◎「ナポレオン」(作者/出版社不明)
益山貴司
小学校の図書館で、人気があるのは当然漫画で、「はだしのゲン」は必読のベストセラーだったし、手塚治虫の「陽だまりの樹」は、おっぱいぽろりがあって人気があった。「ズッコケ三人組」シリーズもみんな読んでたし、「ぼくらの七日間戦争」ではじまるぼくらシリーズは、本格的に流行ったのは中学校からで、この頃は一部の女子しか読んでいなかった。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第25回” の続きを読む
小劇場レビューマガジン
◎「ナポレオン」(作者/出版社不明)
益山貴司
小学校の図書館で、人気があるのは当然漫画で、「はだしのゲン」は必読のベストセラーだったし、手塚治虫の「陽だまりの樹」は、おっぱいぽろりがあって人気があった。「ズッコケ三人組」シリーズもみんな読んでたし、「ぼくらの七日間戦争」ではじまるぼくらシリーズは、本格的に流行ったのは中学校からで、この頃は一部の女子しか読んでいなかった。
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◎「日日雑記」(武田百合子著 中公文庫)
小野寺修二
映像の現場へ行ったことは数える程だが、先程撮ったものの確認を大の大人が画面の前にひしめき合い、ぎゅうぎゅう集まってじっと見ている。いろんな立場の人が各々、それぞれ高くなって低くなって見ている。見終わって、ああだこうだ言うでなくまた散って、じっとり形になる。見るって、こういうことだと納得する。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第24回” の続きを読む
◎『うみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81』(佐々木マキ 太田出版)
鳥山フキ
イラストレーター・絵本作家としても知られるマンガ家・佐々木マキさんのマンガ集です。
実験的なマンガで、読むのは少しむずかしいです。
本を開いた時、あまりにもわからなそうなので絶望的な気持ちになりましたが、比較的簡単そうな話から読んでいったら、読めました。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第23回” の続きを読む
◎「日常生活の冒険」(大江健三郎著 新潮文庫)
市原幹也
本の紹介からしよう。出版元のデータベースに、こうある。
◎「うらおもて人生録」(色川武大著 新潮文庫 1987年)
ピンク地底人3号
この世で一番好きな場所はどこかと問われれば、古本屋で、一週間に一回は行って本を漁る。とはいえ決して熱心な読者ではなく、それらの本を読むことは滅多にない。
芥川龍之介も夏目漱石も安部公房もよく知らない。薄暗い部屋に、文庫本が散らばっている。枕元には背表紙の折れた北杜夫「さびしい王様」。床に積まれたのは埃まみれの物語たち。自分は膨大な知識に囲まれている。鞄には常に2冊、本を忍ばせる。けれどほとんど読むことはない。小川国夫の「アポロンの島」がPCのキーボードの前にある。窓際には控えめに安岡章太郎の全集が顔を向けている。僕は少しだけ高揚する。バニスターのブーツを履いてワゴンRリミテッドに乗り込む。ダッシュボードにも小説が重なっている。チェスタトンの文庫を持ってラーメン屋に入る。ラーメンを食べながら賢くなる算段だ。当然その計画は頓挫する。読まない。だってラーメン食いながらチェスタトンって思いのほかに難しいから。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第21回” の続きを読む
◎「鬱」(花村萬月著 双葉社 1997年)
中屋敷法仁
姉が買ったのだろうと思う。高校時代に居間に置いてあった小説『ゲルマニウムの夜』に出会った僕は、そのまま著者・花村萬月氏の狂信者となった。
平凡な情景描写でありながら、どこかグロテスク。過激で醜悪な場面なのに、恐ろしく美しい。愛と暴力、性、宗教、歴史、組織―あらゆるテーマを軽快なテンポと重厚な文体で描く。中毒性の高い花村文学に完全に心酔していまい、貪るように氏の作品を読み漁った。それから大学に入学してからの数年間というもの、花村氏以外の小説は読んでいない。(いや、読んでいたかもしれないが、全く記憶に残っていない)
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第20回” の続きを読む
◎「pink」(岡崎京子、マガジンハウス 1989年)
鈴木アツト
2012年に沢尻エリカ主演で「ヘルタースケルター」が話題になったのに、僕より下の世代には、岡崎京子を知らない人が多くて、ちょっぴり悲しい。若者の皆さ~ん、岡崎京子は、あの映画の原作者で、伝説の漫画家ですよ~。「ヘルタースケルター」の連載終了後に、交通事故に遭って、漫画家として再起不能になってしまった天才作家なんですよ~。もちろん、僕もリアルタイムで読んでいたわけではなく、演劇を本格的に始める2004年頃から、読み始めた後追い組ですが。というわけで、僕の「忘れられない一冊、伝えたい一冊」は、岡崎京子の「pink」です。
“忘れられない1冊、伝えたい1冊 第19回” の続きを読む
◎「公害原論」(宇井純、亜紀書房)
詩森ろば
子供のころから趣味といえば読書くらいで、小説も戯曲もずいぶん読んでいるはずなのだが、「忘れられない一冊」と言われると劇作をする中で資料として読んだ本ばかりが思い浮かぶ。歴史に題材を求めたり社会的事象について取材したりすることが多いので、どうしても膨大な資料を読む必要が出てしまうのであるが、読んでいるあいだは、戯曲など早く書き上げて好きなものを読みたいと思っているのになぜなのだろうか。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第18回” の続きを読む
◎「the good, the bad, the average…and unique―奈良美智写真集」(奈良美智 リトルモア 2003年)
田口アヤコ
どこで手に入れたのだったか、それがいつだったのか、自分でどこかで購入したのだが、まったく記憶にない。ただ、いま、わたしの手元にいつもあり、旅先や、本番に入ってからの劇場にも携行していくことがある。ぱらぱらとめくって、精神安定剤のような、ギターのチューナーのような、音叉のような、ミネラルウォーターのような、いつもする1時間ほどのストレッチのような、自分の精神と身体と、「世界と、」の距離の調整をするために使っている。(ということは、「演出家/劇作家」としては、この本を利用していないのだな、「俳優」として利用しているのだな、と、自覚。。。) いちど、旅行カバンの中で擦れてしまい、アイボリーのざらりとした布張の表紙には、ぎりっと一本の傷が付いている。
“忘れられない一冊、伝えたい一冊 第17回” の続きを読む
◎「神聖喜劇」(大西巨人 光文社文庫)
危口統之
親譲りの天邪鬼で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時いじめを正当化する発言をして教師を動揺させたことがある。なぜそんなむやみをしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由でもない。私も若い頃は隣町の連中に石ころを投げつけたものだと教師が言うから、それに便乗しただけのことである。裏山の傍に住むYの家は汚らしいから虐められて然るべきだと言ったら、いま危口は重大な発言をしたと槍玉に挙げられたので、だって先生も石投げてたんでしょと答えた。
“忘れられない1冊、伝えたい1冊 第16回” の続きを読む