演劇セミナー2011 第5回(報告)

◎演劇の魅力を伝えたい-徳永京子さん

徳永京子さん 好評だった演劇セミナー「クロストーク150分『最前線の演劇知』」も最終回。1~4回で聞き手だった徳永京子さんが最終回の講師です。
 徳永さんは、演劇が「好きだから見る」という観客の立場から出発し、演劇を仕事とするようになってもずっと「おもしろかったことを伝えたい」と思っているそうです。
 今回のクロストークも、いろいろな取材で接する作家・演出家のお話があまりに面白く、記事からはこぼれ落ちてしまう部分が多いのがもったいなくて、それを伝えたいと企画したということでした。

 今回のセミナーの講師の方々はみんな一流の知性の持ち主で、仮に演劇以外の分野であっても一流の仕事をしたのではないか、演劇のことに関して話してもらったけれど、話してくださった内容は、私たちの感じているもやもやに目鼻を与えてくれたのではないか、という徳永さんに、うなづく参加者も多かったようです。

 ただ、参加者がこのセミナーに何を求めて来ていたかは分からなかったので、それを聞きたいと徳永さんは言い出して、参加者はひとりひとりこのセミナーに求めていたものを答えることになりました。

講師の徳永京子さん
【写真は、徳永京子さんと話す参加者。撮影=ワンダーランド 禁無断転載】

 ここまで4回のセミナーでは、お話の最後に、ゲストに対して定番の質問がされましたが、やっぱり今回も最後に徳永さんが「なぜ演劇なのか?」について自問自答。例えば映画は企画から上映まで何年もかかったりするし、撮り終わってから上映までにもかなりの時間が必要なのに比べて、演劇は「こういうことをやりたい」と思いついてから観客に届けるまでの時間が短く、観客の側が、いいな・応援したいなと思ったときに信頼を寄せやすいこと。映画やTVは作り終えたらもう手直しはできないけれど、演劇は初日が開いた後にもどんどん直せる=作品が受け手と呼応しつつ変化していくこと。ケータイの中に何でも入っている時代に、不器用なくらい持ち運びできない演劇なのに、毎日お客の前で変えていけること。撮り終わった後何回でも見られる映画に対して、演劇は、セットを壊せばもう何も残らないのに、消える直前まで変えていけること。などが挙げられ、演劇の作り手の魅力をこれからもぜひ伝えて行きたい、と話を締めくくりました。
(編集部)

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