◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コース2014 第5回 報告と課題劇評
劇評を書くセミナー2014の第5回の課題は、イキウメの新作「新しい祝日」でした。仕事に明け暮れる生活のなかで、自分を見失った平凡なサラリーマンが、「道化」に導かれ、自分の人生をもう一度最初から生き直すことになる。その世界では、「慈愛」、「権威」、「敵意」、「公正」、「打算」、「愛情」そして「真実」と言う擬人化された抽象概念によって、彼をとりまく人間の関係性が強調される。「汎一」という新しい名前で人生をもう一度繰り返すことで、彼は世界の空虚さと不条理に翻弄される自分の姿を確認する。しかし最後に再び元の世界に戻った彼には、その空虚と不条理な現実を選択することしかできない。
今回は11人の評が集まりました。講師の林あまりさん(歌人、演劇評論家)から文章表現などについての丁寧な指摘があっただけでなく、一つ一つの評について合評会形式で活発な意見交換が行われました。セミナー終了後は、講師の林さんも交え、東京芸術劇場二階にある喫茶店で懇談会が開催され、演劇談義に花を咲かせました。
セミナー後に提出されたものも含めた原稿のうち、了解の得られたものを掲載します。(編集部)
◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コース2014 第5回
課題公演:イキウメ「新しい祝日」
日時:2014年12月27日(土)14:00-16:30
会場:東京芸術劇場ミーティングルーム7(6階)
講師:林あまりさん(歌人、演劇評論家)
【課題原稿】
1.投げ出された問いかけ(石井はるか)
2.イキウメ『新しい祝日』(中西梓)
3.社会的幻想=ソーシャルファンタジー(寺谷篤人)
4.劇評「新しい祝日」(古森絵里)
5.明快な謎解きと、得体の知れない“空気”と(酒井はる奈)→
6.<この道>に<それでも>を付すための<新しい祝日>(高橋英之)→
7.The story is hard to swallow(澤田悦子)→
8.イキウメ版「クリスマス・キャロル」か、新作は。(野呂瑠美子)→
9.道化は正しいのか、気づきが大切なのか、気づかない方が幸せな世界を愛せよ(箕浦光)→
10.無色透明な半生(中村直樹)→
11.不条理が生まれる現場(小林 まき)
*到着順に一連番号をつけた。
*筆者名はタイトルのあとの丸括弧内に入れた。
*観劇日時は末尾の括弧内に入れた。
*セミナー当日合評された劇評を再度チェックしてもらった上、了解を得たものを掲載。
【上演記録】
イキウメ「新しい祝日」
東京芸術劇場シアターイースト(2014年11月28日- 12月14日)
[作・演出]
前川知大
[出演]
浜田信也、安井順平、伊勢佳世、盛隆二、岩本幸子、森下創、大窪人衛、澄人、橋本ゆりか
[スタッフ]
ドラマターグ/舞台監督:谷澤拓巳
美術:土岐研一
照明:松本大介
音楽:かみむら周平
音響:青木タクヘイ
振付:丸山和彰
衣裳:今村あずさ
ヘアメイク:西川直子
宣伝美術:鈴木成一デザイン室
宣伝写真:野口博
舞台写真:田中亜紀
制作:湯川麦子
プロデューサー:中島隆裕
演出助手:郷淳子
演出部:渡邉亜紗子
照明操作:芦辺靖
音響操作:鈴木三枝子
大道具制作:C-COM舞台装置
運搬:マイド
当日運営:藤木やよい
主催:イキウメ/エッチビイ
提携:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
後援:TOKYO FM
助成:文化庁芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
運営協力:サンライズプロモーション東京
[チケット]
前売 4,200円
当日 4,400円