忘れられない一冊、伝えたい一冊 第33回

◎「如月小春のフィールドノート」(如月小春著 而立書房)
 オノマリコ

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 如月小春が生きていたら、と思うことがある。彼女がいれば、いまの日本の演劇はもう少し広かったんじゃないか。
 わたしは如月小春に会ったことはない。彼女が演出している舞台を見たこともない。ただ戯曲や演劇についての論集を読んだことがあるというだけ。(それも数冊しか読んでない。)1980年代の演劇についての知識もいびつだ。そんな頼りのない頭からの推論なのだが、1980年代から彼女が急逝した2000年までの間、演劇に関わる多くの人たちの中で如月小春だけが注目し、耕していたものがあったのではないだろうか。
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