連載企画 観客が発見する 第3回

◎「そこに人がいる」魅力
 高野しのぶ

 蓄積できるブログ形式

-高野さんはブログとメールマガジンの「しのぶの演劇レビュー」、それにツイッター、フェイスブックなどネットで発信しています。始まりは2004年でしたか。

高野 ブログは2004年からですが、友人が2000年に、誰でも書き込める「しのぶの観劇掲示板」というサイトを作ってくれたのが始まりです。掲示板は投稿が増えると過去ログが消えてしまう。それはもったいないから蓄積できる形式にしたらと勧める人がいて、ブログになりました。
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SPAC「グスコーブドリの伝記」

◎自己犠牲の死は美しいのだろうか?
 今井克佳

「グスコーブドリの伝記」公演チラシ 静岡に向かう間に、念のためどこかで目を通すかもしれないと、バッグにいれた携帯電子書籍端末には無料で「購入」した原作のテキストをダウンロードした。昔何度か読んだはずの作品だ。すでに著作権フリーになっている宮沢賢治のテキストはネットで手軽に手に入れることができる。

 現在、「国民作家」的人物をあえて一人あげるとすればそれは宮沢賢治であり、誰もが各自のイメージを持っている、と演出の宮城總は言う。しかし、演劇でもしばしばとりあげられる「銀河鉄道の夜」に比較して、それに匹敵する長編童話である「グスコーブドリの伝記」はなぜほとんどとりあげられないのか。その疑問が舞台化の発想の一端となっているようである(SPACウェブサイト公開の宮城のインタビュービデオより)。
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横浜ダンスコレクションEX2015

◎踊る肉体に表現の基盤を置いた作品が目立った
 竹重伸一

yokohamadance2 今年横浜ダンスコレクションは記念すべき20年目を迎え、例年のようにコンペティション以外にも様々なプログラムが展開された。その内私はオープニングプログラムである 20th Anniversary Special Performancesと題された横浜ダンスコレクションの歴代受賞者の中から選ばれた2人、山田うんと伊藤郁女の過去の作品の再演、そして9カ国90組の中から選ばれた4カ国10組の振付家が2日間に亘って競ったコンペティションⅠを観た。
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連載企画 観客が発見する 第2回

◎演劇と寄り添い合って生きる
 小泉うめさん

-今回の企画は、劇場に足しげく通っている人たちのインタビューです。

小泉 登場する人たちとはきっと、どこかの劇場でお会いしていると思います(笑)。

-そうですね。観客が何を考えているのか、何を見て、何を楽しんで、何に心を動かされているのか。そういう実情を明らかにしたいと、軽い気持ちでこの企画を始めました。ところがだんだんと…。小泉さんは関西出身とのことですが、どちらですか。

小泉 和歌山県です。高校卒業まで和歌山市内で育ちました。大阪までJRか南海電車で1時間くらいのところです。
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第2回高校生劇評グランプリの最優秀賞ら決まる

 第2回高校生劇評グランプリの最終選考結果が3月2日、同グランプリWebサイトに公表された。最優秀賞には、筑波大附属駒場高校 2年吉原爽斗さんの「鳴かぬ蛍が身を焦がす―人形浄瑠璃」が選ばれた。
 このほか、ライブパフォーマンス・レビュー部門の優秀賞は、明治大付属明治高校3年の赤澤みなみさんら11人。今年あらたに設けられた映像作品・レビュー部門の優秀賞は、東京都立保谷高校1年の小林環蒔さんに決まった。団体賞は、大阪市立咲くやこの花高校と東京都立科学技術高校の2校だった。

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連載企画 観客が発見する 第1回

年10本見る人が1000人単位でいてほしい
 新道喜一郎さん

―舞台を作る人たちや、作られた舞台上の出来事だけから演劇を考えるのではなくて、見ている人も含めて演劇を考えてみたい、というのがワンダーランドの隠れコンセプトです。これまで劇評やレビューを書く人は研究者や評論家、演劇関係者が多かった。でもそれはある種、特別な観客でしょう。おそらく新道さんは劇場に通う回数は多いけれども、演劇の専門家との意識はないし自分のキャリアには結びついていないですよね。
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趣向「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」

◎失われた場所に描く永遠と一瞬
 水牛健太郎

「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」公演チラシ 舞台は平場で、シアタートラムの高い天井、舞台奥の機構も露わにされている。中央に建物の廃墟のような石積みの一部を模したセットがあり、そこに地下への四角い入口がある。その少し奥に木製の椅子が積み上げられ、同じ椅子が一つ、天井からロープで吊り下げられている。上手側手前には傾いた椅子が一つ。セットの周囲には白い砂が敷かれており、椅子はその砂に埋もれていくように見える。教会の鐘の音が鳴り響いて、開演前の注意がアナウンスされた。
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DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」

◎目の前の相手に直情的表現することが苦手な表現者「漱石」、複雑な心は坊ちゃん時代から
 大和田龍夫

「夏目漱石とねこ」公演チラシ 「谷賢一」演出の演劇をいくつ見たか数えてみた。初めて見たのは2010年のサンモールスタジオでの「国道58号戦線異状ナシ」(再演)の演出以来だった。結構見ていることがわかった。Théâtre des Annales『ヌード・マウス』(2012年1月@赤坂レッドシアター)、『モリー・スウィーニー』(2011年6月@シアタートラム)、第11回公演『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』(2012年3月)、第12回公演『完全版・人間失格』(2012年11月)、「俺とあがさと彬と酒と」(2012年12月)、第13回本公演『アクアリウム』(2013年11月)、第14回本公演『音楽劇・河童』、「証明/Proof」(2012年6月)(2014年5月)、Théâtre des Annales vol.2『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン…(中略)…の事実にまつわる物語』(注)(2013年3月)、「最後の精神分析 フロイトvsルイス」(2013年10月)、Théâtre des Annales vol.3「トーキョート・スラム・エンジェズルズ」(2014年11月)。随分と観てきたものだ。
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SPAC「グスコーブドリの伝記」

◎さまよう目がたどりつく「グスコーブドリ」
 廣澤梓

「グスコーブドリの伝記」公演チラシ その上演は遠く、焦点が定まらずに目がふらふらして輪郭がぼやける。つまりは、よく「見えない」。視界を遮るものはなかったし、見るのに遠すぎたわけでもない。SPAC『グスコーブドリの伝記』を鑑賞したのちに残ったこの感覚は、観劇において見えるということがどういうことなのかを教えてくれる。見ることとは、はっきりと近くに全体を通して、ということだ。近くに、というのは物理的な距離だけでなく、心理的な隔たりでもある。また見えなさは目に宿る、見たいという欲望にも気づかせてくれる。満たされることなくさまよい続ける目は、わたしを「考え続ける」ことへと導く。
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べドラム・シアター「聖ジョーン」

◎1+3=1+23
 辻佐保子

 資料調査のためにマサチューセッツ州ケンブリッジに一週間滞在することが決まった時、真っ先に “Cambridge theater” とキーワードを打ち込んで検索をかけた。当地の演劇事情には明るくないものの、行くからには何かしら演劇作品を見たかった。結局2作品のチケットを予約した。
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