◎タロウくんのユメ、こどもたちの夏
伊藤寧美
今年もまたこどもの館劇団の公演がやってきた。姫路駅から車で20分あまりの山奥に建つ兵庫県立の大型児童館、こどもの館へと足を運ぶ。初めてこの劇団に関わった10年前から、出演者として、観客として、夏には毎年のように姫路を訪れている。
こどもの館劇団は、1991年に当時の兵庫県知事貝原俊民氏と、こどもの館の設計者である建築家安藤忠雄氏の提案により、劇団NOISEの如月小春氏の指導のもと開催された、夏休み期間中の中学生を対象とした演劇ワークショップから始まった。当初は一回きりの企画の予定が評判を呼んで毎年の開催となり、リピーターの参加者が中心となって継続的に運営されるよう「劇団」を名乗るようになる。また5年目からはOB、OGや近隣の小中学校の教員を初めとした大人たちも加わり、翌年には彼らを対象とした演劇指導者養成講座もワークショップと並行して開催されるようになった。2000年の如月氏逝去までは彼女が指導者の中心として、2001年以降は柏木陽氏とNPO法人演劇百貨店が指導を引き継ぎ、現在もこのワークショップは行われている。
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