劇作家協会新人戯曲賞は柳井祥緒「花と魚」

劇作家協会新人戯曲賞公開審査会チラシ 第17回 劇作家協会新人戯曲賞の公開審査会が12月11日、東京・杉並の座・高円寺で開かれ、受賞作に柳井祥緒 (やないさちお)さん の「花と魚」が選ばれた。正賞は時計、副賞賞金50万円。
 柳井さんは1979年東京生まれ。演劇企画ミルク寺を経て2010年「十七戦地」結成に参加、作・演出を担当。今回受賞した「花と魚」は今年(2011年)7月の同劇団旗揚げ公演で上演された。
 今年の応募総数は220本。一次審査通過作22本が二次審査に進み、最終候補作6本がこの日の審査で取り上げられた。「質の高い作品がそろった」「例年ならどの作品が受賞してもおかしくない」など審査員が口をそろえる中で、「花と魚」は第1回投票(1人2票)でトップ(5票)、2回目の投票(1人1票)でも7人中5人の票を集めた。

劇作家協会新人戯曲賞 公開審査会
【写真は、劇作家協会新人戯曲賞 公開審査会。座・高円寺 禁無断転載】

 受賞作は、正体不明の動物らしきものが出没する宮崎県の漁村に、研究者が調査に現れるのが発端。村を荒らしているものの正体が次第に明らかになり、小さな集落にもやがて異変が起きいく…。「あり得ないと思われる話をダイナミックに描いて非常にリアルでおもしろかった。震災後の状況にも重なってくる。イヨネスコの『犀』を思い出した」(坂手洋二)、「ぐいぐい引き込まれた。神話仕立てだが、それも人間が作ったものだという点を押さえている」(佃典彦)、「演劇は見えないものを想像させる点がおもしろいけれど、この作品はそれができている。読んでともかく怖かった」(マキノノゾミ)、「残酷と美を同時に実現し、しかもファンタジーに仕立てる腕力がすごい」(渡辺えり)-審査員は受賞作の特徴をこう述べていた。

受賞した柳井祥緒さん
【受賞の言葉を述べる柳井祥緒さん】

 審査会後に開かれた授賞式で柳井さんは「選んでいただいてとても光栄です。この作品は、上演に参加した俳優やスタッフみんなが知恵と意見を出し合ってできた。感謝したい」と語っていた。次回作は「百年の雪」(2012年2月23日-27日、王子小劇場)の予定。

 1995年度に設けられたこの新人戯曲賞は日本劇作家協会(坂手洋二会長)主催。第1回受賞者の長谷川孝治さん(弘前劇場)から、第16回受賞者の鹿目由紀さん(劇団あおきりみかん)と平塚直隆さん(オイスターズ)まで新しい才能を輩出し、新人劇作家の登竜門と言われている。

 当日の審査員は、川村毅・坂手洋二・佃典彦・土田英生・マキノノゾミ・横内謙介・渡辺えりの各氏。
 最終候補作は次の通り。
・「ロクな死にかた」 広田淳一 (ひろた じゅんいち) /東京都
・ 「ねぼすけさん」佐々木充郭 (ささき みつひろ) /東京都
・「元禄夜討心中」三谷るみ (みたに るみ) /東京都
・「娘帰る」 咲恵水 (しょう めぐみ) /東京都
・「スメル」登米裕一 (とよね ゆういち) /東京都
・「花と魚」 柳井祥緒 (やない さちお) /東京都
・(「優秀新人戯曲集2012」(日本劇作家協会編、ブロンズ新社)に収録されている)


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