◎「劇的言語」(対話:鈴木忠志・中村雄二郎 白水社 1977年)
カトリヒデトシ
元より偉大でもないのは自明だが、演劇に関してはロスジェネになりたくない。
ガキのころから季節季節には母に歌舞伎座に連れていかれ、わけもわからずおうむ岩のように「つきもおぼろにしらうおの」とかいっていた。父には毎月寄席につれていかれ「なおしといてくんな」とか「抱いてるおれはいってえ、誰なんだ」とかいう、やな小学生だった。
そんななんで古典に関しては昭和後半の「名人」という人を随分生で見てきた。ありがたいことだったなぁ。今でも六世歌右衛門や先代の辰之助は夢にみるし、圓生や志ん生のくすぐりや「カラスかあと鳴いて夜が明けて」とかの口調がついてでる。ふと「昔はよかった」といってしまうこともある。
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