岡崎藝術座「隣人ジミーの不在」

◎個人とスタンダード(文脈)ということについての考え-「隣人ジミーの不在」再演を前に
  神里雄大

 今月再演する『隣人ジミーの不在』(※注)は、その製作の一部を韓国ソウルでおこなった。韓国人俳優が出るわけでもなく、韓国のことを直接的に扱った作品でもなく、また今のところ韓国での公演の予定もない(機会があればぜひやりたい)ので、なぜ? と聞かれることも少なからずあった。その経緯を書き記すことで、僕がいまどんなことを考えて作品をつくり活動しているかを紹介したいと思う。話は、2009年までさかのぼる。旅をするつもりで読んでもらいたい。
“岡崎藝術座「隣人ジミーの不在」” の続きを読む

舞台芸術制作者オープンネットワーク キックオフ・ミーティングレポート

舞台芸術制作者オープンネットワーク キックオフ・ミーティングレポート
◎制作者による、ヒエラルキーのないネットワーク組織の立ち上げに向けて
 藤原顕太

 2012年10月22日、京都にて、同時代の舞台芸術に携わる制作者の国際的ネットワーク組織「舞台芸術制作者オープンネットワーク」立ち上げに向けたミーティングが開催されました(注1・2)。
 集まった参加者は、89人。活動拠点や立場はそれぞれ異なるものの、舞台制作に何かしらかの形で関係する人々です。
 このミーティングの発起人は、それぞれ異なる立場で舞台芸術の制作に携わる12名で、以下のような立場あるいは集団にかかわってきたメンバーです(注2)。
“舞台芸術制作者オープンネットワーク キックオフ・ミーティングレポート” の続きを読む

想田和弘監督「演劇1」「演劇2」

◎平田オリザの孤独と冒険
  水牛健太郎

映画「演劇1」「演劇2」のチラシ
映画「演劇1」「演劇2」のチラシ

 「演劇1」が始まって間もなく、平田オリザがホワイトボードに「イメージの共有」という言葉を書く場面があるのだが、私の記憶が確かなら、「メ」の字を書くときに平田はいきなり短い棒から書いて、私を驚かせた。続いて「共」では、上の横棒を書いてから縦棒を二本書くのが正しい書き順だが、平田は縦二本を先に書いたのだったか、横二本を続けて書いたのだったか。「有」の字は一番上の横棒を最初に書いて、本来最初に書くはずのはらいを次に書いた。
“想田和弘監督「演劇1」「演劇2」” の続きを読む

東京芸術劇場「ポリグラフ~嘘発見器~」

◎劇評を書くセミナー東京芸術劇場コース第5回 報告と課題劇評

「ポリグラフ~嘘発見器~」公演チラシ
「ポリグラフ~嘘発見器~」
公演チラシ

 劇評を書くセミナー第5回が2013年1月11日(金) 午後7時から同劇場で開かれました。「ポリグラフ~嘘発見器~」公演を取り上げた課題作9本を、講師の徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)とともに読みました。徳永さん担当の前回(第3回)は、提出された原稿にずばりと切り込で劇評・レビューのノウハウを具体的に説きました。そのせいもあってか今回は力作揃い。後日いただいた徳永さんのコメントとともに、了解を得た原稿を掲載します。ご一読ください。
 第7回は2月15日(金) 午後7時から。取り上げるのは、FUKAI PRODUCE羽衣「サロメvsヨカナーン」(2013年2月1日-11日)。講師は徳永京子さんです。興味のある方はセミナー概要ページから申し込んでください。(ワンダーランド編集部)
続きを読む