨年の同舞台芸術祭でのワーク・イン・プログレス公演を経て、今年上演された新作『突然どこもかしこも黒山の人だかりとなる』もまた、無防備に晒された身体の運動とその強度を通じて、暴力、狂気、力の行使、欲望、眼差し、そして人間としての承認について問いかける作品である。本作の鑑賞—より正確には「経験」は、観客という立ち位置の自明性や安全圏を手放す危うさをはらみつつ、見る者の思考と皮膚感覚を激しく揺さぶるものであった。以下では、前作『マタドウロ(屠場)』との比較も含めてレビューする(『マタドウロ(屠場)』のレビュー記事はこちら)。
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鵺的「この世の楽園」

◎嫌な男たち、抗わない女たち
 チンツィア・コデン × 北嶋孝(対談)

「この世の楽園」公演チラシ デザイン=詩森ろば
「この世の楽園」公演チラシ
デザイン=詩森ろば

「この世の楽園」ではない

北嶋 公演の率直な印象はいかがでしたか。
コデン タイトルが気になりました。「この世の楽園」でしょう。文字通りの「楽園」はどこにもないし、登場人物の会話にも楽園のような雰囲気は出てこない。見終わってどういう関係があるのかと考えました。
北嶋 そうですね。楽園ではないことは間違いありません。あんな緊張関係に満ちた「楽園」には暮らしたくない(笑)。地獄だとは思いませんが、登場する3人の男女はともに薄ら寒い関係だったので、むしろ皮肉っぽいし、反語的な意味が強いのではないでしょうか。高木さんの作品は案外意味のこもった強いタイトルを付けますね。鵺的の1回公演「暗黒地帯」も、文字通り「暗黒」が塗り込められているような世界が露出しました。その後は「不滅」「カップルズ」「荒野1/7」と続きます。小細工なしですね。
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新人戯曲賞は刈馬カオス「クラッシュ・ワルツ」

劇作家協会新人戯曲賞2013チラシ

 第19回 劇作家協会新人戯曲賞(主催日本劇作家協会)の公開審査会が15日、東京・高円寺の座・高円寺2で開かれ、「クラッシュ・ワルツ」を書いた刈馬(かるま)カオスさん (愛知県)が受賞した。正賞の時計のほか、副賞賞金は50万円。
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小田島雄志・翻訳戯曲賞は中村まり子、谷賢一の両氏

 第6回小田島雄志・翻訳戯曲賞が、中村まり子さん(女優、演出家、翻訳家、劇作家)と谷賢一さん(作家、演出家、翻訳家)に決まったと11日、同賞実行委員会事務局から発表された。
 中村さんが翻訳したのは、「授業」「椅子」などの不条理作品で知られるウジェーヌ・イヨネスコ作「まくべっと」。中村さん主宰のパニック・シアター公演(2013年10月30日-11月4日、下北沢 ・「劇」小劇場)で上演された。
 谷さんはアメリカの劇作家マーク・セント・ジャーメイン作「最後の精神分析-フロイトVSルイス-」を翻訳。谷さん主宰の劇団「DULL-COLORED POP」のプロデュースで上演(2013年10月4日-13日、日暮里・d-倉庫)した。
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