KYOTO EXPERIMENT 2014

◎観劇体験「KYOTO EXPERIMENT 2014」
 柴田隆子

 芸術の秋に加え、オリンピックの文化プログラムを意識してか、あちこちで芸術祭が賑々しい。京都国際芸術祭KYOTO EXPERIMENTと相前後して、東京ではダンストリエンナーレを引継いだ「Dance New Air ダンスの明日」や「フェスティバル/トーキョー14」が、地元横浜でも「ヨコハマトリエンナーレ」とは別に「神奈川国際芸術フェスティバル」が開催されている。芸術祭の名ではないものの、複合的なイベントは東京近郊ではたくさんあり、その気になれば毎日どこかで舞台を見ることができる。では、なぜ京都なのか。

 芸術祭は祭りだ。同じ祭りなら非日常がいい。日々の雑事を忘れ、舞台に集中したい。JR東海だって言っている、「そうだ、京都、行こう!」。去年観て気になったShe She Popの公演は今年も京都のみだし、週末なら3~4公演が見られる美味しい設定。会場毎の一律チケット料金制も値ごろ感があるし、ついでに京都観光だってできるかも。次々に発行されるニュースレターや作品についての紹介記事を読むと、気になるんだよね。
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ままごと「港の劇場」

◎演劇と生活を結ぶ光—小豆島・坂手港の劇場—
 落雅季子

チラシふたたび小豆島へ

 昨年開催された瀬戸内国際芸術祭の一環であった「醤の郷+坂手港プロジェクト」。ままごとはその参加アーティストとして小豆島の坂手港エリアで滞在制作をおこなった。2010年の岸田國士戯曲賞受賞以後、東京での活動ペースを抑えていたままごとが長期滞在の場所に選んだのがどんなところか知りたくて、私が初めて小豆島を訪れたのが昨夏のことだ。

 それから一年。坂手地区では今年もアーティスト・イン・レジデンスや展示が続けられており、ままごとメンバーも7月から9月にかけて断続的に滞在をしていた。昨年見た小豆島の風景や、そこでパフォーマンスしていた彼らの開放感あふれる表情が忘れがたく、今年9月、私は再び島を訪ねることにした。
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テアター・ブレーメンで働く

◎ドイツ演劇はドイツ料理より大分おいしい
 大泉七奈子

 私は、ドイツの公共劇場の現場で舞台美術の勉強をするべく、テアター・ブレーメンという劇場で働いています。
 そもそもドイツに来たきっかけは、文化庁の新進芸術家海外研修制度という奨学金を頂けた事に端を発します。2013年の9月に渡独したので、1年ちょっとになります。ドイツの劇場のシーズンは9月に始まります。2013/14年シーズンをミュンヘンの劇場、カマーシュピーレで過ごし、2014/15年シーズンから、つまりつい最近、ブレーメンにやって来ました。
 それまでは東京で舞台美術家の助手をしたり、その後小劇場中心に自分でデザインをやったりしていました。ワンダーランドで過去に取り上げられた作品のいくつかは、私が美術を手掛けたものです。
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