連載企画「外国人が見る小劇場」第5回

独自の世界を提示する

-そろそろ残されたいくつかの課題をお尋ねしたいと思います。いま国内の劇団が海外公演を頻繁に実現できるようになりました。欧米の演劇シーンにないものが評価され招聘されていると思いますが、そのような日本の小劇団の特質は何でしょう。共通する特徴が存在するのでしょうか。

クラウトハイム あると思いますね。うーん。エーと…。どう言えばいいか、言葉を選ばなくてはいけませんね(笑)。庭劇団ペニノやポツドール、特にポツドールは海外で評価がとても高い。「夢の城」や「愛の渦」公演ですね。ヨーロッパの演劇人は大学で演劇をしっかり学んで、演劇の歴史や文脈を取り込んだ上で、自分の活動を進めます。しかし、ポツドールの三浦(大輔)さんにしても庭劇団のタニノ(クロウ)さんにしても、それからチェルフィッチュの岡田さんにしても、本格的な演劇教育を受けて活動したわけではなくて、自分でゼロから演劇を作ってきた。そこにはいい意味でのアマチュアリズムがあって、完全に演出家の世界観が表れている。すごくマニアックな世界はヨーロッパの演劇には存在しないと思います。

-言葉を選んで話してますが、それは結局「オタクの世界」を指してるんじゃないですか(笑)。

クラウトハイム それは悪い意味ではないんですよ(笑)。例えば岡田さんですけど、大学で本格的な演劇教育を受けたわけではないのに、ここまでレベルの高い活動を展開して海外でも評価されているというのは尊敬すべきことだと思います。三浦さんの場合も同じですね。自分の世界を作れるのはすごいと思います。ヨーロッパの演劇界では、日本の演劇人はそういう意味でちょっと桁外れというか、一目置かれているのではないでしょうか。特にポツドールの世界には、ヨーロッパにもこれから起こりうるものが見えていると思います。人の自立とか、外の世界を考えなくなる傾向とか、そこらあたりが魅力的なのではないでしょうか。小劇場の世界は閉じているというか、主宰者が思い通り自分の世界を作り上げることが出来るでしょう。

-主宰であり、劇作家であり、演出家であり、独裁的な権限を持っているからでしょうね。

クラウトハイム ドイツの場合は、例えば私立劇場でも、自分だけの世界ではなく、スタッフも含めて公演の制作プロセスに参加する人たちのコンセンサスをとる動きが出ています。その点、日本の小劇場は真逆で、自分の世界が突出してますね。それが魅力なんじゃないでしょうか。

-ただ、ある劇団やグループが抜け出てくる陰には、屍が累々と横たわっているわけです。その功罪を忘れないようにしたいと思いますね。

クラウトハイム 継続性は問題ですね。小劇場でありながら、発展していくのはとても大変だろうと思います。先日横浜のシンポジウムで岡田さんが「劇場を考えたい」と話していて、彼が劇場を持ったらとても興味深いですね。

-日本の演劇状況に対して率直な意見を述べていただきました。どうもありがとうございました。

20131228日、東京芸術劇場1Fカフェ)

(インタビュー・北嶋孝/片山幹生 構成・北嶋孝 撮影・片山幹生) 


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