国際演劇協会「第三世代」(紛争地域から生まれた演劇4)

◎『第三世代』と「リーディング公演」との意外な相性
  横堀応彦

「第三世代」リーディング公演チラシ
「第三世代」リーディング公演チラシ

 ドイツと日本を行ったり来たりする生活を始めてから1年以上が経った。
 最近ようやく演劇やオペラの舞台上で使われるドイツ語が分かるようになってきたものの、こちらに来た当初は何のことだか全くわからず、古典ならば話の内容も分かるはずと、ベルリン・シャウビューネ劇場(以下、シャウビューネと略す)で『ヘッダ・ガブラー』を見たときのこと。上演の終盤で客席からテスマン役を演じた同劇場の主演俳優ラース・アイディンガーに対して「前回見たときより、今日のお前にはやる気が感じられない!ちゃんとやれ!」とダメ出しが飛び出したのだ。
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ベルリンHAU劇場「無限の楽しみ」

◎24時間観劇ツアー体験記
 横堀応彦

はじめに

 いまドイツでは、上演時間の長い演劇が熱い。
 筆者は今年5月から6月にかけて、ベルリンを拠点としながらヨーロッパの演劇祭を探訪した(注1)。2ヵ月間で合計50本ほど観劇した作品のうち、上演時間の長かった演目ベスト3は全てベルリンで上演されたものだった。

 第1位:『無限の楽しみ(原題:Unendlicher Spaß)』(上演時間:24時間)
     製作:HAU劇場(ベルリン)
 第2位:『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』(上演時間:12時間)
     製作:フォルクスビューネ(ベルリン) 
 第3位:『ファウストⅠ+Ⅱ』(上演時間:8時間半)
     製作:タリア劇場(ハンブルク)
  
 今回は編集部の方から「ドイツ滞在の中で特に印象深かったものを」というお題を頂いたので、上演時間の長かった第1位の『無限の楽しみ』の体験レポートをお届けする。
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