クロスレビュー挑戦編第1回はsons wo:公演

「かわいいめいしゃ展」チラシ ワンダーランドが2月からスタートするクロスレビュー挑戦編の第1回は、sons wo:(さんず・うぉー)+ぽ・ぎょらん合同公演「かわいいめいしゃ展」(駒込ラグロット、2011年2月19日-20日)に決まりました。
 応募した演劇ユニットsons wo:主宰のカゲヤマ気象台さんは早稲田大学文学部在学中の2008年から活動を始め、これまで5回の公演のほか、路上パフォーマンスもしてきたそうです。主な活動目的は「事物が抽象化への過程をたどることによって浮かび上がる不定形のユーモアとコスモポリタン(つまり、授業中の白夢)を目指すこと」と述べています。公演の詳細は、sons wo:のwebサイト(http://sonswo.web.fc2.com/)をご覧ください。
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演劇教育の先端で何が起きているのか-いわき総合高校の試み(後編)

 土佐有明

 前編では、今年で10年目を迎えるいわき総合高校の演劇教育の軌跡を辿り、濃密な演劇の授業を体験している生徒たちが、必ずしも役者や劇作家を志しているわけではない、という事実を最後に指摘した。卒業後に演劇を続ける生徒はおよそ2割から3割程度。<あくまでも、10代後半の多感な2年間に、学校の授業の一環として演劇に取り組むという特殊な状況が、彼ら/彼女らの演技の特殊な質感と深く相関しているのではないだろうか。>と、最後に締め括った。後編ではこの、演技の“特殊な質感”についてもう少し仔細に検証してみよう。
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劇団扉座「新浄瑠璃 朝右衛門」

◎女の魂の遍歴を描く
 金塚さくら

「新浄瑠璃 朝右衛門」公演チラシ 江戸市中、小伝馬町の牢屋敷内にその場所はある。庭の片隅にムシロを敷いたそこを、土壇場と呼ぶ。罪人がムシロの上に据えられ、亀甲に縛める縄が下人の手によって切られると、首切り役人の持つ大きな刀がすぱりとその首を斬り落とす。首はムシロの前に掘られた穴の中に落ち、切り口から溢れた血もそこへ溜まる。死体は丁寧に血を抜かれた上で将軍の刀の試し切りに供され、戻ってこない。首は血を洗い落とされ、刑場に三日さらされた後、そのまま足元の土へ埋められ、戻ってこない。
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劇団扉座「新浄瑠璃 朝右衛門」

◎平面世界を立体化する
 中尾祐子

「新浄瑠璃 朝右衛門」公演チラシ 舞台の意義に真正面から立ち向かった大作に出会った。
 原作がすでに小説や漫画などで発表され、一定の評価を得ている物語を舞台化する際、ひとつキーとなるのは「音」という問題だろう。
 この舞台の原作は江戸時代に死罪となった罪人の首を斬る役人を主人公にした名作漫画『首斬り朝』。作家の小池一夫と劇画家でもある小島剛夕の合作による1970年代の代表作だ。舞台の脚本と演出は「スーパー歌舞伎」の脚本でも知られる劇団扉座の主宰、横内謙介が手がけた。
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初日レビュー第11回 チェルフィッチュ「ゾウガメのソニックライフ」

 チェルフィッチュはいつも期待されているようです。世界のフェスティバルから声がかかり、新劇場のオープニングに新作を委嘱されます。でもそのたびに、新しいスタイルを模索し、ニッポンの都会の、いまを、懸命に捕まえようとしているように見えます。今回は、オープンした神奈川芸術劇場の大スタジオでの公演。いつものように、五つ星の評価と400字コメントで迫ります。掲載は到着順(編集部)
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