#7 生田萬(キラリ☆ふじみ芸術監督)

最近はダンスも

-テレビ番組「世界遺産」の仕事はいつからですか。

生田 第1回からですね。ですから96年かな。ずっと構成作家としてやっています。海外に行けてうらやましいと思われるんですけど、あの番組の作家は海外取材には行かせてもらえない(笑)。一度だけお情けで(笑)ロンドン塔を取材するときに夏目漱石役として行ったことはあります(笑)。この番組はスタートから10年過ぎました。毎週放映しているので、もう500回を超えてます(注4)。

-毎回手掛けているんですか。

生田 それはないです。ぼくが担当したのは半分ぐらいかな。最初はおもしろくて、芝居一本書くよりいっぱい勉強して、でも50回を超えたあたりから新しい知識はもうドンドンこぼれていっちゃう(笑)。オーバーフローでほとんど残りません。

-「世界遺産」の仕事を手掛けて、演劇に通じる部分とか、まったく違った視点から演劇を見直したとか、演劇と関連する体験はなかったんですか。

生田 直接演劇と絡むと意識したことは少ないのですが、世界観が増殖していく感じはあって、それは演劇観にも当然影響していますね。あとはイスラームにハマって本気で信者になろうかと。これも演劇とは関係ないですね(笑)。イスラームつながりでいうと、前に佐藤信さんと話をさせてもらったときにさすがだなと思ったんですけど、佐藤さんは大学で世界演劇史をやんなきゃならなくなったら自分は中世のイスラームから始めると。凡人ならすぐにギリシア悲劇とかと言いそうなところでしょ。確かに古代ギリシア・ローマの文化的伝統は、ヨーロッパ人が「暗黒の中世」と呼んだりする時代にほとんど途切れてしまう。その記憶をつないだのが、アイルランドの修道士とイスラーム教徒なんですね。そんな知識に番組の仕事のなかで出会って、もちろんそれがいますぐに演劇に役に立つわけじゃないですけど、知る悦びはずいぶん味わいました。

-ダンスなんかは見ますか。

生田 実はいまは演劇よりダンスなんですよ。さっき言ったみたいに、演劇だと冒頭の一声があるけれど、ダンスはそれがないでしょう(笑)。というんで最近はよく見ますね。去年のマイ・ベストも、だから演劇じゃなくてローザスでした。

-どうもありがとうございました。

(2007年3月21日、キラリ☆ふじみ。写真撮影は、市川信男キラリ☆ふじみ館長)

注4)TBS「世界遺産


インタビューを終えて

生田萬 なにか言わずもがなのことまでクダクダと話してしまった感があって、インタビューしてくださった北嶋さん、お手数をおかけしました。ぼく的には、これを読まれた方のなかにキラリ☆ふじみに関心をもってくれた方がいたらいいな。そのなかにぼくと一緒になんかやってみたいなとか、うちの劇団のフランチャイズにしてやってもいいよとか、そんな奇特な読者がいないかなと。もしいたら絶対連絡してください。ヨロシク。