振り返る 私の2014

鈴木アツト(劇団印象-indian elephant-主宰/劇作家・演出家)

  1. SPAC「真夏の夜の夢」
  2. Kawai Project「『から騒ぎ』Much Ado About Nothing」
  3. 青森中央高校演劇部「もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら」

チラシ62(真夏の夜の夢)1.野田秀樹が潤色したこの戯曲は大好きなんですが、宮城聰の世界観が演出を通して確固としてあったのが凄かった。個人的には、メフィストフェレスの身体性が好きでした。
2.これは見てて、本当に笑わされました。客席が対面式で、向こう側に座ってた子どもたちも本気で笑ってて、特に現代的な演出とかも全く無い。シェイクスピアの言葉と向き合うって何だろう?って考えさせられました。
3.もう何度も再演されている作品だそうです。舞台美術はない。音響も照明の変化もない。そして、演者は高校生。とにかく、アンサンブルが素晴らしい。演劇ってアンサンブルの芸術なんだとあらためて感じました。
他に、沖縄で出会った「くわぱぷー」(原題”WANIKAN” by 4hoog)。たくさんの方に見てもらいたいです。
(年間観劇本数=70本程度)

志賀信夫(批評家)

  1. 1.シディ・ラルビ・シェルカウイ & ダミアン・ジャレ「バベル BABEL(words)」
  2. Co.山田うん「十三夜」
  3. スペイン国立ダンスカンパニー「マイナス16」(オハッド・ナハリン振付)

チラシ63(バベル)1. 音楽との圧倒的な融合、2.ダンスのエネルギーを再認識、3.巧みな構成で興奮させる力
(年間観劇数 240本)

 斉島明(会社員)

  • 地点「はだかの王様」
  • 居間 theater「HAGISOパフォーマンスカフェ vol.3」
  • ままごと「Theater ZOU-NO-HANA 2014『象はすべてを忘れない』」

チラシ64(はだかの王さま) 北品川フリースペース「楽間」が8月に閉館した。他方で「BCTION」や「THE MIRROR」「キャラクラッシュ!」など、解体の決まった建物を利用した展示が2014年には多くあった。青山円形劇場・青山劇場をはじめ、東京では今後もしばらくそのような状況が続くと思われる。そのような流れのなかで、「おなじ場所で公演を重ねること/重ねないこと、それを観ること」の意味を考えさせられた一年だった。
 ほかに贅沢貧乏「家プロジェクト」、大橋可也&ダンサーズ「ザ・ワールド」、演劇センターF「日常の上演」、にれゆり「新座キャンパスで、かもめ。」、AAPA「短い旅行記」2014、BricolaQ「演劇クエスト」、ソ・ヒョンソク演出「From the Sea」、PortB「横浜コミューン」、TOLTA「傘の確率」、sons wo:「キリンの親/モッツォ」など。
fuzzy dialogue
@fuzzkey
(年間観劇数 約40本)

鈴木励滋(舞台表現批評)

  1. オカピ&アツコ「浪曲子守唄」(7月6日・旭区公会堂)
  2. 飴屋法水「教室」(7月27日・SNAC)
  3. 三条会「ひとりごけ」(8月9日・三条会アトリエ)   公演期間順

チラシ65(鈴木励滋 教室)  存在がどうしようもなく立ち現れた三本を。
 1.のオカピこと岡村茂は、30年すごした精神病院で出会った「踊り」に感謝するかのように踊る。「逃げた女房にゃ未練はないがぁ~」で始まる「浪曲子守唄」へのいわゆる当て振りを赤ん坊の人形を抱いて踊るのだが、彼の人生を想うとさまざまな妄想が去来して感慨深いのに、極めて真顔で踊る彼はどこか滑稽にも見えた。踊り終えると客席から彼の気を許せる仲間たちの喝采が響いた。なるほど、表現できることだけでなく、観てほしい他者への感謝が彼の踊りをヴァルネラブルにしているのか。観てくれる誰しもへ「どうか存在してくれ」と希求すると、祝福のような応答が巡りめぐって彼自身の存在を肯定する。かくも涙と笑いが同時に押し寄せくるのはハイバイ以来のことであった。
 2.飴屋法水の作品を観ると時おり、彼はいつか創作に際して彼自身を含む誰かを殺してしまうんじゃないかと思うことがあった。子ができても丸くなることもなく、今作はつれ合いや子と自分たちのことを晒した。ただ、愛娘くるみへのまなざしをみていて、飴屋は自分の生命のギリギリまで生きてみせることで、他者に「生きているか?」と問うているのではないかと気づかされた。
 3.杮落としからほぼ全ての公演に通ったアトリエでの最後の上演。演じたのは関美能留ひとりだったが、彼女も彼もそこにいた、気がした。
 どの作品にも、「それをやらないのであればそいつはもはやわたしではない」というくらいの強度/切実さがあった。彼らにただひたすらありがとうを。
(年間観劇数 150公演)

北嶋孝(ワンダーランド)

  • Hula-Hooper「WATAC I」

チラシ50(Hula-hooper 北嶋) 今年も、見逃した公演が多い。仕事で時間がとれなかったり体調が悪かったり。それにしても、見なかった大半が、評判になった舞台なので肩身が狭い。
 という言い訳を前振りに、おそらく誰も取り上げないだろうステージを挙げてみた。知人に勧められて、12月初めに都内の小さなスタジオで出会った一作。菊川朝子さんが作・演出・振付をつとめ、今年数年ぶりに活動再開した演劇ユニットHula-hooperの公演だ。
 題材は少女時代の交換日記だった。古ぼけたそのノートを読み上げながらの公演は、コンテンポラリーダンスのようであり演劇のようでもあり、どちらでもないとも思える。直線よりも曲線。キビキビより、ゆったり。ときにダッシュ。ビシバシより、ほっこり。見て楽しい。触れてリラックス。出演の7人はみな女性。キャリアを積んでいるのにエラそうな雰囲気はない。細切れの時間が行き来して筋がくみ取りにくい。でも日記時代と今との往還がしっかり絡み合っている。「少女の感性」が懐かしい。それとともに「いまの自分」も浮き彫りになる。そんな不思議な感触が好きになった。
(年間観劇数 約70本)

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【注】
・記憶に残る3本は「団体(個人)「演目」」を基本とし、劇作家、会場、上演日時などを追加した場合もあります。
・演目名は「」でくくりました。
・ブログやツイッターのアカウント情報などはコメント末尾に記しました。

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