サッカリンサーカスの 「女番長メス猫ブルース」公演が新宿のサンモールスタジオで開かれました(9月7日-13日)。精力的に都内の舞台を見ている「休むに似たり。」サイトがこの公演を取り上げています。「話は破綻しまくりというよりハナから放棄している気がします。(中略)話はともかくそれぞれキャラクタが生きてて見てて楽しいのです。とはいえ、じゃあ彼らは何がしたかったのかなあ、と思ったりもしますが」という感想が的を射ているのではないでしょうか。
初日7日、雨の中を出かけて、ぼくも見てきました。
Webサイトによると、作・演出の伊地知ナナコさんは早稲田大学大学院文学研究科方言学教室修士課程中退、第六回沖縄市戯曲賞大賞受賞、第二回日本演出者協会若手優秀賞受賞。その上、紀伊國屋書店のサイトですてきなエッセーも書いているので期待していました。しかし見事返し技(肩すかし)で場外に投げ飛ばされたような感じです。
舞台は新宿と立川のスケ番たちが縄張り争いを繰り広げるというお話です。でも、頼りない女性数人で新宿のシマを仕切るなんて…。大沢在昌の「新宿鮫」シリーズをお読みになっているのか心配になりました。有名女子校の生徒が「裏番長」を張るという設定も「セーラー服と機関銃」を誤読したとしか思えません。「さあ、カツアゲに行くか」という女の子たちが「新宿にユートピアを作るんだ」と言ってもチグハグですよね。
リアルであるかどうかよりも、リアルを知らないままファンタジーを紡いでいるような気がします。ミュージカルっぽいステージにしても、ウエストサイド物語が念頭にあったのかもしれませんが、歌や踊りで楽しませるところまでいきません。どこかで方針を誤ったとしか言いようのないステージでした。
伊地知さん、どうしたのでしょう。
(北嶋孝@ノースアイランド舎)