松本修構成・演出「城」(カフカ原作)

 「演劇時評」サイトはときに辛口ですが、1996年から続いている貴重なサイトです。筆者は中村隆一郎さん。「ひとりの観客として感じたことを率直に書いています。Web上の劇評は若い人のものが圧倒的に多いのですが、僕は二回りほ … “松本修構成・演出「城」(カフカ原作)” の続きを読む

 「演劇時評」サイトはときに辛口ですが、1996年から続いている貴重なサイトです。筆者は中村隆一郎さん。「ひとりの観客として感じたことを率直に書いています。Web上の劇評は若い人のものが圧倒的に多いのですが、僕は二回りほど上の世代」だそうです。舞台への目配りや確かな文章からも、そんな落ち着きが感じられます。ただ続く文章で「だから青年達には珍品に見えるかもしれない。このギャップ(は)掲示板を読んで見たら楽しめると思います。意見があったら書き込んで下さい。毒にも薬にもならない役立たずの劇評に対抗してラディカルに劇を論じたいひとのために」とありました。なるほど。底力を感じるのはそのせいだったのですね。
 その中村さんが、東京・新国立劇場で開かれた松本修構成・演出のカフカ原作「城」公演(1月14日-30日)を取り上げました。

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裸伝Q「黄色い線まで」

 「裸伝Q」は作・演出の鍋島松濤さんが主宰する演劇ユニット。東京・中野のスタジオあくとれで第7回公演「黄色い線まで」が開かれました(2月17日-20日)。鍋島さんによると、「子供の頃に描いた淡い夢、その残像が微かに残った … “裸伝Q「黄色い線まで」” の続きを読む

 「裸伝Q」は作・演出の鍋島松濤さんが主宰する演劇ユニット。東京・中野のスタジオあくとれで第7回公演「黄色い線まで」が開かれました(2月17日-20日)。鍋島さんによると、「子供の頃に描いた淡い夢、その残像が微かに残った大人達のお話」だそうです。

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東京ネジ「フロウフユウ」

 「東京ネジ」の第2回公演「フロウフユウ」が東京・王子小劇場で開かれました(1月27日-30日)。このグループは、盛岡を拠点に活動していた劇団ネジのメンバーら女性5人で2003年11月に結成。「佐々木」姓が3人、血液型A … “東京ネジ「フロウフユウ」” の続きを読む

 「東京ネジ」の第2回公演「フロウフユウ」が東京・王子小劇場で開かれました(1月27日-30日)。このグループは、盛岡を拠点に活動していた劇団ネジのメンバーら女性5人で2003年11月に結成。「佐々木」姓が3人、血液型AB型が3人だそうです(まとまりがいいのでしょうか?)。
 「デジログからあなろぐ」や「しのぶの演劇レビュー」も書いていますが、 
このほど小畑明日香さんから長めの公演評をいただきました。小畑さんは今春から大学生。フレッシュな目に、舞台はどう映ったのでしょうか。

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鳳劇団「昭和元禄桃尻姉妹」

 鳳劇団の旗揚げ公演「昭和元禄桃尻娘」を東京・新宿のタイニイアリスでみることができました(2月15-16日)。せりふや所作などでいわゆる大衆演劇の衣を借りているのですが、そこでよくみられる義理人情の淀みに融解するわけでは … “鳳劇団「昭和元禄桃尻姉妹」” の続きを読む

 鳳劇団の旗揚げ公演「昭和元禄桃尻娘」を東京・新宿のタイニイアリスでみることができました(2月15-16日)。せりふや所作などでいわゆる大衆演劇の衣を借りているのですが、そこでよくみられる義理人情の淀みに融解するわけではありません。忘却の洪水に浸される現世に、戦中の忘れがたい一筋の記憶を刻もうとする確かな舞台です。「ロマネスク不条理劇」を掲げ、「游劇社」を拠点に長年活動してきた鳳いく太が、新しい展開を図る記念碑的舞台だったと思えます。変わった衣よりも、変わらない原石を見る思いの一夜でした。

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山の手事情社『狭夜衣鴛鴦剣翅』

 この公演は2003年1月、東京・下北沢のザ・スズナリで開かれました。ちょうど2年経った今年1月、演劇通の間で密かに知られる「ひびのさいと」が「構築と脱構築の永久往還運動」というタイトルで取り上げました。筆者は成蹊大学文 … “山の手事情社『狭夜衣鴛鴦剣翅』” の続きを読む

 この公演は2003年1月、東京・下北沢のザ・スズナリで開かれました。ちょうど2年経った今年1月、演劇通の間で密かに知られる「ひびのさいと」が「構築と脱構築の永久往還運動」というタイトルで取り上げました。筆者は成蹊大学文学部の日比野啓助教授。アメリカ演劇・映画、日本近代演劇、演劇理論を専攻する気鋭の研究者です。2年以上前の公演を紹介するのはこのサイトとして異例ですが、リンク先の一文を読んでいただければ賛否を超えて納得していただけるのではないでしょうか。
 昨年末、山の手事情社が結成20周年記念公演を青山円形劇場で開き、劇団(訓練された団員たち)の高い力量を見せたことも、「異例」を許容する少なからざる理由になっています。

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劇団印象「幸服」

 劇団印象の第3回公演「幸服」が横浜のSTスポットで開かれました(2月10日-13日)。慶応大出身者らが2003年に旗揚げ。当初は言葉遊びを多用した野田秀樹風のスタイルを採用していたが、昨年11月公演から「言葉にこだわっ … “劇団印象「幸服」” の続きを読む

 劇団印象の第3回公演「幸服」が横浜のSTスポットで開かれました(2月10日-13日)。慶応大出身者らが2003年に旗揚げ。当初は言葉遊びを多用した野田秀樹風のスタイルを採用していたが、昨年11月公演から「言葉にこだわった『エッチで、ポップで、ドキュメンタリー』な芝居でオリジナリティーを確立すべく奮闘中」だそうです。
 今回の芝居は父親と息子、それに父が通うバーのホステスがアパートの一室で展開する密度の濃い会話劇と言っていいのではないでしょうか。

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阿佐ヶ谷スパイダース「悪魔の唄」

 長のご無沙汰でした。昨年末からWonderlandサイト編集がほとんど手つかずでしたが、やっと復帰の条件が整いました。また非力を顧みずあちこち歩き回ります。よろしくお願いします。  さて、阿佐ヶ谷スパイダース「悪魔の唄 … “阿佐ヶ谷スパイダース「悪魔の唄」” の続きを読む

 長のご無沙汰でした。昨年末からWonderlandサイト編集がほとんど手つかずでしたが、やっと復帰の条件が整いました。また非力を顧みずあちこち歩き回ります。よろしくお願いします。

 さて、阿佐ヶ谷スパイダース「悪魔の唄」の東京公演(2月17日-3月2日、下北沢・本多劇場)が終わり、大阪、札幌、仙台、 名古屋、福岡、広島公演が3月末まで続きます。楽しみにしている方もいらっしゃると思いますが、東京公演は好評だったようです。「しのぶの演劇レビュー」や「某日観劇録」など多くのサイトが取り上げていますが、今回紹介するのは青木理恵さんのレビューです。 今春から社会人だそうです。これからもどんどん書いてほしいですね。以下、全文です。

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三条会『若草物語』

小見出し ・まえがき ・原書『Little Women』原作『若草物語』と、上方歌舞伎の和事の近さ ・歌舞伎・バレエ・ミュージカルを、それぞれたらしめる可視・不可視のもの ・三条会に物語は可能か ・倫理と友情よ永遠なれ … “三条会『若草物語』” の続きを読む

小見出し
・まえがき
・原書『Little Women』原作『若草物語』と、上方歌舞伎の和事の近さ
・歌舞伎・バレエ・ミュージカルを、それぞれたらしめる可視・不可視のもの
・三条会に物語は可能か
・倫理と友情よ永遠なれ
・「発条ト」参加の音楽から浮かび上がった三条会の猛々しい魅力

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三条会 『若草物語』

 三条会が新作『若草物語』をひっさげて本拠地である千葉公演に臨んだ。所属俳優全員が顔を揃え、多彩なゲストを迎えた豪奢な華やかさ。また先達て関美能留が千葉市芸術文化新人賞を受賞したばかりということもあり、話題性は抜群、どう … “三条会 『若草物語』” の続きを読む

 三条会が新作『若草物語』をひっさげて本拠地である千葉公演に臨んだ。所属俳優全員が顔を揃え、多彩なゲストを迎えた豪奢な華やかさ。また先達て関美能留が千葉市芸術文化新人賞を受賞したばかりということもあり、話題性は抜群、どうにも期待せざるを得ない。春も間近いホール椿。いざと心構え、不意打ちは重々覚悟ながらもやはりあれよの大展開に圧倒され、しかし気がつけばすっかり『若草物語』の世界に引きこまれてしまうのだった。

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