村川拓也「エヴェレットゴーストラインズ」
ルイス・ガレー「マネリエス」
She She Pop「春の祭典――She She Popとその母親たちによる」

◎隠すほど現れるもの――KYOTO EXPERIMENT 2014報告(第2回)
 水牛健太郎

 京都行の高速バスではせいぜい4~5時間しか眠れず、午前中梅小路公園で仮眠を取ろうとしたが、読んでいた本が面白すぎてうまくいかなかった。観劇中に寝てしまうのではと心配したが、この日3演目とも一瞬も眠くなることがなかったのだから、この週の演目がいかに充実していたかということだろう。どういうわけか3演目とも女性演者が上半身裸になる場面があったので、そのせいもあるかもしれない。一昨年だったか、海外演目で男性演者がやたらと男根を露出した年があったが、こういうのをシンクロニティと言うのだろうか。たぶん違うと思うが。
“村川拓也「エヴェレットゴーストラインズ」
ルイス・ガレー「マネリエス」
She She Pop「春の祭典――She She Popとその母親たちによる」” の
続きを読む

ダンカン・マクミラン「The Forbidden Zone」ザルツブルク音楽祭演劇公演

◎通りすがりのザルツブルク、「きっかけ」としてのスペクタクル
 高橋英之

 安心した。舞台の上に、大きなスクリーン。これだけ大きなスクリーンだと、字幕も読みやすいだろう。『The Forbidden Zone』という<演劇>は、タイトルこそ英語なのだけど、セリフは英語とドイツ語のバイリンガル上演のようだから、ドイツ語の部分は英語の字幕がないとちょっと心もとない。字幕があっても、そのスクリーンが小さいと、舞台と並行して見ることが難しいことが多くて、ストーリーが追いにくい。でも、舞台の幅の半分以上もあるような大きさのスクリーンだと、その心配はない。そもそも、脚本家も演出家もイギリス人のようだし、字幕がしっかりしていれば、きっと普通に楽しめる<演劇>のハズだ。それにしても、舞台の上は装置で立て込んでいる。左手前には、実物大の列車が置かれ、舞台奥には複数に区切られた部屋がある。こんな空間で、どのような<演劇>が展開されるのだろう。そう思いながらの、観劇前の客席。オーストリア・ザルツブルク郊外、ペルナー・インゼル劇場。期待は、冒頭から、全く違った方向で裏切られる。舞台の上で始まったのは、<映画>だった。
“ダンカン・マクミラン「The Forbidden Zone」ザルツブルク音楽祭演劇公演” の続きを読む