かながわ戯曲賞にスエヒロケイスケ「無頼キッチン」

 第5回かながわ戯曲賞の第2次選考公開審査が26日、横浜市のSTスポットで開かれました。第1次選考を通過した6作品のうち、スエヒロケイスケさんの「無頼キッチン BRAY KITCHEN」が最優秀賞に決まり、下西啓正さんの … “かながわ戯曲賞にスエヒロケイスケ「無頼キッチン」” の続きを読む

 第5回かながわ戯曲賞の第2次選考公開審査が26日、横浜市のSTスポットで開かれました。第1次選考を通過した6作品のうち、スエヒロケイスケさんの「無頼キッチン BRAY KITCHEN」が最優秀賞に決まり、下西啓正さんの「耽餌(たぬび)」が佳作に選ばれました。
 最優秀賞受賞作は2006年8月にリーディング上演(演出:宮沢章夫)される予定です。


 スエヒロさんは本名・末廣圭右。1969年愛知県東海市生れ。大阪芸術大学舞台芸術学科演技演出コース中退。在学中から演劇活動に参加。現在、劇団tsumazuki no ishi座付き作家。2003年に第4回AAF戯曲賞優秀賞受賞、2004年かながわ戯曲賞の佳作。

 審査員は、委員長が宮沢章夫さん(遊園地再生事業団主宰、劇作家・演出家・作家)、審査員が松本修さん(MODE主宰、演出家、近畿大文芸学部助教授)と内野儀さん(演劇批評家、東大助教授)の計3人。

 受賞作はある家庭の食卓を中心に、ニートや介護、監禁など世の中の縮図が時にユーモラスで日常的な会話によって表現される。「安心して読んでいられる」(内野)「家庭内暴力やニート、介護などの問題にちゃんと距離をとって描いていて、完成度が高い」(松本)「うまい。すばらしい。前回まで不条理劇的だったが(3回目の応募の)今回は具体性を持たせて変えてきたところを評価した」(宮沢)など、審査員3人がそろって高く評価しました。
 しかし宮沢さんは「難点があるとしたら、虐待、ニート、介護などが巧みに取り入れられているけれども、新聞の見出しをみるような気がする。半径5メートル以内というか、問題が家の中で完結していて、じゃあ外側の世界はどうなっているのか。そこにつながっていかない」と指摘していました。

 第2次審査の対象となった6作品を通した印象について松本さんは「演劇的に新しい仕掛けやものの見方に出会えなかった。どこかでみた舞台、以前にもやられた方法などが目に付いた」とした上で、「多くの作品に性行為や、らしいしぐさがあからさまな形で登場するけれど、そういうシーンをただ登場させましたというものが多く、戯曲の中での位置がはっきりせず、セックス描写のねらいが分からない」と手厳しく述べていました。

 宮沢さんは「6作とも口語演劇だが、もともと平田オリザが始めたときに乗り越えようとしたものがあったはず。劇言語として安易に既存のスタイルに寄りかかっているのはむしろ保守的だ」と指摘していたことばが印象に残りました。

 候補作は主催の神奈川芸術文化財団のwebサイトにしばらく掲載されるそうです。

追記(12月30日)
 審査委員長を務めた宮沢章夫さんの「富士日記2」が、かながわ戯曲賞に触れています。12月27日付だから、公開審査の翌日ですね。おもしろいので、日付をさかのぼってどんどん読み進むと、候補になった6作品を審査会の1週間前には読み終え、メモをまとめて作品を分析しなくちゃ、と書いている個所にぶつかりました。忙しい人なのに、と驚きました。ぼくも一応、目を通しましたが、最後は横浜へ向かう電車の中でやっと読み終えたので、なんとなく背筋が伸びるような気分になりました。
 十年余り前になるでしょうか、彼に半年の間ほぼ毎月、エッセーを書いてもらったことがあります。締め切りを守り、ほとんど問い合わせの必要のないおもしろい内容でした。当時の軸のぶれない人だという印象の背景が、おぼろげながら見えてきたような気がします。
 そういえば、岸田賞を受賞した「ヒネミ」公演をみたのが、原稿依頼のきっかけだったなどと、年の瀬にぼんやり昔の記憶がよみがえってきります。「ヒネミ」はこれまでみたうち、5本の指に入るほど印象深い芝居でした。…っとととと、まだ途中でした。これから大掃除をしなくちゃ。


投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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